四百十九話 亜神の友

 沸騎士たちには魔界に戻ってもらった。


 足場にした<導想魔手>を強く蹴り宙を素早く翔けた。

 戦場を把握するため高度を高く保ちながらの移動――。


 魔女っ子のように魔女槍に跨っていたキサラも隣から付いてきた。


 最初に、下にいるヘルメの姿を発見。


 小さいピラミッドと宮殿を合わせたような建物の頂上付近に立っている。

 なんで宮殿じみたもんを作ったんだ?

 達磨モンスターの死体たちの上に作ったようだが……。


 宮殿の中心には雛壇のような段差があり、その一番上には玉座のような氷椅子もある。


 その巨大な玉座の隣ではヘルメが独特のポーズを取っていた。

 彼女の近くには<珠瑠の花>で雁字搦めになった達磨型のモンスターもいる。


 捕獲したらしい。

 その捕獲した達磨を氷の剣山の上に座らせていた。

 しかも、達磨の後部を自身の方に向けている……。

 達磨モンスターに尻があるのかチェックしているようだ。

 

 ま、それは冗談として……俺に従わせようとしているのか?

 あまり知能が高くなれば達磨モンスターを<霊呪網鎖>で部下にはできると思うが……。


 しかし、氷の宮殿のようなものをなんで作ったんだ?

 あの巨大な椅子は……俺に座れ? ということだろうか。 


「精霊様~シュウヤ様が魔槍杖バルドークの必殺技を――」


 と、魔女槍を跨いでいたキサラがヘルメに近寄っていく。


 神獣ロロディーヌとアーレイとヒュレミは……どこだろう。

 先ほどまでこの辺で暴れていたはずだが……左から確認していく。

 監獄の左には、今、見ている達磨死体の上にヘルメの水神殿がある。

 死体の山か……。

 

 右の方は、果樹園だった一部の場所がだだっ広くなっていた。

 リンゴの木、バナナの草、果樹棚のように樹木の蔓と繋がる食虫植物系に近いトマトと似た果実やらジャガイモ系の植物、ブドウ系、キューイ系の実が育っていた樹木群の一部が無残にも打倒されてしまっている。


 巨大台風が通り過ぎて無数のブルドーザーが乱雑に整地をしたような酷さ……。


 達磨モンスターの死体も無数に転がっている。

 その死体が纏まった箇所が藁の山にも見えた。

 亜神のゴルが封じられていた監獄よりも高くなっている死体の山がある。


 いた、右側でロロたちが戦っていた。

 まだそれなりに達磨モンスターは残っている。


 複数の達磨たちが、前後に並んでいた。

 肉を咥えているロロディーヌと対峙している。


 知能がある達磨たちは互いの隙をなくそうと多脚の爪を使っている。牽制か。

 というか、牽制するしかないんだろう。

 攻めてきたとはいえ、逆に追い詰められた状況か。


 そんなことは分からないロロディーヌは、アーレイとヒュレミのおやつを用意してあげるように、口に咥えていた、もと達磨だった肉厚の肉を大虎たちへ向けて放り投げていた。


 栄養価の高そうな達磨肉を選んでいる?

 餌のえり好みをしているようだ。


 そこで左手の、


『サラテン出番だ』

『やっとか! 器よ! あとで濃厚な接吻をしてやろう』


 そんなことはモチロン、無視だ。

 サラテンは俺の血を吸うつもりだろう。

 そして、<サラテンの秘術>を意識。


 ロロが戦う右側には、まだ達磨たちが残っている。

 だから、左手からサラテンを射出した――。

 凄まじい速度で宙を突き進む神剣サラテン。

 その神剣サラテンの上には、羽衣が似合う可愛らしい小さい女の子が乗っている。


 神剣サラテンの尋常ではない速度で、一体の達磨モンスターを貫くや、宙空をターン。

 瞬く間に達磨の肉厚な体を再度貫く。

 またまたターン、肉厚な体の腹をぶち抜くと、またターンを行い、達磨の体に何十もの孔を作り上げた。


 短い多脚から伸びていた巨大な爪も粉々に……。

 破壊力が凄まじい。サラテンは血飛沫を一気に吸い上げると違う達磨に突進。


 血飛沫がまだ残っていた衣を着た姿は可愛い。

 だが、その行動とギャップがありすぎる。


 ロロディーヌ軍団から少し離れた森林に向かう神剣サラテン。

 血を大量に吸ったから嬉しかったようだ。

 宙に綺麗な魔力の軌跡を生み出すと刃が三重にスライドした。

 見た目は伸びた小型空母のような長剣。

 ミルフィーユ、十徳ナイフの形状にも似ていた。

 そんな伸びた剣身に乗っているサラテンは三人に増えた。

 サラテン子たちは、サーフィンを楽しむようにスラリスラリと飛翔を楽しむ。


 木々に隠れようとした複数の達磨モンスターの背中を貫いて屠る。

 肉厚な達磨の臓物が散らばった。

 同時に血飛沫を全身に浴びるサラテンの三人組。

 その血を吸い上げていく様子は遊泳プールで遊んでいるように見えるから恐ろしい。

 だが、モンスターを倒す光景は圧巻だ。

 運命神アシュラーに傷をつけたというし、堕ちた神剣に似合う光景かもしれない。


 そして、そんな神剣サラテンのことを操作しようと集中した。


 だがしかし、上手くいかない。

 また暴走だ……。


『フハハハ』


 調子に乗ったサラテンから笑い声が響く。

 神剣サラテンが舞う現場の近くにわらわらと存在した達磨軍団の数は一気に激減。

 操作が利かないぐらい夢中に血を追い求めている結果だろうが……敵には悪夢だろう。


 皆がここに来るまで、ロロディーヌ軍団とサラテンはこのままにするか。

 

 しかし、敵はまだ残っている。

 俺も混ざって殲滅を急ぐとしようか。


 その前に、司令長官殿へと血文字で報告しとこうかな。

 周囲を窺いながらジョディの復活と<光魔の蓮華蝶>の獲得から一連の流れをキッシュに報告した。


『何だと、ハーデルレンデの聖域を占領したロルガの尖兵が!』

『そのようだ。部隊長というか軍団長らしき存在はもう倒した。今はまだ残っている達磨型のモンスターを掃討する戦いに移っている』

『了解した。シュウヤなら心配いらないだろう。こっちはそんな戦とは無縁の状況だ。ロターゼを筆頭に紅虎の嵐とモガ&ネームスたちが、村の下の樹海の整地を兼ねた砦作りをがんばってくれている。タークが模擬戦で怪我をしたぐらいかな。順調だ』


 子供たちか。遊びの一環でのちょっとした不注意は気を付けないとな。

 ま、俺がキッシュに言うことじゃないか。


『……おぉ~。もう村じゃなくて、サイデイル要塞ってことかな?』

『さすがにまだ要塞とはまだ言えない。だが、サイデイル村の真下に広がる樹海の地に、これから街の中心となる場所の下地は完成したといえる。ロロが打ち倒した樹海の樹木を退かして、距離は短いがヘカトレイル方面へと向かう土道の入り口もできている。ネームスが作り上げた押印が目立つからいい目印となるはずだ』

『へぇ』

 

 ネームスもがんばっている。

 それに、ロターゼはあの巨体だ。

 ロロが打ち倒した原木資材を運べる量は並みじゃないだろう。

 やはり普通のデコトラではなかった。

 ん? ロターゼが主軸に輸送隊を編成すれば大儲けが可能じゃないか?

 いや、さすがにそれはやりすぎだ。

 飛空艇のような存在のロターゼを見たら国に警戒されるし、今はロターゼの善意の行動。

 村や街の発展のために強引な強制労働をさせたくはない。


 自由に過ごしてもらうことが、何よりも重要だ。

 ま、キサラが俺を慕っていることを含めて、ロターゼは色々・・と判断しているからこその、今の行動があるんだろうけど。


 そして、日本語も理解しているロターゼは頭がいい。ただのMじゃない。

 そのロターゼよりも、ルッシーのことを聞いておく。


『話を変えるが、ルシヴァルの紋章樹の新しい眷属。ルッシーはどうしている? 今、さっき突然、疲れたとかいって消えたんだが』

『オッドアイのルシヴァルの精霊なら子供たちと元気良く遊んでいるぞ。ただ、村のいたるところにルシヴァルの紋章樹の絵を描いて悪戯をする。まぁその絵は立体的で小さい樹木となったうえに魔力を宿しているから悪戯ではなく何かの仕掛けを施しているのかもしれないが……あと、時々、わたしに甘えて血を欲しがる……』


 ルシヴァル神殿を村の全体に広げているのか?

 でも、血を欲しがるとは、まったく、ルッシーめ。


『……血かまだ慣れてないだろうし、吸収はさせるなよ?」

『分かってる。幸い、わたしの言うことを聞いてくれるいい子だが、子供たちが居る手前、ちゃんとした教育をしてくれないと困る……』

『ごめん。帰ったら話す。で、サナさん&ヒナさんとオークたちは?』

『サナ&ヒナなら、村の皆から語学を学んでいる。時々、村に戻ってきたロターゼが通訳してくれたお陰で色々違う世界の話が聞けて面白かった。オークたちはシュウヤの家がある小山から降りてこない。訓練をしたり、骨笛の音を響かせているぐらいだ』


 血の消費が激しいから後々の予定だが、オークたちにも眷属化の話を進めるか。

 ソロボとクエマなら理解してくれるはず。


『なるほど。それじゃ戦いが終わり次第、亜神夫婦とも話もしてから戻るよ』

『シュウヤ……』

『なんだ? 突然に、間をあけて』

『ううん。村のためにわたしのために、ありがとう……』

『キッシュ。いいから』

『うん』


 キッシュの表情が目に浮かぶ。

 彼女の気持ちは血文字からも、十分伝わった。


『じゃ報告はここまで』


 と、メール感覚で血文字を終了させる。

 俺は微笑みながら、操作が利かないサラテンを戻そうと、思念を強めるようにわざと強い魔力を全身から放出。


 仙魔術と導魔術の境目のような濃厚な魔力をサラテンに向かわせた。

 魔力を浴びた神剣サラテンはビクビクと身悶え震える。


『サラテン! 一通り満足したら戻ってこい!』

『アン! ワ、ワカッタ!』


 思念が、オカシカッタ。

 ま、気のせいだろう。


 俺はロロディーヌの方に向かった。


「ロロ!」

「にゃ~」

 

 無数の達磨が積み重なった死体の上に立っていた黒豹ロロディーヌ。

 たぶん、頭を上げていつものように『倒したにゃ~』風に叫んでいたんだろう。


 相棒は宙から飛翔するように駆けている俺の姿を見ると、黒馬の姿にチェンジした。


 すると黒獅子のように風に靡いている胸元に生えた立派な黒毛を下からかき分けるように黒触手が伸びてきた。

 その黒触手は駆けている俺のもとまで一直線――。

 そのまま俺の腰に黒触手を巻き付けるロロディーヌ。


「ンン、にゃ~」


 と、鳴いたロロは、しゅるしゅると音を立てるように俺に巻き付けた触手を胸元に引き込みながら俺の身体を運んでくれた。

 自身のふさふさした背中の上に俺を誘導すると、


「ンンン」


 喉声をもう一度鳴らしてきた。

 気持ちを聞かずとも、何を言っているのかはよく分かる。


『乗って遊ぶニャ』


 といったニュアンスだ。

 俺は笑みを意識しながら「ありがとな、ロロ」と、話しかけながらその相棒の上に跨って触手手綱を掴む――感覚を共有した。

 そして、フサフサな黒毛をさっと退けながら『達磨退治をよくがんばったな~』と気持ちを込めて馬の横に手を当ててナデナデとしてあげた。


 気持ちが通じたのか。

 ゴロゴロと喉音を鳴らすロロディーヌ。


「ロロ、まだ達磨モンスターは残っている。後顧の憂いをなくすために殲滅させるぞ」

「にゃおおぉ~」


 そのまま死体の山から駆け下りていく。

 下から、蹄が打ち立てるような音が響いてきた。

 やけに大きい音だと、足元を見たら、四肢の爪が死体と巨大な爪の残骸を切り裂く音だった。

 なるほど、しかし、この爪あとで回収かな。

 素材として高く売れるかもしれない。皆に話をして聞いてみようか。

 死体の山から平らなところに出たところで、アーレイとヒュレミの大虎がむしゃむしゃと肉を喰いながら側に駆け寄ってきた。


「ニャア――」

「ニャオ――」

「――よっ、お腹いっぱいという感じか?」

「ニャァ」

「ニャオォォ」


 走りながら返事をしていた魔造虎の二匹。

 しかし、ロロディーヌの加速に追い付かない。

 

 ロロディーヌは大虎たちを待たなかった。

 ここはまだ戦場だからな――。

 それに俺を乗せたロロディーヌは気分が良いらしい。


 一直線に達磨たちの下に走っていく。


 騎乗しながら聖槍アロステを前に構えた。

 アロステの十字の穂先を残り僅かとなった達磨モンスターたちへと向ける。


 そこに、調子乗っていた神剣サラテンが樹木という樹木を貫いて森林破壊をしながら巨大な虫やら鳥に果実を喰らいながら突進を続けている光景が見えた。


 だが、硬い岩に突き刺さって止まった?

 『グヌヌヌ』と、情けない念話が響くが無視。


 俺は達磨のモンスター目掛けて、突進した。

 

 手前に居た達磨モンスターの一匹が俺たちに気付いた。

 凄まじい勢いで駆けるロロディーヌだからな。


 警戒したのか二つの頭部を隠すように短い多脚を上げてきた。

 爪先から伸びた巨大な爪が斜めに回転している。

 そのヘリコプターが持つような強烈なブレードのような爪刃で、俺と相棒を切断するつもりらしい。


 だが、そんなものが俺とロロディーヌに当たるわけがない。

 即座に障害を飛越するイメージを浮かべた俺。


 上半身をロロの首上につけるようにしながら馬術でいう「随伴」の動作で――回転するブレードの刃を悠々と飛び越える。


 そして、聖槍アロステの柄を握る右腕を、斜め下の達磨目掛けて真っすぐと伸ばす――。

 

 ――聖槍アロステ。

 柄が長いまさに聖騎士が持つような槍だ。

 

 その強烈な十字矛の突きを達磨の分厚い胴体へ喰らわせた。

 十字矛は達磨の奥にまで達したと握り手の感触から分かる。

 だが、達磨の肉質は硬い。

 防御力はかなり高いと瞬時に認識。

 そして、達磨の胴体に突き刺さった聖槍アロステを握った状態で馬のロロディーヌから飛び降りた。

 

 中空で、聖槍アロステの柄を握る手に力を入れて、腰を基点とした動きを連想しながら一気に横へと聖槍アロステを動かした。

 刺さっていた十字矛は当然に、達磨の胴体を横に引き裂く。

 俺はその聖槍アロステごと横回転――。


「ぐぎゃぁ」


 悲鳴を背中に感じながら両足の底を死体に突けて着地。

 同時に聖槍アロステの回転を続けながら右手から左手へと聖槍の持ち手を切り替えた。


 そして、両手でくるくると回した聖槍アロステの柄を首後ろへと通しながら、自らも横回転を続ける――。


 連続した風槍流『案山子通し』の動作だ。


 そのまま回転した勢いを後ろ回し蹴りに乗せて張る力を意識した蹴りを、引き裂いた達磨の下腹部辺りに喰らわせて吹き飛ばした。

 

 回していた聖槍アロステの穂先を下の死体に向かわせる。

 死体に十字矛を突き刺す――。

 突き刺したアロステの柄が揺れるのを掌に感じながら、俺自身も動きを止めた。


 そして、死体に突き刺した聖槍アロステを眺めた……。

 この聖槍の十字矛を、宗教国家のアロステの丘に突き刺したとき……。


 いったい、どんな効果が得られるんだろうか。

 と、高古代竜サジハリの家にあった魔法書とザガ&ボンたちが家で読んだイギルの歌を思い出す。


 そこで、聖槍アロステをしまった。

 まだ残っていた達磨型モンスターを一瞥。


 格闘術を試すか。

 紅玉環の一対の小さい翼飾りを弄るように反対の指で触り、魔力をその指輪に注ぎながらAエースと文字を刻む。


「主!」

「アドゥムブラリ、力を貸せ。あの達磨を仕留めて、この戦いの締めとする」


 炎を纏うアドゥムブラリが出現。

 魔炎が拳を抱く。


「ワカッタワカッタ、ワカッタゼ! コスモが熱く滾る!」

 

 早口のアドゥムブラリの言葉は耳にしながら魔脚で地を蹴り前傾姿勢で突貫した。

 そのアドゥムブラリは点滅した指輪状態に戻っている。

 走りながら<魔闘術の心得>とキサラから習い途中の魔手太陰肺経から丹田を意識。

 魔闘術のオーラを全身に纏う。

 そして、達磨の巨大な爪をすんでのタイミングで避けるように跳躍した。

 その避けた中空からの位置から――。


 達磨の単眼を備えた頭部目掛けて魔炎を纏った右腕を振り回す――。


 発勁のように重力を意識した張る力のような爆発力が燃え盛る右腕から感じた。

 燃えた掌が達磨の頭部を横へと吹き飛ばす。

 ドッとした鈍い音を響かせた千切れた首から血飛沫が迸った。

 乱雑に回転した頭部は、掌底の傷痕によって大きく凹んでいた。


 続けて<鎖>を左拳に何重も纏わせる。

 左拳を鋼鉄ナックルのような<鎖>製ナックルを瞬時に作ると、その鋼鉄ナックルで、もう一つの頭部へと振り下ろした。


 頭部がぐちゃりと拳状の窪みを作りながら潰れて、完全破壊。

 

 素直にこっちの<鎖>製の強引な力技の方がシンプルでいいかもな。

 異常なほど硬い敵の場合は、ザイム魔炎が効いたりするのかもしれないが。


 二つの小さい頭部を失った達磨モンスターは分厚い胴体を残して沈黙した。

 多脚の先端にある巨大爪の回転も力なく止まる。

 達磨モンスターは前のめりになりながら自身の巨大爪に衝突。

 皮肉なことに自らの爪に斬られてる形で倒れていった。


 やはり見た目的に二つの頭部が弱点だったか。


 左手を覆う<鎖>を消失してから……周囲を見渡していく。

 鋼の柄巻きをイモリザの第三の腕に持たせたが、杞憂だった。


 もう、ヘルメが紐で捕まえた達磨の兵士以外、残っていない。

 

 右手の魔炎は紅玉環の中に収斂した。

 俺はそれを見てから、急ぎ、サラテンが突き刺さった岩の場所に向かう。


「引き抜くからすぐに戻れ」

『器よ、すまぬ』


 と、岩に刺さっていたサラテンの柄を握り力を入れて引き抜いてあげた。

 すぐに左の内のぱっくりと開いた孔の中に戻ってきたサラテン。


 しかし、神剣サラテンを止める岩って……これはもしかすると……。

 その刺さった中心の色合いは……。

 やはり普通じゃなかった。

 こげ茶色の素材は極度に圧縮した琥珀かダイヤモンドのようなモノか?

 薄層が卍型に組み合わさり重なったうえに、極めて小さい水晶の欠片と墨色の繊維網がぎっしりと詰まったところにデボンチッチの化石のような小型人形の数体がみっしりと密接に混ざりあったような岩素材だった……。

 こりゃ、さしもの神剣も止まるか……。


 考古学的に価値が高い?

 岩というか石素材かもしれない。


 と、巨大な突岩を眺めていると……。

 すべてを倒しきったのを確認した皆が走り寄ってきた。


 亜神夫婦も居る。


「閣下、こっちの席が空いていますよ~」

「おう、座らないぞ」


 岩を回収してから向かうか。

 エヴァかミスティか、ザガ&ボンか、気に入るかもしれない。

 第三の腕が握る鋼の柄巻きに魔力を込める。

 ブゥゥンと音を立てた光刀がすぐさま柄の根本から立ち昇る。

 ――ムラサメブレードで<水車斬り>。

 岩の内部へ斜めから侵入したプラズマのような青緑色の刃は烈しく音を散らす。

 

 凄く硬い――強引にルシヴァルの力を全身から出すように魔闘術を全身に纏いながら、柄巻きを両手持ちに切り替える。

 そのまま岩に弧を描く軌道で慎重に切っていった。

 神剣が突き刺さっていた部分には、ムラサメブレードを衝突させない。


 周りだけをくり抜く。

 丸くこげ茶色の岩素材というか石のような形の素材を回収。


『神々の残骸かもしれぬな……』

『ほぅ……』


 サラテンの念話が響く中、ヘルメが居る小さい氷の宮殿に向かった。



 ◇◇◇◇



 爪やら肉厚の肉を料理に使えるかもとか喋っている<筆頭従者長>たちの回収作業を一緒に手伝ってから魔煙草を吹かす。


 魔力を回復してあげたり健康に良い煙をヘルメに当てる遊びをしてから、氷の宮殿に頂上に移動。


 玉座のような椅子には座らない。

 その全員が集合したところで、


「槍使い……礼を言う」

「……ありが、と」

 

 キゼレグとゴルが礼を言ってきた。


「さっきは貸しと語ったが戦いの流れだったからな。〝既往は咎めず〟の精神だ。別にいい。それよりもシェイルのことの方が重要だ。彼女の治療に必要な魔宝石はどこにいけば採れる?」

「赤心臓のアルマンディンは、この地方にはない。東だ」

「蝶族の魔宝石は各地の火山地帯にある。シェイルのアルマンディンは東の森ね」

「東というと? そこに蝶族が住むのか?」

「そうだ。俺たちが生きた時代は住んでいた。遠き東、マハハイム山脈と繋がるフォルニウム山とフォロニウム山の兄弟山。そこの巨大な麓に広がるフサイガの森だ」

「東か。皆を置いて今すぐに探しにいける場所じゃないな」


 フォロニウム火山。

 火山といえば地下のデビルズマウンテン。

 そして、アキレス師匠とラグレンから、マハハイム山脈の北東の火口の話を思い出す。

 東と聞くと、位置的にママニたちの故郷がある地域か?

 それとも、もっと遠い東なんだろうか。


「……」

「……妾が側に居てヤル……」


 お? 亜神のゴルさんがそんな言葉を。

 小さいゴルは、エヴァとジョディと一緒に居るシェイルを見つめながら語る。

 その表情には切なさが垣間見えた。


 キゼレグという絶対的な存在を取り戻した彼女は変わったか?


「どういう風の吹き回しだ?」

「槍の狂神よ。そなたと誓約したシェイルだが、元々は妾の眷属ぞ? それに……」


 亜神ゴルゴンチュラはもじもじと内股行動を取り、語る。

 そして、恥ずかしそうな表情を浮かべて、透明な一対の羽をばたつかせた。


「……キゼレグと妾のことを、自らの命を賭して守ってくれた……その礼をしたい」

「そうだな。世話・・になったようだが……シェイルとゴルゴンチュラのことは、俺たちが責任を持って守ろう」


 亜神ゴルの言葉を聞いたキゼレグが男らしく語る。

 イケメンらしい言葉だが、まさにイケメンだ。


 世話の部分はあえて無視した。

 彼の金髪が揺れる。

 シャンプーの匂いが漂ってきそうな雰囲気のある爽やか青年の見た目だ。


 そんな彼の気持ちは嬉しかったが、


「だが、誓約したのは俺だ……」

「槍の狂神よ。まっこと天晴な心意気。そなたは他のどの世界の神とも違う。優しき狂った槍の神なのだな」

「槍の狂神よ――」


 頭を下げようとしていたイケメンとゴルに、


「待ったイケメン。ゴルもだ。勝手に狂神呼ばわりするな。侮辱と受け取るぞ? シュウヤでいい」


 少し語尾から魔力を込めて語る。


「わ、分かった狂、いや、シュウヤ殿」

「妾も了解した。シュウヤ。だが妾とて元亜神としての沽券がある。おめおめと助けられて甘えていたのではな。シェイルとジョディが誓約したようにわたしも<時の翁>に誓おう。シェイルを守ると! その証拠に妾の大事なこれをシュウヤに預ける……」


 すると、ゴルは自らの胸元に手を突っ込む。


「ゴルゴンチュラ!」


 キゼレグが驚いて止めようとしたが、小さいゴルは止まらない。

 小さいゴルは『大丈夫だ』と語るように反対の小さい手をキゼレグに伸ばし、キゼレグを制止させた。


 ゴルは自身の僅かに膨らんだ胸の中に突っ込んだ手を引き出すと、甲を返す。

 その小さい掌には、豆粒ほどの輝く石があった。


「ゴルゴンチュラ様……本気なのですね」


 白蛾を周囲に発生させている美しい表情を持つジョディが呟いた。

 周囲を舞う白蛾の一つ一つには輝く血も混ざっている。

 昔と同じ美しい表情だし、ルシヴァルの血を得て血色もいい肌を持つ。


 亜神ゴルゴンチュラは輝く石を握りながら、そのジョディへ向けて頭を下げていた。

 そして、頭を上げてから、反省したように、


「ジョディも済まなかった。そなたの力を吸い取った妾を恨んでおろう……」


 捨て置く存在と言い放っていた者とは思えない言葉と態度だ。

 キゼレグという存在が彼女を変えたと思いたい。

 愛は人を狂わす……少し違うか?

 だが、解放した直後は、似たような感覚だったのかもしれないな……。


「……いえ、もう恨みはありません。今はシュウヤ様から頂いた愛のある<光魔ノ蝶徒>であり、ルシヴァル一族の一員です。未練はまったくありません」

「そ、そう。それを聞くと少し寂しい思いもある。が、〝成るのは厭なり思うは成らず〟とはならずに、そなたは強き優しき〝本当の主〟を得たのだ。良かったであろう」

「にゃおぉ~」

「う、うむ。神獣という主も居る」


 黒豹の姿のロロディーヌの存在にびくつくゴルゴンチュラ。

 長い尻尾で、そのゴルに悪戯しようとしたが、俺が尻尾を掴んで止めさせた。


 すると、『何するにゃ!』というように俺の膝辺りに猫パンチを当ててきた。


 爪は立ててない肉球パンチだが、少し威力があった。

 膝カックンを受けてよろけてしまった。


 周りから笑い声が起きた。

 気を取り直してから、


「……それで、その手に握る石はなんだ?」

「<時の翁>の僅かな結晶である」

「その<時の翁>の意味が分からない」

「時間の力といえばいいかの。妾の力の基。時の境目に僅かだが干渉を行える代物ぞ」

「へぇ、そんな大層なものを預けると?」


 ジョディが、本気といった言葉は本当か。


「そうだ。今の妾が持つより、シュウヤが持つ方が安全という意味もある。とにかく、キゼレグ以外にも男を意識したシュウヤだからこそ。この大切なモノを預けると思ってくれていい」

「……そうなのか?」

「キゼレグ。ばか、嫉妬は嬉しいぞ。しかし、今は怒っちゃだめ」


 と、イチャツキ出す亜神夫婦。

 亜神のゴルから輝く石を受け取ったが、ビー玉サイズ。

 失くしたらまずい。アイテムボックスに入れておいた。


「んじゃ、俺たちは戻るが」

「待ってくれ。妾たちはここに居ていいのだろうか」


 ゴルゴンチュラがそんなことを聞いてきた。


「……サイデイル村の人々を含む俺たちと関係する者たちを傷つけない。または喧嘩を売らないと約束するならいい」

「復活を行ったうえに、そ、そんなことで、妾たちを赦してくれるのか?」

「いいぞ。敵対しないなら友だ。同盟でもいい、とにかく争う理由がないのなら仲良くしたい」

「分かった!」


 ゴルは喜ぶ。

 羽を使って跳躍して少し浮いていた。


「俺も承知した。シュウヤ殿」


 それを見たキゼレグは幸せそうに微笑む。


「おう。だが。キッシュという俺の大事な<筆頭従者長選ばれ眷属>が、サイデイル村を拡張中だ。これから人族と多種多様な種族の往来が樹海の地に増えるかもしれない。お前たちのいう定命たちの存在だな。だからこれから先、色々と問題が起こる可能性もある」

「もう俺たちは〝友〟何だろう? A friend’s frown is better than a fool’s smile.」


 イケメンだ。キゼレグは笑みを浮かべながら英語のような言語でたとえてきた。

 しかし、亜神の友か。なんか嬉しいな。


「あぁ、そうだ」


 と、俺は頷いた。


「だったら構わない。咽喉右臂いんこんゆうひの地を創り上げているシュウヤ殿に協力しよう」


 ゴルの熱い視線を受けている亜神キゼレグの言葉を信じるとしよう。


「でも、キゼレグ……」


 ゴルは不安気にキゼレグに語る。

 将来は不安だよな……ちっこいし力を失っているうえに戦うことも満足にできない。


「……シュウヤ殿に協力しよう。もとより昔から俺たちも同じ……あの時から気持ちは一片たりとも変わっていないのだから」

「キゼレグ?」

「ゴルゴンチュラ。昔、お前が『そこで眷属たちを作って一緒に蝶の楽園作るかの?』と、話していたことは、嘘ではないのだろう?」

「……あぁ……」


 ゴルゴンチュラは涙を流して嗚咽する。

 永い間、監獄の中に閉じ込められていた苦しみも同時に思い出したのかもしれない。


 ゴルの泣いている姿を見て、思わず、うるっときてしまった。


「閣下、やはり、ここに血の楽園帝国を……」


 おっぱいぷるるるんと揺らした参謀ヘルメが<珠瑠の花>で縛った達磨の敵を俺の足元に寄越すと、そんなことを語る。

 そして近くに来た黄黒猫アーレイ白黒猫ヒュレミに指先から水を上げていた。

 おっぱい水は使わない。


「ふふ、猫ちゃんず! ロロ様のように水が欲しいのですね!」


 いい匂いが漂ったが、シュヘリアは苦虫を食ったような表情を浮かべた。

 気持ちは分かる……。

 常闇の水精霊ヘルメが運んだ達磨たちだが……。

 まだ意識がある。

 単眼を備えた二つ頭は怯えながらも俺を見つめていた。


 <珠瑠の花>の麻痺具合は匂いと共に強弱がつくらしいからな。

 当然、警戒する魔界騎士だったシュヘリアを雁字搦めにした時よりも、今の達磨たちを縛る紐の麻痺レベルは弱くしているんだろう。


「く、マグルの軍に、我らが全滅させられるとは……」


 と、地下語で語る達磨君兵士。

 見た目的に少しだけ、アドゥムブラリを巨大化させた感じだろうか。


 彼ら達磨兵は、戦術めいた動きもあったし、頭が小さいなりに二つもある。

 今、話をしているように知能はそれなりに高いから<霊呪網鎖>は無理か。


「達磨さんよ。地底神ロルガが持つ第六軍団の兵士でいいんだな?」

「……我の種はホームヅン」


 地下の言葉を喋る俺に動じない達磨兵は、自らの種族の名を語る。


「種族はホームズンか。で、聞いていることに応えてくれ」

「ロルガ様は偉大なる地底神の一人である。我らは魔神帝国の一兵士。そこに属するフェーン独立都市同盟の第六軍団を指揮するナズ・オン将軍の麾下の兵だ」


 ノームたちのアムたちと敵対している魔神帝国か。


「ナズ・オン将軍とは、八腕で、唇が集結した上半身に下半身が霧の足という怪物か?」

「……そうだ。ということは将軍を倒したのか……あれほどの強さを持つ将軍を……」

「倒したぞ」

「……」


 ホームズン君は二つの単眼をぐるりと回して瞼の半分を閉じると、悲し気なニュアンスを取る。

 俺は構わず質問をした。


「そのフェーン独立地下都市同盟はロルガを信奉しているとして、その地下都市以外だと、違う地底神を崇めていたり、または、地底神同士での争いもあったりする?」

「……そんな当たり前のことも知らぬのか、マグルとは……無知ばかりだ。それで我らをどうする気だ……」


 どこも同じか。

 ロルガ以外にもわんさかいるようだしな。


「どうもしないと言いたいが、このまま地下に帰れるとは思うなよ?」

「ん、シュウヤ、わたしも聞く?」

「必要ないだろう。今の立場の達磨君が嘘を話すとは思えない」


 と、エヴァに答えたところで、


「俺が預かろう」


 キゼレグが預かるらしいが……。


「いいよ。だが、まだ聞いておこう。この地上に侵攻した理由は?」


 ナズ・オンも喋っていたが、ま、聞いておく。


「亜神の領域が消えたからだ。ナズ・オン様の第六軍団は、前々からこの地上の樹海の一部を狙っていた。しかし、亜神の眷属である死蝶人の領域には狭間ヴェイルのような壁があったうえに、少しでも近づいたら必ず襲来してくる死蝶人が強かった……」


 と、ジョディを怯えながら見つめる達磨さん。


「そういうことか。ジョディ。達磨を見たことある?」

「あまり覚えてないです。地下には、似たような姿の魔族やらモンスターはたくさんいます。そして。領域に近付いた者には一切の容赦をしませんでしたので」


 そっか。兵士をいちいち覚えてないか。

 黄金の魂道を進むうえでの案内役もあるかと思ったが、足手まといになるし、キゼレグに預けよう。


「それじゃシェイルを預けるとして。俺たちはサイデイル村に戻るとする。皆もいいな?」

「はい、シェイル……シュウヤ様、わたしもここに残っていいでしょうか」


 眷属になったとは、ジョディの気持ちは当然だ。

 大切な相棒だろうし。


「いいよ。縛ることはしない。自由に過ごせ」

「シュウヤらしい。さ、ロロちゃん。戻ろう」

「にゃお」


 ロロディーヌはすぐに巨大化。

 鏡ですぐに戻れるが、いいか。

 レベッカはロロディーヌに飛び乗った。


「……陛下は魔神帝国の出身者だったのですね」

「暗い顔しているとこ悪いけど、シュウヤは異世界出身だから」

「ん、そのお陰で時空属性を持つと教わった」

「え! そうなのですね」


 と、ガールズトークを展開していくと、


「ニャア」

「ニャオ」

 

 黄黒猫アーレイ白黒猫ヒュレミは俺の肩に乗ってきた。

 ダブルで頬をこすって甘えてきた。


 二匹同時か、なかなかに猫好き冥利につきる瞬間だ! 

 思わず、テンションが上がった。


「はい! 時々、シュウヤ様のところに戻ります」


 ジョディはシェイルの手を握ると、キゼレグの隣に移動する。

 ゴルも側に寄ろうとするが、シェイルは来るなっといわんばかりに叫んでいた。

 

「……おう」


 と、片手を上げて、ジョディと亜神たちに挨拶した。

 肩の猫たちも片足を上げて肉球を見せている。


 皆、了承してから神獣ロロディーヌに乗った。

 ヘルメも左目に戻ってくる。

 既にキサラは空で魔女槍に跨って旋回しながら周囲を窺っていた。


 あの辺の感覚はさすが四天魔女。


「ということで亜神の夫婦。またな」

「分かった。槍使いシュウヤ殿。ジョディが話していたように、俺たちもシュウヤ殿の村にいってもいいだろうか」

「〝友〟だろう。構わんよ――」

「ありがとう」



 ◇◇◇◇



 無事にサイデイル村に帰還――。

 皆、巨大なロロディーヌから降りていくと、そのロロディーヌは俺の腰とシュヘリアの腰に触手を巻き付けたまま馬の姿に縮小しながら走り出していた。


「シュウヤ! あぁぁー」


 待っていたハイグリアはショックを受けた声を響かせる。

 エヴァとレベッカもおいていった。


 ロロが珍しい。


『どこに向かうのでしょうか』

『さぁな』


 と、ヘルメと念話する間に、俺が作った邪界製の樹木の家屋を蹴って飛んだ先は、西の森だった。


 確か、エブエの活動エリアだよな。

 何をする気だロロは……。

 崖を下り、丘を上がり、川が流れているところに到着すると、四肢の足を止める。

 

 そこには褐色の肌を持つエブエが、魔斧を振り降ろしているところだった。

 もうじき倒れそうな樹木だ。


 ん? 今まで、気付かなかったが、胸に紋様がある。

 黒豹……だと?

 エブエは筋肉質だし、ただの樵じゃないのか。


「あ、これは英雄様と……新しき眷属様に、黒女王……様」


 エブエはロロディーヌを見て動揺を示す。

 しかし、黒女王? 彼は魔斧を地に落としていた。

 片手で額の浮いた粒の汗を拭いているが……。


 焦っている?

 

「ニャオ」

「ニャア」


 魔造虎の大虎となったヒュレミとアーレイ。

 彼女たちはエブエを見定めるような牙を見せていた。


「これはエブエ様、こんにちは」


 シュへリアが丁寧に挨拶。


「おいらに、様づけは……」


 と、エブエが頭を搔いたところで、


「にゃごぉぉ」

 

 ロロディーヌは珍しく怒ったようなニュアンスでエブエを叱る?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る