第119話 ダンジョン攻略でございます!
昨日は武器を渡してから私達3人は必要なものを買い込んだ。
と言っても、転移魔法陣やスペーカウの袋のおかげでこの世界でのダンジョン探索というのはそれほど重厚にしなくてもいいの。
例えば、前もってダンジョンの前や城下町の入り口付近に転移魔法陣を貼っておけばダンジョン内で1日過ごすための寝袋とか食料とかは不要だし、ダンジョンを転移で出る前に到達した地点に転移魔法陣を貼ればそこから再スタートできる。
色々制限はあるけれど、やっぱりすごく便利。
これに何回も助けられてるし。
そういうわけで私達が用意したのは軽食と各種回復薬、
元々私が「天の道のダンジョン」で出る魔物の種類を知っているからそれらに合わせた物くらい。
そして今、私達は私の転移魔法陣によってダンジョンの途中に出現したの。
「これがダンジョンかぁ…」
「光源が無いのに明るいって本当なんだね」
「うん、それに広い!」
人生初ダンジョンである二人はダンジョンの中をキョロキョロとみている。
もう一度、このダンジョンの説明をしましょうかね。
「念のためもう一度言いますけれど、ここのダンジョンはテントウムシの魔物しか出ません。飛んできて攻撃してくるか、魔法を撃ってくるか、押し潰そうとしてくるかのどれかです」
「ハードネスレディバも出るんだもんね」
「前々からBランクの魔物を一人で倒してたんだ、魔物大会に軽々と優勝しちゃうわけだよ!」
うんうん、と、リンネちゃんは頷く。
まあだから私は自身に財産全賭けなんてしたんだけどね。
「じゃあ進もっか__________」
リンネちゃんがそう言い始めると、羽音が聞こえてくる。数秒後に現れたのはスゴロゴレディバ。
視認するなりリンネちゃんは半端じゃない速さで飛び上がりながらだったの一太刀でそのスゴロゴレディバを真っ二つに。
そういえばまだ補助魔法かけてないんだった。
「ふぅ。なんとかいけるもんだね!」
「そうですね。では参りましょうか」
装備を新しくしただけでここまで違うのかと内心驚きつつ、私を先頭にロモンちゃんが真ん中、リンネちゃんが最後尾で進んでいった。
◆◆◆
「そいっ!」
「スシャイラ!」
ここまで現れたレディバはE~Cランク。
ロモンちゃんとリンネちゃんはもう蹂躙してると言っていいくらいに夢想してるよ。
リンネちゃんはスピードを生かして飛び上がったり、魔流波を飛ばして斬り伏せ、ロモンちゃんは2体以上魔物が出現した時に最近使えるようになった上級範囲光魔法を使って瞬殺している。
光魔法は私が進化してから二人に教えて、二人とも上級まですでに使えるようになってるからね。
かくいう私も上級までなんだけど。
でも闇魔法と光魔法以外は最上級だから今は何も支障がない。
「うわ、10匹くらい来たよ!?」
そう、リンネちゃんが地面に着地すると同時に言う。
ここまで二人が暴れすぎて私の活躍が無かったから、そろそろ私がやろうじゃないか!
10匹の魔物相手なら申し分ない。
エンジェルゴーレムになった時に得た極至級の光魔法強化。実はまだこれ実戦で使ったことないの。
今使っちゃおうね。
「私がやります! スシャイラ!」
そう唱えると同時に出現する眩しすぎる光。
その光は10匹のレディバを一気に飲み込み、跡形もなく消し去った。
「アイリスちゃん、光魔法の上級を使うの初めてだよね?」
「ええ、明らかにオーバーキルですね……」
「そだね」
本当に跡形もないから、どのくらいの威力があったのか結局測定できない。残念。
「ん、次が来た。あれゴーレムのアイリスちゃんくらい大きい………ハードネスレディバだよ!?」
またもや目がすごくいいリンネちゃんが発見。
そうか、ハードネスレディバか。
「ロモンちゃんとリンネちゃんだけでやってみますか?」
「び、Bランクの魔物かぁ…私達だけで倒せるかな?」
「どうだろ?」
Cランクの魔物をあっという間に倒せるくらいの実力があったなら、簡単にBランクも倒せると思うけどな。
「無理そうだったら言ってくださいよ」
「「うん!」」
ロモンちゃんとリンネちゃんは私より前に出る。
「来たね」
「いくよ!」
距離が近くなり、明らかにこちらに突進しようとしてくるハードネスレディバに向かってロモンちゃんが杖を構え、魔法を唱える。
「リヒャドム! リヒャドム!」
リヒャドムの2連続。
飛んで行く二つの氷弾はハードネスレディバに狙い通りにヒット。その広げている最中の硬い二つの羽を氷漬けにした。
ハードネスレディバの1番の武器と防具は硬い表面。
足と羽と顔はものすごーく硬い。えっと確か、アルティメタルと同じくらいだったっけ。
でもその分、羽の中身とお腹は柔らかいわけで。
羽を凍らされ落下するハードネスレディバに向かって、リンネちゃんは勇敢にも飛び上がって向かう。
落ちてくる鉄骨に自ら飛び込むようなものなんだけどね、普通は。でもリンネちゃんは速いし、空も蹴れるから。
リンネちゃんは素早くハードネスレディバの腹裏から剣技を叩き込んだ。何打ったか速すぎてわかんない。
でも最低でも3発は剣技を使ったと思う。
ズシン______
とハードネスレディバは地面に追突。
無論だれも巻き込まれたりなんてしてない。
生命反応は無し。どうやら倒しちゃったみたいだ。
完璧すぎる連携、ハードネスレディバの弱点を二人とも知ってたからだとしても、もはやなにも言わずにこれはすごい。さすが双子と言うべきなのかな。
「お姉ちゃん、イェーイ!」
「ロモン、イェーイ!」
ロモンちゃんとリンネちゃんはハイタッチ。
「どうでしたか?」
「うん…近いうちにチームランクAに上がれそうな気がしてきたよ」
「Bランクの魔物倒しちゃったんだもの」
そう、もうこの二人の実力はかなり高いって言っていいと思うの。
私は時計を取り出して、時間を見た。
朝の9時くらいから潜り始めて、まだ昼の1時。
4時間しかまだここにいないのか…でもちょうどお昼時だね。
まだゴールが見えそうにないけれど、結構長いダンジョンなのかも。
「一旦町に戻って昼食にしましょうか」
「うん、そだね!」
「今回回収した魔物は総計してかなり高値になると思うので、ちょと贅沢して高級店に行くかたくさん食べるかしましょうか」
テントウムシの魔物は高く売れるからね。私はそう提案をしてみる。
「うんっ! たくさん食べたいな!」
「ぼくもロモンと同感だよ! でもその前にちょっとお風呂入りたいな」
「お姉ちゃん、私も」
確かに年頃の女の子が汗だらけで洞窟の中から出てきて街に繰り出すとか…そそる…じゃなくて、良くないもんね。私だって今ゴーレムじゃないし、お風呂入りたい。
「わかりました。私も入りたいです。とりあえず魔物を売ってから宿に戻り、3人で一緒にお風呂に入りましょうか!」
「「うんっ!」」
ふひひ、さらっと3人でお風呂に入ることに成功しましたぁ。まあ、ここんとこ最近は毎日一緒に入ってるんだけどね。
######
次の投稿は2/9です!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます