第49話 アイラはやっぱり可愛いみたいです

 …街をふらふらしようと思ったのだが、どこへ行けばいいのだ?

 とりあえず、見る限り開いているのは服屋か武器屋だな。とりあえず、武器屋で何か良い武器がないか見てみるとしよう。


「いらっしゃい」


 店に入ると、店員はあの店と違って、普通の気さくそうなおっちゃんだった。

 ホッ、普通の人でよかった…。


「なにか武器をお探しで?」

「あぁ、一先ずここにある武器を全部見せてもらっていいか?」

「いいぞ、こっちへ来てくれ。」


 おっちゃんについていくと、壁一面に武器がズラっと並べてある部屋に着いた。


「おぉ、凄いな。」

「ここは、この街で一番武器が揃っている店の武器庫だからな。このくらいは当然だぜ?」

「えーと、全部見てもいいか?」

「おう、好きなだけ見てってくれよ。」


 どれどれ…『鑑定』

 

 鉄の剣、銅の剣、銀の剣、ノン剣、聖剣エクスカリバー、聖剣エクスカリバー、性剣アナヲホレバ―


「…なぁ、なんでエクスカリバーが二本もあるんだ?」


 俺は気になったことを聞いてみた。…他の剣については、突っ込むのが面倒なので無視することにした。


「ん?あぁ、エクスカリバーか…その剣はちょっと特殊でな、癖が強すぎて売れないんだよ。」

「どこが特殊なんだ?」


 まさか、この剣を持った奴が死ぬとかそういった呪いがついているんじゃないだろうか…。


「この剣は、ゲイが持つと、異常なくらい異性に興奮してしまうという剣なんだ。だから、今までこの剣を買っていった奴らが、女性を襲ってしまうという事件が多発しているんだ。しかも、その噂が広まったせいでこの剣が売れなくて困っているんだ。」

「…はぁ」


 なんでこの世界はゲイが多いんだ?そんなにゲイが多い世界なんて初めてだぞ!…まぁ、異世界転移自体が初めてなんだけどね。


「とりあえず、俺はゲイじゃないから、このエクスカリバーを買わせてもらうぞ。…それに、名前もちょっとカッコいいしな。」

「お、毎度あり!!」

「値段はいくらだ?」

「うーん、兄ちゃんはいい男だから、特別に二本で金貨一枚にしとくぜ☆」

「そ、そうか、ありがとな…」


 こうして俺は、エクスカリバー二本とおっちゃんの笑顔を貰った。


 その後、暫く閑散とした街をふらふらしながら時間を確認すると、11時30分くらいになったので、集合場所に向かうことにした。



「お、アイラが一番乗りか…俺が一番早いと思ったのだが、やっぱりアイラは真面目だな。」

「…ん、ツバサを待たせなくなかった。」

「アイラはホントにいい子だなぁ!」


 俺は思わずアイラの頭を撫でる。


「…ん、どうしたの?」

「いや、急にアイラを撫でたくなってな…イヤか?」

「…イヤじゃない。ツバサなら、いつでも撫でて、いい」


 ファアアア!!カワユス!!もうアイラが居ないと生きていけなくなっちゃう!!

 ついでにアイラの髪の毛の匂いをクンカクンカ…ハァハァ、女の子のイイ匂いだぁ。

 …なんか、俺も変態になってきてるなぁ。イヤ、俺は元から変態なのかもしれないな。


「…ツバサ、どうしたの?」


 心の中で葛藤している俺を、アイラが心配そうに見てきた。


「大丈夫だ、ただアイラの匂いを嗅いを嗅ぐと安心するなぁって思っただけだ。」

「…ツバサ、変態になったの?」

「いや、俺は元から変態のようだぞ。こんな変態な男は嫌いか?」

「…ツバサだから、好き」


 ウホッ、もうダメだ…。俺のライフはゼロになってしまった。

 立っていると、万が一アレが大きくなった時にバレてしまうので、とりあえず椅子に座ろう。


「アイラ、膝の上に座るか?」

「…ん」


 俺が膝をポンポンと叩きながら訪ねると、アイラは躊躇することもなく俺の膝の上に座ってきた。

 あぁ、この軽い体重、お尻の感触、そしてこの匂い…たまらねぇぜ!!ついでに抱きしめちゃおっと。


「…ツバサ、アレが大きくなってる。」

「これは、生理現象だから仕方ないんだ…今晩また頼むぜ。」

「…ん、任せて。」


 そんな感じでイチャイチャしていると、ルーフが戻ってきた。


「ルーフさん、俺とお付き合いを…『ごめんなさい、私には心に決めた人がいるので、ダメです。』」

「ルーフさん、今度俺と食事…『ごめんなさい、ご主人様に許可を貰ってからにしてください。』」

「ルーフさん、お…「後にしてもらえますか?これからご主人様の元へ戻らなくてはいけないので。』」


 なんだか、ルーフはモテモテのようだ。


「あ!ご主人様~!!」


 俺を見つけたルーフが、子犬のように尻尾を振りながら、俺の元へ駆け寄ってきた。


「おぉ、モテモテだなルーフは。…なんか、俺はすごく睨まれてるな。」


 はぁ、男の嫉妬は面倒だな。

 とりあえず、軽めの威圧を発動して相手の精神を圧し折ってみる。


「…アイツには勝てない。」

「…奇遇だな、俺もだ。」

「…チクショー!お幸せに!!」


 どうやら、俺との力の差を分かってくれたようだ。

 そんなやり取りをしていると、イズナが来て、丁度12時になった。


「そろそろ時間だ。みんな、準備はいいな?」

「…ん」

「ええ」

「もちろんです。」


 こうして俺たちは、冒険者ギルドでオーガ出現の報告が出るのを待つことにした。


「オーガだろうが、ドラゴンだろうが、俺が全部狩り尽してやる…」


 俺は笑った。

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