トンネル栽培キット~とある人口過密都市~<会話履歴:2ページ目>

  -おかえりーヾ(。・ω・。)

  -チャイム 誰だった?


Chika:さあ。


  -?

  -さあってなんだ

  -誰だかわかんなかったの?


Chika:うん。


  -何それ 不審者?


Chika:そうかな。


  -えー大丈夫かよ

  -今 まだ玄関の前にいるの?そいつ


Chika:ううん。もう行っちゃったみたい。

Chika:大丈夫だよ(^^)


  -そう?怖くない?

  -なんなら 俺今からそっち行くよ?


Chika:心配しないで(^^)


  -ならいいけど・・・

  -なんかあったら 遠慮なく頼ってよ―(`・ω <´)ノ


Chika:ありがとう(^^)




Chika:それよりさ。

Chika:トンネル栽培キットの話の続きなんだけど。


  -ん?

  -まだなんかあるの?

  

  -もしかして やっぱり買うつもりになったとか・・・?


Chika:ううん、そうじゃなくて。

Chika:都市伝説のほう。

Chika:さっき、この人口過密都市に嫌気がさした街の人々が、異世界に繋がるトンネル利用して、この街から逃れて異世界に移住してる……って話をしてたよね。

Chika:その話とはまた別に、もう一つ、トンネル栽培キットにまつわる都市伝説があるのは、知ってる?


  -いや・・・知らないけど


  -んー・・・

  -どんな噂?


Chika:えっとね。

Chika:そうだなあ。その噂の前に、まず……

Chika:トンネル栽培キットで育てたトンネルって、どうやったら塞げるか、君は知ってる?


  -いや 知らないって

  -全体的によく知らないんだってば その栽培キットについては


Chika:そっか。ごめんごめん(ーー)


  -どうやったら塞げるかって

  -土とかセメントとかで塞げないの?普通に


Chika:ああ、そういうのはね、トンネル栽培用語では「塞ぐ」じゃなくて「埋める」っていうんだよ。

Chika:そもそも、トンネル栽培キットのトンネルっていうのは「空間に開いた穴」なんだ。周りにはトンネルを形成する物体は何もなくて、ただ穴のみが存在しているっていう状態のもの。

Chika:だからね、トンネル栽培において「トンネルを塞ぐ」っていうのは、その穴を消滅させることを指すんだよ。

Chika:つまり、きれいに「無」にするの。トンネルを塞いだあとは、そこに何も残らないの。穴も、その穴から奥へ続いてる道も、何もかも、残らず全て消えちゃうの。


  -へ・・・へえー・・・

  -なんか ちょっと怖い気がする(;゜∀゜)


  -チカさんの語り口がどことなく ややホラー気味なような(-ω-;)


Chika:そう?(^^)


  -えーと それで

  -トンネルを「塞ぐ」には 結局どうすればいいわけ?


Chika:うん。あのね。

Chika:トンネルを塞ぐ方法は、ただ一つ。

Chika:それは、トンネルに「生け贄」を与えること、なんだよ。




  -おおう・・・

  -生け贄 ときたか・・・

  -やっぱホラーじゃん(≡Д≡;)


Chika:そうかもね(^^)

Chika:でも、これは栽培キットの説明書にも記載されてる、れっきとしたトンネルの取り扱い方法なんだ。

Chika:トンネル栽培キットで育てたトンネルを塞ぐには、生け贄が必要不可欠。

Chika:生け贄を与えることによって、トンネルは、生け贄ごと消滅する。

Chika:トンネルの穴も道も、生け贄と共に「無」になって、あとには何も残らない。


Chika:それ以外の方法では、どうやったって、けっしてトンネルを塞ぐことはできない。


Chika:ちなみに、トンネルの「お供え」には無生物を使うのが一般的だけれど、「生け贄」は必ず生物でなくてはいけないんだ。

Chika:藁人形とか紙人形とかでお茶を濁すことはできないんだよ。


  -生物って・・・


Chika:虫とか、ネズミとかね。


  -ああ なるほど

  -そういう 小動物系ね

  -それでもまあ 生け贄にされる生き物は かわいそうだけど・・・


Chika:そうだね(^^)

Chika:でもね。小動物でなんとかなるのは、育ったトンネルの大きさが、まだ小さいものである場合だけ。

Chika:必要な生け贄の大きさは、塞ぎたいトンネルの大きさに比例するんだ。

Chika:つまり、蟻サイズのトンネルなら、蟻を生け贄に。ネズミサイズのトンネルなら、ネズミを生け贄に……ってこと。


  -へー

  -じゃあ トンネルが大きくなればなるほど 塞ぐときに大変になるんだ

  -育てたトンネル 塞ぎたいけど塞げなくて 困る人とかいそう


Chika:うん。そういう人は、実際けっこういるよ。

Chika:近頃は、大きくなりすぎたトンネルを塞げずに捨てる人が増えていて、そういった「捨てトンネル」が、全国的に社会問題になってるからね。


  -そうなんだ・・・



  -それにしても トンネル栽培用語って

  -「お供え」とか「生け贄」とか なんか

  -トンネルが まるで神様みたいだ


Chika:確かにね。

Chika:トンネル栽培キットのトンネルは、この世界と異界をつなぐ道なわけでさ。

Chika:異界への道を開いて、二つの世界を繋ぐ。そういう力を持つものって、一種の神様と言えるのかもしれないよ。

Chika:人為的に作り出した神様だ。

Chika:それは、「お供え」によって力を増幅し、「生け贄」によってその力を封じることができる。


  -なるほどー

  -・・・って 納得できるような やっぱりよくわからんような(;・∀・)




  -えっと・・・・・ちなみにですよ?

  -それってさ・・・・

  -もし塞ぎたいトンネルが 人間サイズのやつってことになったら・・・・


Chika:もちろんそのときは、人間か、もしくは人間と同じくらいの大きさの動物を、生け贄にする必要があるわけだ。


  -ひいいぃぃぃ・・・((( ゜д゜ ;)))


  -こえー


  -あー でも

  -そっか 絶対人間でなくても 人間と同じサイズの動物なら可・・・なのね

  -その不運な動物には悪いけど (´▽`) ホッ


Chika:さあて。はたして、そこでホッとしてる場合かな?


  -・・・と いいますと?(・_・;)


Chika:異世界移住説とはまた別の、トンネル栽培キットにまつわる、もう一つの都市伝説。

Chika:そういう話をしてたよね。

Chika:ここからが、その話の本題。


   -(;゜д゜)ゴクリ…


Chika:君も嫌というほど知っているだろうけど、

Chika:この街は現在、国内で飛び抜けて人口密度の高い、超人口過密都市だ。

Chika:その人口過密による、住民一人当たりの生活スペースの減少は、年々深刻さを増し続けている。


Chika:そんなこの街が、

Chika:よその地区で廃棄されたトンネルを、わざわざ引き取って処分してるって、知ってた?


Chika:ねえ、なんのためだと思う?

Chika:この街が、よそで持て余してる捨てトンネルを集めて、ここで処分してるのって。


  -むむ・・・(・_・;)

  -なんとなく 話が見えてきたぞ・・・


Chika:そう?

Chika:それじゃ、もう結論を言っちゃうけど。

Chika:この街の自治体は、廃棄されたトンネルを「間引き」に利用してる。

Chika:この街に存在する大小様々なコミュニティに対して、秘密裏に「要らない人間」を調査してね。

Chika:その人物をトンネルの生け贄にして、トンネルといっしょに処分してるんだ。

Chika:二つの廃棄物を同時に始末できる、一石二鳥の方法ってわけだね。

Chika:そうやって、この街はひそかに粛々と「人減らし」を進めてる。

Chika:「不要人物のリスト」というのが、すでにもう出来上がっていてね。役人が、そのリストに登録された人間のもとを順次訪れて、その人間をさらっていくんだ。トンネルと「要らない人間」をいっしょに処分するために作られた、この街のどこかにある、特殊廃棄物処理場へとね……。






  -ヒィィ((ll゜゜Д゜゜ll))ィィ!!!

  -こええ・・・マジこええ・・・


Chika:怖いよね(^^)


Chika:ねえ。もし、この噂が本当なら。

Chika:君は、人ごとじゃないんじゃない?


  -な なんですと?Σ(゜Д゜;)


Chika:だって、君、出来の悪い子供だから。

Chika:成績も良くないし、見栄えのする容姿なわけでもないし、その他のことだって、これといった取り柄があるわけでもない。

Chika:ご両親にとって、君という子供が成功作か失敗作かといったら、失敗作の部類に入るでしょう?

Chika:加えて、君のところにはもうすぐ次の子供が生まれる。

Chika:ただでさえ狭い家に、子供は二人もいらないよね。

Chika:君と、これから生まれてくる君のきょうだいと、

Chika:どちらか一人だけ残すとなったら、すでに伸びしろの知れてる、15年以上育てた現時点でなんの取り柄も得られなかった君よりも、

Chika:これからの育て方次第で将来性を期待できる、第二子のほうを、ご両親は選ぶんじゃないかな。






  -( ゜д゜)ポカーン



  -ちょ・・・・・いくらなんでも・・・


  -えっと

  -ケンカ売ってるのかな?かな?(#^ω^)ビキビキ


Chika:本当のことを言ったまでだよ(^^)


  -えー

  -ちょっと 勘弁して・・・リアクションに困るわこんなん・・・


  -あのー チカさん

  -もしかして なんかものっそい怒ってらっしゃる?(;・∀・)


Chika:そんなんじゃないって。

Chika:ただ、本当のことを言ってるだけ(^^)




  -はあ そっすか・・・


  -いやーしかし それを言うならですよ?

  -チカさんだって 学校の成績のほうはそんなよろしくなかったというか

  -確か 俺とトントンくらいじゃありませんでしたっけ?(;^ω^)


  -それに そっちだって

  -もうすぐお姉さんの夫婦の子供 生まれるって言ってたじゃん

  -俺んとこと同じく 家狭くなるじゃん

  -あとこう言っちゃなんだけど

  -そっちのお姉さんめっちゃいい大学出て 旦那さんとそろっていいとこ勤めてるじゃん

  -親にとって 子供のスペックうんぬんで成功とか失敗とかいうならさー



  -俺が 不用人物リスト?とかいうのに載るの心配しなきゃなんないなら

  -チカさん自身はどうなんすかね え?おいヾ(-ω-;)





Chika:そうだね(^^)


Chika:君の言うとおり、こっちも人ごとじゃないんだ(ーー)



  -あ はい・・・










  -なんか今日 チカさん怖いよ

  -今日っていうか さっきから

  -シンプルな顔文字とか 地味に怖いよ


Chika:そう?(^^)

Chika:どうして?(ーー)


  -うん なんかそれ

  -なんていうか

  -急に 手打ちで顔文字入力し始めた感 っていうか・・・



  -あと 口調っていうか文体になんか違和感・・・・

  -さっきからずっと思ってたんだけど

  -なんか いつものチカさんらしくなくね?


Chika:気のせいじゃない?(^^)


  -そうかな・・・


Chika:考えすぎだよ(ーー)


  -でも・・・・








  -えーと

  -率直に聞いていい?




  -あなた 本当にチカさんですか?





Chika:(^^)


  -真面目に答えて


Chika:(ーー)


  -ふざけるな




  -おまえ誰なんだ


  -チカはそこにいるの?


  -答えろ




  -なんとか言え!



  -今からそっちに行ってやろうか?

  -それとも


Chika:今、何時かな。

Chika:そろそろ8時か。

Chika:予定の時刻だな。


Chika:それじゃあ、


Chika:チカさんには、もうじき会えるよ(^^)





  -そr









  -今玄関チャイム


  -なんだypどうなってほんとにあのとしでんせt5う











  -なーんちゃって


  -こっちも時間通り着いたよ




  -んじゃ 引き上げます





Chika:お疲れ。










Chika:この会話のログは、ちゃんと消去しておくからね(^^)

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