第52話 冒険者ランクの上昇でございます!!!

 私は起きた。

 いつも通り、私の主人である可愛い双子は可愛い寝息をたてながら、私に抱きついて眠っている。

 そしていつも通り、しぶしぶ腕の中から這い出て、嬉々して掃除・洗濯・朝食の支度をするんだ。

 お掃除楽しい。すごく楽しい。


 今日の朝食はカリカリに焼いたベーコンにスクランブルエッグ、野菜のあまりを突っ込んだ具沢山スープに、焼いたパン。私の分は用意しない。


 今日の晩御飯はお祝いするから、豪華になるんだ。

 その時に一緒に食べるの。



「うわぁ…いい匂いする! おはよ、アイリスちゃん!」

「いつもありがと、アイリスちゃん。おはよう!」



 ロモンちゃんとリンネちゃんが起きてきた。

 二人は朝食を食べる。いつもいつも美味しそうに私の料理を食べてくれるんだ。



「「ごちそうさま!」」



 相変わらず、すごいスピードで食べるけどね。

 ご飯を食べ終わった二人は、着替えて仕事の準備をする。これもいつものこと。



「お姉ちゃん…」

「どうしたの? ロモン」

「なんか今日、いい事が起こりそうな気がする」

「いい事かぁ…何かな?」

「わかんない」



 ロモンちゃんはやっぱり勘がいい。

 起こるんですよ、これからいい事が。ふふふ。

 準備をし終わった私達は、宿から出てギルドに向かう。


 ギルドの中に入ると、ギルドマスターが近づいてきた。



「よぉ! 嬢ちゃん達! 【それとゴーレムさんよ】」



 と、豪快に笑いながら挨拶をする。

 ちなみに、その念話は私達にしか聞こえていない。



「おはようございます! おじさん。朝からお酒ですか?」

「おうよ、酒は俺のパワーの源だからな!」



 彼はそう、ガハハハハと笑いながら、グビグビと酒を飲んだ。



「そうなんですか……」

「ところで嬢ちゃん達、ちょっとついてきな」

「…? はい」



 ギルドマスターは立ち上がり、二人についてくるように言うと、受付へと向かい始めた。

 ロモンちゃんとリンネちゃんは不思議がりながらもついていく。

 いよいよだね、いよいよEランクの冒険者になるんだよ!



「よし、二人共、この姉ちゃんにカードを出しな」

「「は…はい」」



 ロモンちゃんとリンネちゃんは言われるがまま、受付嬢に冒険者カード手渡した。

 受付嬢はニッコリと笑いながらそれを受け取ると、何かの装置の中にその二枚を差し込んだ。


 しばらくして、また、その装置からカードを抜き取り、二人に手渡した。



「はい、今日から貴女方はEランクの冒険者ですよ!」

「えっ!? 本当ですか?」

「ああ、ギルドマスターの俺が言うんだから、間違いねぇよ」

「ええっ!? おじさん、ギルドマスターだったんですか!」



 二人は二重で驚いたが、すぐに我に返り飛び跳ねて喜び始めた。



「やった! やったよ! ぼく達、Eランクだよ!」

「やったー! やったね、アイリスちゃん!」



 そんな二人を周りの皆様は微笑ましく見ている。

 ちなみに私はロモンちゃんに抱きつかれてます。



「ガハハハハ、お嬢ちゃん達は今日からDランクの依頼まで受けられるからな!」

「はいっ! 頑張ります。おじさ…ギルドマスターさん!」

「頑張ります!」

「ガハハ、今まで通りおじさんでいいぜ。それにしても嬢ちゃん達はランクが上がるのがかなり早いぜ」



 そう言いつつ、彼はロモンちゃんに抱きつかれてる私を見た。



【お前さん、アイリスって名前だったんだな】

【ええ、いい名前でしょう?】

【ハハッ、そうだな】

 


 と、私とギルドマスターが念話で話している間に、いつの間にか私から離れたロモンちゃんとリンネちゃんの二人は、早速Dランクの仕事を選んできてしまったようだ。

 行動が早い。



「おじさん、ぼく達この依頼に行ってきますね!」

「お…おう。もう行くのか。無理すんなよ?」



 二人はその依頼紙をら既に冒険者用のカウンターのお姉さんに提出したんだね。

 どんな依頼を選んだんだろ?

 私は二人の元へ駆けた。



【どんな依頼を選んだのですか?】

「これだよ! ここから近くて、転移魔法陣でこの城下町まで帰って来ることを考えたら、今日中に終わるDランクの依頼なんだよ!」



 リンネちゃんは私に依頼紙を見せてくれた。



〔採れたてのアブナイノシシの肉が2頭分欲しいんだ。

 条件:Eランク以上の冒険者の方。Dランク推奨。

 報酬:120000ストン+アブナイノシシ2頭の分の代金

 詳細:Eランクの魔物、アブナイノシシを2頭、なるべく傷を付けずに狩ってきて欲しい。その分、報酬は弾む。依頼主である私に直接的、アブナイノシシの亡骸を渡して欲しい〕



 アブナイノシシ2頭の討伐か。

 割と簡単な内容だね。場所はここから馬車で2時間半くらいの村。まぁ、良いんじゃないかな?



【わかりました、では行きましょう】

「「うんっ!」」



 二人は元気よく頷いた。

 私達はすぐにギルドを後にし、馬車に乗り、そのままその村まで行った。


 ……結果を言うと、私の大探知を駆使してアブナイノシシを見つけ出し、私のパンチで丁度いい具合に殴り飛ばし、いとも容易く依頼を達成し、魔方陣で帰ってきてギルドで報酬を受け取った。

 ちなみに、依頼主である薬剤師は、アブナイノシシの肉で薬の実験をしたかったのだそうな。


 こうしてEランク冒険者パーティとしての初仕事はあっけなく終わった。

 

 今、私達は部屋に戻ってきている。

 ロモンちゃんとリンネちゃんは昨日のように、私を撫で回してくれているんだ。



「いつものことだけど……移動時間の方が長かったね」



 ロモンちゃんがそう、ポツリと言った。



「そうだね、ロモン。でも…まさかDランクの依頼もすぐに終わっちゃうだなんて、考えもしなかったよ」

「でもほら、お姉ちゃん。アイリスちゃんはトゥーンゴーレムの時にはもう、Dランクの亜種を倒してるから……」

「そうだったね! すごいよーアイリスちゃん!」



 リンネちゃんは撫でていた手を止め、私に抱きついて頬ずりをしてきた。うへへ…いいぞー。

 しばらく、そうして可愛がられた私は夕飯を作り始める。今日はローストビーフにした。


 そして、いつも通り3人でお風呂に入ってから眠った。

 




#######


もうお気づきの方もいらっしゃっるかと思いますが、本作品は4日に1話の投稿でございます。

次回は5/30日に投稿いたします。


お陰様で、カクヨム様以外、小説家になろう様、アルファポリス様にも投稿させて頂いております。

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