第28話 新しい街みたいです

俺は新しい従魔に乗ってアイラたちの元へ戻ってきた。そして、『ルーフ』の紹介をすることにした。


「さぁ、こいつが俺の従魔『ルーフ』だ!」

「え?もしかして、これってシルバーウルフの希少種じゃない?」

「…ん、強そう」

「いかにも、我はシルバーウルフの中で最も珍しいとされる希少種だ」

「こんなの…お伽噺の中だけの架空の生き物だと思ってわ」

「そりゃそうだ。ルーフはなんたって伝説の勇者にしか使えないと言われていた神獣だからな」

「でも、神獣なんて居たらみんながツバサの命を狙うわよ。」


やっぱりイズナは考えることが真面目だなぁ。だけど問題ないのだ!俺には方法がある。


「ふっふっふ、俺には秘策があるのだ!」

「ひ、秘策って何よ?」

「…ツバサ、私も知りたい」

「いいだろう、秘策とはモンスターテイムのレベルが上がったことによってテイムしたモンスターを専用のボックスに保管、そしてその状態からいつでもどこでも召喚することが出来るのだ!」

「なんか昔聞いた『ねっとしょっぴんぐ』とか言うやつみたい感じね。」

「…イズナはネットショッピングを知っているのか!?」

「えぇ、私が前にいた村に男が来たんだけどね、なんか『ぱそこん』とか言う箱を置いていったわ。『これがあれば業者に注文ができて、すぐに荷物が家に届く』みたいなことを言ってたわ」

「マジか!?こんなすぐに他の転移者の話を聞けるなんて、俺は運がいいぜ!!」

「…ツバサ、話についていけない……」

「ハッ!?ごめんよアイラ!!…とりあえずアイラはルーフに乗って移動しよう。俺とイズナは走っていくから、アイラはルーフにしっかり捕まっててくれよ?」

「…ん、ツバサの頼みなら…」

「えー、私は走るのー?」

「あぁそうだ。仮にも獣人だろ?」

「まぁそうだけど…分かったわよ、走るわ」

「我はこの娘を乗せて主についていけば良いのか?」


なんかごめんなルーフ、神獣なのに空気になっちゃって…。だが、これからはお前が活躍する日がくるはずだ!


そんなことを考えながら俺たちは移動を開始した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とりあえず街に着いたが、やはりそこは俺の知らない街だった。


「ここは、なんて街なんだ?」

「えーと、確か…『あきはばら』っていう街だった気がするわ。なんでも『おたく』とか言う大きなお友達たちが集まるとか…」


秋葉原って思いっきり地球から転移してきた奴じゃねえか!!誰だよそんな転移者がいるって分かりやすい名前付けた奴は!!


「この街の名付け親はどこにいるんだ?」

「さぁ、私が来たのは9年前だからよく覚えていないの。そこらへんに歩いている人に聞いてみればわかるんじゃないかしら?」


そうか、とりあえずそこら辺にいる人に話しかけてみるか…


「おーい、ちょっと話を聞いていいか?」

「せ、拙者でござるか?」

「あぁ、そういうタイプか…」

「拙者は次の『ロリっ娘萌え萌え』タソのライブに行くのに忙しいのでござる。…本当に申し訳ないでござるぅ。…ではさらばっ!」


そう言って凄いスピードで走り去っていた。


…なんだあのオタクのテンプレみたいな奴は!?まぁ気を取り直して次の奴に話しかけてみるか。


「おーい、この街について話を聞いてもいいか?」

「ふむ…貴方が話しかけているのは自分ですかな?」

「そうだ」

「ふむ、まぁ自分でよければいくらでも話しますぞ!」

「助かる、まずこの街の名付け親の居場所を知りたいんだが、どこにいるか知ってるか?」

「あぁ~、それはヒロト殿のことですかな?」

「多分そいつだ、そいつの居場所はわかるか?」

「オウフ…ヒロト殿は中央広場で行っている『ロリっ娘萌え萌え』タソのライブに行っているので、そこに行けば会えるはずですぞ!いやぁ、『ロリっ娘萌え萌え』タソは最高であります!!『ロリっ娘萌え萌え』タソは何がいいかと言いますと、まずは見た目!あの見た目は完全に幼子にしか見えないのです!それなのに実年齢はすでに成人しているという、見た目と実年齢のギャップがあるのです!であるからして『ロリっ娘萌え萌え』タソの魅力はやはり…」

「分かった、ありがとう。もういいよ」


めちゃくちゃ話が長かった…なんか一気に体力を持っていかれた気がする…

だが、これでとりあえずこの街を作ったヒロトっていう奴がいる場所が分かったからアイラたちと一緒に『ロリっ娘萌え萌え』とかいう奴のライブに行ってみるか…


「…ということで、なんかのアイドル?のライブに行くことになった。だからアイラは特に自分の身を守ることを第一にしてくれ。」

「…ん、頑張る」


なにが『ロリっ娘萌え萌え』タソだ!うちのアイラタソのほうが最高でござるよ!!デュフ、デュフフフ


「ちょっと、心の声が漏れてるわよ!」


おおっと、危ない危ない…危うく変なスイッチが入っちまうところだったぜ。


「とりあえず、ライブに行くぞ!」

「…ん」

「はぁ、分かったわよ」


こうして俺たちは『ロリっ娘萌え萌え』のライブに行くことにした。

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