第63話 もう一人

「こんなにあれこれ考えてるんですね!プログラマーって!」

高崎くんが三人の動きの速さを見て言った。テキパキと仕事を進める僕らを見て驚いているようだった。一般的にはなかなかコミュニケーションを取るのが難しいと考えられているのだろう。


「そうだね。先読みするスキルはかなり大事になってくるね。プログラマーのリソースは時間だけなので、それを最大化させるのが最大のスキルになる」

僕は説明する。ただ文字を打つだけの仕事ではないといえる。最近ではビジネスがわかるひとがかなり求められているし、総合職と言える。逆に一部のトップのソーシャルネットワークの会社ではすべての職員にプログラマーであることを求めるところもある。


「たしかに、みんな先読みしてポンポン進んでいきますね!」

高崎くんが僕たちの仕事の仕方に付き合ってきているのでそう印象があるようだった。


「高崎くんの勘の良さもなかなかのものだけどね」

僕は言った。これは本当にそう思っていて、さすがの能力だった。警察という世界でしっかり成績を収めているだけはある、そうでなければ、こういうポジションにはこない。


「そうなんですよ!えっへん!」

高崎くんは胸を張って言った。なかなか可愛らしかった。さすが日本一強く賢い美少女だった。


「うん、助かってるよ!」

ぼくはうなずく。


「えへへ」

高崎くんは喜んでいる。


「さて、ヒカルちゃん顔認識の精度を上げるのは僕とやろうか?」

僕はヒカルちゃんに言った。今までの部分は彼女の手グセでできる部分だったが、ここからはすこし知識が必要な部分になる、そこは僕がサポートしていく。


「うん、わかったんだよ!!」

ヒカルちゃんが言う。


「どこまでできるんだっけ?」

僕は聞く。ある程度聞いていたが、僕が知らないうちに進めているだろうし、現状が知りたかった。


「うん、デフォルトでついてる顔認識のアルゴリズムですべての顔を取り出して、今回の犯人5人の顔との類似度で1000人出したんだよ!」

ヒカルちゃんは言った。そう、いまはその1000人に絞り込んだものを警察官の皆さんに調査してもらっているところだ。


「うん。良い仕事だね。これですでに1人見つかってるからね。時間対効果がかなりある」

僕が言う。そうそれですでに一人見つかっている。これもだいぶ大きな成果だった。


「すごかったです!」

高崎くんが言った。驚くべき成果だということだろう。


「今どこまで進んだんだっけ?」

僕が高崎くんに確認した。


「800まで進んでますね」

高崎くんは朝の時点の最新の警察からの数字を教えてくれた。


「そろそろもう1人ぐらい見つかるんじゃない?」

僕は言う。確率的にはもうひとり見つかるか見つからないかと言ったところだろう。


「はい、高崎です!はいわかりました!」

高崎くんが電話を受けて報告を受けている。


「先生もう1人見つかりました!」

高崎くんは僕らに報告した。


「やったね!あと三人だ!」

僕は言った。だいぶ進んできたと言える残りは三人。より速く捕まえたい。

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