*:・'°anytime near you .:*:・'° * ~短編小説集~

@anytime

第1話 明けましておめでとう

正月に、実家に帰った時の話だ



仕事も、正月休みということで、私は、久し振りの実家で、のんびりしていた



年賀状なんて、まったく書かなくなってしまった私だが、数枚、届いていた…



地元に住んでる 学生時代の友達や先生、


地元に住んでいた時に通っていた美容室などの お店…



なつかしいなぁ、なんて思いながら見ていたら、1枚、違う感じの年賀状が 混じっていた




あれ…、なんか、子供が書いた 絵っぽいな…


字も 少し子供の字みたいだし…




そこには、今年の干支の馬の絵と、「謹賀新年」、「明けましておめでとう」


それと、少しの文章が書いてあった




誰だろ?




間違いで、うちに届いたのかな?




でも、田中さちこ って、私宛になってるし…



ん?…蔭山さつき…、誰だっけ?



聞いたことあるような…





あっ!!





小学校の同級生だ!!




思い出したっ! そうだっ! さつきちゃんだ!





でも、なんで? …なんかあったのかな?





さつきちゃんとは、小学校6年の時に 同じクラスだった



私と さつきちゃんは、特別 仲良しってわけでもなく、 仲悪かったわけでもなく……



正直、あんまり、覚えてない



そして、小学校を卒業して、それっきりだった…




なんだろう?



それにしても、さつきちゃんが書いた絵も字も、 子供みたいだな…




私は、馬の絵の下に書いてある文章を

読んだ



そこには…、



かおりちゃんのグループに、

私が いじめられてた時に、

私を守ってくれて、ありがとう…



…みたいなことが書いてあった



あー、そういえば、小学生の時に、そんなことあったな



で、私と かおりが ケンカしたんだっ、ははっ


まっ、もともと 仲悪かったから、かおりと…




かおりとは、そのあと、高校で再会し、それから、 仲良く遊ぶようになった。



さつきちゃんは、頭良かったから、県内で一番 頭のいい高校に入ったってことを、

友達から聞いていた




さつきちゃん、よく、覚えてたな、こんなこと…




なつかしいな…




私は、今でも時々、連絡を取り合う小学校の時の友達に聞いてみた



「ねぇ、さつきちゃんって、覚えてる?


私のところに年賀状、来たんだよ


さつきちゃんのメアドとか知らないかな?


久し振りに、会いたいなぁって… 」




……



「えっ…、さつきちゃんって、小学校の時の…



そうかっ…、さち子、 高校卒業して、ずっと地元 離れてたから、知らないんだ… 」




「…ん?…なに?」





「さつきちゃん、高校卒業したあと、亡くなったんだよ…、交通事故で…」




「…うそ、……知らなかった、


………でも…、年賀状、来たんだよ」




「…よく、分かんないけど、…さつきちゃんの家に電話してみたら?


卒業アルバムに電話番号、載ってるよ…」




「…うん、そうだね、電話してみるよ…」





私は、小学校の卒業アルバムを引っ張りだし


そこに、載っていた、さつきちゃんの家の電話番号に電話した……




電話には、さつきちゃんの お母さんが出た、


私は、年賀状のことを、話した




「さちこちゃん、びっくりさせて、ごめんなさいね…



最近、さつきの部屋を、少し片付けていたら、その年賀状が出てきてね……



ちょうど12年前の年賀状なの、それ…



さつきが、さちこちゃんに出したかったらしいんだけど…


その年、うちの おばあちゃんが亡くなってたから、出せなかったのよ


そのこと、思い出してね、…つい、出しちゃったのよ。」





「そうだったんですね……」




「驚かせて、ごめんなさいね……



…よかったら、うちに、お線香 あげにきてね、さつきも 喜ぶから」




「はい」









私は、次の日、さつきちゃんの家に行った



さつきちゃんの、お母さんは喜んでくれた




お線香をあげ、私は、さつきちゃんに年賀状を渡した



年賀状には、手書きで、私の下手くそな馬の絵と、


さつきちゃんへの、メッセージを書いた…





~さつきちゃん、明けましておめでとう!



年賀状 ありがとう!うれしいよ!




それに 大丈夫!、


気にしなくていいよ


私が、さつきちゃんのこと守るから


今度、さつきちゃんのこと、いじめたら、


私が、かおりのこと、泣かしてやるから




私と、さつきちゃんは、友達だよ。


今年もヨロシクね。~






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