第3話 二人目の部員

ミーティングの翌日から、さっそく練習が始まった。

とはいえ、いきなり厳しい練習にはしないとのことだった、一週間くらいかけてキャプテンを決めるのだそうだ。

健一はというと、一晩落ち込んだ末に一周回って変なテンションになっていた。

―このバドミントン部には女子が7人、そして男子は俺一人、かんっぜんにハーレムやないか!-

なぜか関西弁になっていた。

しかし、部活を楽しめるようになり、練習にも励むようになっていた。

そんな時、一人の男が体育館に入ってきた。

身長は健一より少し低い、少し太った天然パーマの目がぱっちりしている、なんともキャラの濃い男だった。

すこし川本監督と話した後、全員が呼び出される。

「吉本、お待ちかねの男子部員だ!」

相変わらず満面の笑みだ。

ここで、初めてその男が口を開いた。

「小川準といいます。羽束師中学校出身です。よろしく。」

なるほど、家が近所なのか。と、みんなが納得した。

(そういえば、監督があと一人入るって言ってたな。こいつのことか。)

頭の中で整理する健一。

「これでダブルスに出られるな、吉本。」

と監督

「そうですね。えへへ。」

完全に愛想笑いの健一。えへへって。


練習を見てみると、実はその小川君は物凄く早いフットワークで、大きな体からはすさまじい威力のスマッシュが繰り出される。。。


なんてことはなく、見た目通りのフットワークの遅さ、見た目とは裏腹なスマッシュの遅さであった。

(ああ、強い奴とダブルスが組めると思ってたのになあ。)

健一は内心がっかりしていた。

とはいえチームメイト。チームワークは大切だ。

「インハイ目指して頑張ろうぜ」

元気に声をかける。すると、

「え、インハイってなに?」

と、小川君はきょとんとしていた。


健一はまた白目になった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る