第25話 再開みたいです
「これからどうしよう?」
キングスライムを仲間にした俺だったが、これからのことは何も決まっていなかった。
「とりあえずスライムに色々と聞いてみるか…」
そう言って俺はスライムにいくつかの質問をすることにした。
質問の内容は以下の6つだ
1.ここに魔王が住んでいるのか
2.近くに人(亜人も含む)は住んでいるのか
3.キングスライムより強いモンスターはこの辺りにいるのか
4.何故この近くにはこんなに生物が少ないのか
5.キングスライムはどうやって生まれるのか
6.魔獏に喰われた記憶は戻ることがあるのか
7.魔王の城はどこにあるのか
そして質問の答えは以下の通りである。
1 魔王はこの世界に8人いるが、この大陸にいるのは1人だけ
2 この付近には魔族かモンスターしか生息していない
3 キングスライムより強いモンスターは聖獣やドラゴン等しかいない
4 ここの魔素(大気中に漂う魔力)が濃すぎて、並みのモンスターならば耐えられずに爆発してしまうから
5 魔素が集まって生まれたので、最初からキングスライムだった
6 何かのきっかけで戻ることがある
7 魔王の城は今いる場所から北に歩いて2日くらいのところにある
「よし、ありがとうなスライム…そういえば、名前を付けないといけないな。名前がないと呼ぶときに不便だからな。」
俺は一先ずスライムの名前を考えることにしたが、なかなか名前が決まらない…
「うーん、キングってのはイマイチピンとこないな…そうだな、スライムだからスとイを抜いて『ラム』にしよう!どうだ?」
すると、スライムもといラムはプルプルと嬉しそうに震えた。
「よし!じゃあこれからはラムって呼ぶからよろしくな!」
こうしてスライムの名前はラムとなった。
「じゃあ、ラム!魔王のところへ案内してくれ。」
そう言って俺はラムを抱えて走り出した。
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俺が半日ほど走っていると、日がだんだんと暮れ始めた。
どこか魔物に襲われにくい場所がないか探していると、ラムが触手を伸ばして俺の肩を叩いた。
「ん?どうしたんだ?」
そう俺が聞くと、ラムは触手を伸ばして茂みの方を指した。
俺がその茂みに近付いてみると、小さな小屋があった。
「もしかして、ここで夜を明かすために止めてくれたのか?」
俺がそう尋ねると、ラムは触手で○を作った。
「ラムはいい奴だな…ありがとう」
俺はラムがあまりに気が利くので思わず泣きそうになったが、まずは小屋の確認が先だ。
一先ず俺は小屋の中を見てみた。すると、小屋の中にはエルフっぽい感じの女の子がいた。
(ウホッ、エルフカワユス!…ん?まてよ、たしかラムの話だとこの辺りに亜人とかは居ないんじゃなかったか?)
そう思った俺はとりあえずその女の子に質問しようとしたが、その女の子は俺の方を見て驚きの表情を浮かべていた。
「ん?どうかしたのか?」
「…ツバサ??」
「確かにツバサだが、君は誰だい?」
「!?」
え?俺はこの子を知っているのか?
…もしかして、魔獏に喰われた記憶ってこの子に関することなのか?
俺はその子が喰われた記憶に関係のある人物かも知れないと思って名前を聞くことにした。
「ちょっと、一部の記憶が抜け落ちててさ…よかったら君の名前を教えてくれないか?」
「…私の名前は、アイラ……」
「!?」
俺はその瞬間にアイラとの記憶を思い出した。
盗賊団から助け出した時の記憶、一緒に食事に行ったときに記憶、武器を選びに行った時の記憶…ほかにも色々な記憶が俺の頭を駆け巡った。
「アイラ…アイラ!思い出した!!お前は俺の大好きなアイラだ!!」
「…ん、よかった。記憶戻った…みたい。なんで、記憶失ったのに…ここが分かったの?」
「俺が魔大陸に来た日に、木の上で寝ていたら魔獏とかいう魔物に記憶を喰われちゃって、そしたら一部の記憶がなくなってて、とりあえず近くにいたこのスライムのラムを仲間にして魔王の城に向かおうとしていたら、途中でラムがこの小屋に案内したってわけだ。」
「…ん、ラムに感謝」
アイラが撫でるとラムは嬉しそうにプルプルと震えた。
「アイラは魔大陸に転移されてから何かあったか?」
アイラに何もなければいいが、一応聞いてみることにした。
「…この魔大陸に来て、隣見たらツバサ居なかった…。だから暫く安全なところに居て、体調が万全になってから…周囲を探索しようと思った。」
「ゴメンなアイラ…こんな場所に一人ぼっちにさせて。次は1人にさせないように頑張るから、また一緒に居てくれるか?」
俺はアイラが離れていくのが少し怖かった…だが
「…ん、私の居場所はツバサの隣だけ」
俺の心配は取り越し苦労だったようだ。
「ありがとなアイラ。…さぁてと、一先ず今日はこの小屋で夜を過ごそう。明日になったら魔王の城にでも行ってみるか…」
「…ん、魔王に会ったら…何か情報が入る、かもしれない」
意見がまとまったので、その日色々あって疲れた俺たちはすぐに寝ることにした。
…そういえばまだ何か忘れているような気がするが、まぁいっか。
こうして俺は無事アイラと再会することができたので、安心して眠ることが出来た。
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