第39話 防犯カメラ
「これですか?」
高崎くんが僕に聞く。今発生した脱走事件について僕が次にやるべきテーマだと考えたからだ。
「そうだね。ちょうど捜査のサポートに役に立つんじゃないかな」
僕は呟く。ちょうど機械学習などのビッグデータを使ったシステムが役にたつ案件のように見えたからだ。
「そうなんですか?」
高崎くんは僕に質問した。どのようにビッグデータが関わってくるかピンと来なかったのだろう。
「そうだね。脱走の捜査について知りたいね」
僕は聞いた。そもそも今まではこう言う時どうするのか知らなかった。今までの警察との仕事のやりとりで、そんなに最先端の技術が使われてないことはイメージがついたが実際にどう言う風に行われているのかはわからなかったからだ。
「はい。わかりました。一般的には防犯カメラの映像や聞き込みによる操作になります」
高崎くんがざっくりと説明してくれた。やはり一般的なイメージ通り聞き込みと防犯カメラのチェックらしい。
「そういえば警察が持ってる、防犯カメラって何個あるの?」
僕が高崎くんに聞く。ここが大事だからだ、防犯カメラの数が多ければ多いほどビッグデータの恩恵を受けやすい。
「大体・・・県ごとに50個ぐらいですね」
高崎くんがそう言った。
「え、そんなに少ないの?」
僕が驚く。思っていたよりずっと少ない数だ。僕からするとないのと同じぐらい少ない・・・。
「そうですね、警察が管理してるものはそのぐらいです」
高崎くんはそう答えた。管理しているものはという言い方に特別な意味がありそうだ。
「そうなのか・・・」
僕が呟く。その数でどうやってバリューを出そうか考え始めた。
「新宿の歌舞伎町が有名ですね。殺人事件がほぼ無くなりました」
高崎くんが実例で教えてくれた。これはかなり有名なものだ。大々的にニュースでも取り上げられていたものだ。
「それは凄いね。めちゃくちゃ効果あるね」
僕はその凄さについて考えた。年間に数件あったとしてもゼロになったら3倍以上の効果がある、それはとても素晴らしい。単体のアイデアで倍以上の効果が出る施策はなかなか出てこない。
「はい、それから直接管理してるものはそのぐらいなのですが、提携してる場所のデータベースを持っていて、そちらは1万をこえています」
高崎くんが言った。つまりこう言うことだ、警察が特別に管理している、つまり設置しているものはそのぐらいと言うことだろう。特別に犯罪が多発している地域に設置していると考えられた。
「なるほどなるほど」
僕は頷く。
「それはどういう風に使うの?」
僕は高崎くんに聞いた。防犯カメラの画像をどのように調べているのかという意味だ。
「はい、捜査員が目視で確認しています」
高崎くんが当たり前のことのように言った。
「だよね」
僕は頷いた。
「他にいい方法があるんですか?」
高崎くんは不思議そうに僕に聞いた。
「もちろんあるよ、さてどこから説明するかな」
僕は言った。
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