第94話 進化再び、でございます…!

 夜に街へと戻ってこれた。


 オーニキス様から、今日はとりあえず休んで良いと言われた私達は、興奮しながら大急ぎでお屋敷へと戻るの。


 なにをそんなに興奮しているのか。

 やっとサナトスファビドを無力化できたからだとか、そういうのもある。

 それもあるけれど一番の理由は、そう、私、ついに2回目の進化ができること!


 馬車の中でロモンちゃんにそう伝えたら、大はしゃぎしてた。

 正直、大会を優勝した時よりも喜んでくれたかもしれない。ニッコリ笑って馬車の中をぴょんぴょこ跳ねまわっていたし。


 前の進化はお爺さんに見てもらったから、今回の進化はお母さんに見てもらおうという話になって、馬車の中では進化しなかったの。

 進化するとき、リンネちゃんも一緒に居て欲しいしね。


 今回、狙うは半魔半人になること。

 これになってしまえば、私が単独で行動する上で不便なことが無くなるからねー。



「お母さん、お姉ちゃん、たっだいまー!」

【ただいま戻りました!】



 屋敷の扉を勢いよく開け、そう言うと、ロモンちゃんとお母さんがリビングからすっ飛んできた。



「お帰りなさい!」

「お帰りー! サナトスファビドは?」

「お父さんが斬って、アイリスちゃんが氷魔法とか使って無力化したよ! もう大丈夫!」

「そう、良かった…」



 お母さんが安堵した顔をする。

 この一家はこの件に思いっきり関わってるからね、心配なるのは仕方なかったと言えよう。

 でも、もう大丈夫だからね。



「またしばらくしたら、宿に戻って、お仕事頑張ろうね! ロモン、アイリスちゃん!」



 そんなこと言いながら、リンネちゃんが私の頭を撫でてくれる。



「そうね! でも寂しいから、お父さんが戻るまでうちに居てほしいなぁ…ダメ?」

「「ううん、いいよ!」」



 そんなお母さんの提案、というよりはお願いかな。

 つまり、あと3日はこのお屋敷に居ることになったんだね。



「じゃあ、はやくお夕飯食べようね。今から作るわね」



 リンネちゃん達がイエスと答えたから満足したのか、お母さんは夕飯を作りにリビングに行こうとした。



「あ、まってお母さん!」



 ロモンちゃんはそれを止める。

 お母さんは足を止め、私達の元に戻ってきた。



「なに、どうしたの?」

「あのね、聞いてね! じつ、実はね、実はね」

「ロモン、ちょっと落ち着いて…」

「あ、うん」



 リンネちゃんに指摘され、ロモンちゃんは一度、ゆっくりと深呼吸をし始める。

 2~3回、吸ったり吐いたりを繰り返し、リラックスできたのか、ゆっくりと伝えたかった内容を話し始める。



「あのね、アイリスちゃんがね、進化できるの!」

「本当!?」



 リンネちゃんが私を見てくる。

 私は頷きながら答えた。



【ええ。必要なレベルまでに達しましたので。進化できますよ】

「わぁ…! すごいすごい!」



 リンネちゃんもそれを聞いて飛び跳ねて大喜びしてくれる。本当、ゴーレムに優しいんだから…。

 お母さんにとっては魔物の進化はそれほど珍しくないのか、飛び跳ねて喜んではいなかった。

 ……あれ? もしかして飛び跳ねるのはお父さんの方の癖だったりする? まあいいか。



「どうするの? ロモン、アイリスちゃん。さっそく進化する? するなら、あの練習場へ移った方がいいわね」

「うん! アイリスちゃんどうする?」

【ええ、今すぐ進化したいです!】



 満場一致で今すぐ進化することになった。

 闇魔法を練習したあの地下の練習場まで、私たちは行く。

 いつの間に手にしていたのか、お母さんはあの分厚い辞書のようなメモ帳を持ってきていた。

 この広い地下室の真ん中くらいまで歩き、そこで止まる。



「じゃあ、私が見ててあげるから、進化しても大丈夫よ」

「うん! じゃあアイリスちゃん…進化、しよっか!」

【はい!】



 私は進化することを意識する。

 たった一度だけ、生きるか死ぬかの瀬戸際の時に見たあの表示がまた、私の頭の中に流れてくる。



 

【進化します

結果予測:それぞれ25%の確率


リトルリペアゴーレム→リペアムゴーレム

          →スペアラゴーレム

          →ホワイトゴーレム

          →エンジェルゴーレム


 以上からランダムです。


 特別な進化です。

 ・極至種の続行

 ・半魔半人となる確率34.5%     】




 半魔半人になる確率はおよそ1/3。

 これが良いのか、悪いのか。是非とも人間になりたいのですが、お願いですから半魔半人化、成功してください。


 前なんかよりも気軽に、進化すると心の中で決める。

 それと同時に私の身体は眩しくて温かい光に包まれる。


 そして、私の頭の中には、前と同じ【進化中】というもじと、なにかをダウンロードしてる最中みたいな割合が表示された。



【進化中……23%】


【進化中……36%】


【進化中……52%】


【進化中……69%】


【進化中……81%】


【進化中……97%】






【100%

 進化が完了しました。

 結果 ランクB↓

 エンジェルゴーレム〈極至種〉】


【半魔半人となることに成功しました!】


【レベルが1に戻ります】


【回復魔法『リペアム』『スペアラ』が『リスペアラム』に上がりました!】

【補助魔法『オフェルオ』『デフェルオ』『スフェルオ』『ワフェルオ』『エフェルオ』が『フェルオール』に上がりました!】

【火の魔法『リファイム』『スファイラ』が『リスファイラム』に上がりました!】

【水の魔法『リバシャム』『スバシャラ』が『リスバシャラム』に上がりました!】

【風の魔法『リビューム』『スビューラ』が『リスビューラム』に上がりました!】

【土の魔法『リドゴドム』『スドゴドラ』が『リスドゴドラム』に上がりました!】

【雷の魔法『リゴロゴム』『スゴロゴラ』が『リスゴロゴラム』に上がりました!】

【氷の魔法『リヒョウム』『スヒョウラ』が『リスヒョウラム』に上がりました!】

【光の魔法『シャイ』を習得しました!】


【特技『魔流の気』が『魔流創気』に上がりました!】

【特技『魔集爆』が『魔集大爆』に上がりました!】

【特技『挑発』が『大扇動』に上がりました!】


【特殊特技『極みに至る聖なる光』を習得しました!】


【種族特技『天使の大羽』を習得しました!】


【身体特技『自由退化』を習得しました!】

【身体特技『半魔半人化』を習得しました! 半魔半人状態の場合、この項目は『魔物化』と表示されます】




◆◆◆



「あ…アイリスちゃん!」



 私はその、ロモンちゃんの声で目覚める。 

 ……身長がかなり高くなってるね。何時ぞやのスヒョウゴーレムと同じくらいの高さかもしれない。

 だとすると、だいたい2m~2m30cmくらいが私の身長かな。

 ロモンちゃん、リンネちゃん、お母さんを上から見れるね。

 


「わぁ…大きいね!」

「おめでとうアイリスちゃん! おそらく、また新種よ。図鑑でも見たことないわ…」



 そうなのか。

 エンジェルゴーレムだっけね、これ。



「おめでとうね、アイリスちゃん! とりあえずステータス確認していい?」



 ロモンちゃんがそう言った。

 私はそれに賛同する。



######


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