友達の死
第5話
あれから十日が過ぎた。
不審死ということで解剖したため葬儀が遅れ、今日が初七日の法要となった。
あの川で私を姉の元へ連れて行ってくれた刑事さんが、お悔やみを兼ねてその後の捜査状況を知らせに来てくれた。
犯人は依然として不明。
死因は腹部を刺されたことによる外因性失血死。先の尖った物で刺されたらしいが、凶器はまだ見つかっていない。着衣に乱れもなく争った形跡もないことから、一応事件と自殺の両面から捜査している。
そしてなぜか姉は、手に桜の枝を握っていた――と。
「自殺……ですか」
「いや、そうと決まった訳じゃないんだ。刺し傷から見ても、自分でというのはかなり難しいし、おそらく違うだろう。ただし、可能性がゼロではない以上、いろんな方向から捜査していかなければならなくてね」
「そうですか。よろしくお願いします」
その後、線香をあげてくれた刑事さんにお礼を述べ、引き続き捜査をお願いした。
法要に来てくださった方たちも、言葉少なに帰っていった。
母はあれから体調を崩し床に臥せている。姪たちはしばらくの間、義兄の実家にお世話になることにしたようだ。
みんなを見送り、私も十日ぶりに自分のアパートに帰ってきた。
私はかなり疲れていた。
姉の遺体が発見されてからというもの、警察とのやり取りや葬儀の手続き等全て、多忙な義兄に代わって動き回っていたため、まともに睡眠を取っていなかった。
とにかく疲れていた。
とりあえず喪服を着替えて顔を洗った私は、食事もせず眠りについた。
そして、夢を見た。
友達が車ごと川に転落して死んだ夢を。
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