プロローグ~始まり~

幸いにも鼻血は出なかったが真っ赤になり、ジンジンと痛みを主張する鼻を今は気にしている場合ではなく。


やれやれと眼鏡を取りに行く。


もちろん、眼鏡は綺麗に畳まれて洗面台の縁に置かれていた。


それを自分の馬鹿!と憎らしく掴んでかけると、ここでぼやけていたさっきまでの視界がクリアになり、足元は完璧になった。


最初からそうしておけばよかった、何で忘れたんだろうと思い…


弁当忘れても、眼鏡は忘れなかった自分がどうしてと、何やら後悔したが…


後の祭…


ぶつけたところが疼く重い体に鞭を打ち、また廊下へと出て、鞄の方へと歩みより片付けを始めた。


トホホ…。チョボチョボと散らかしたお片付けを始めた俺。


散らかったものを、あっ!ここにあった!!ここにもあったと、色々と独り言をぼやきながら鞄に入れていく。


鳥のロボットは、とても親切にお片付けを手伝ってくれた。


俺は、ガサゴソと、散乱したものを一つずつ手に取り、鞄の中へ入れていく俺を見ていた鳥は何かを処理して判断すると、俺の傍らに寄り、俺の行動をチェックした後。


行動に移した。


鳥のロボットは、プラスチックの裏返しになっていた筆箱を器用に起き上がらせると、小物やペンなどが散乱していているところにちょんちょんと慎重に行くと、ペンをまずはくちばしでつまんで何度か落としたが、何とかくちばしでうまくつまむと運び出した。


筆箱の中へとそれを入れたのだった。


俺はその学習能力に気がつかず、散らかったものをかたしていたが、それは明らかにロボットのプログラムの学習だった。


状況を判断して、どうするべきか処理して、動作を行う。

間違ったり、失敗を重ねて経験を積むことによってよりよく学習して成長いく。


そして次々と、筆箱の中身をくちばしで器用に入れて、おまけに蓋も閉めてくれた。


ピロンと鳥が鳴くのでそっちを振り返ると、整頓された筆箱を鳥がくちばしで押して俺のところまで持ってきてくれていた。


俺はそれを見て心から感謝と感激をし、凄いさすがだ!と感心してしまった。


けなげさと親切さが身に染みて嬉しかった。


俺は鳥のロボットに手のひらをさしのべた。


鳥は分かっていたようでちょこんとそこに乗り、褒めてと言わんばかりに尻尾をふるりと一回震わして、頭をつきだした。


ーー可愛い過ぎる!!


俺は鳥の頭にキスをすると撫でて、軽く体も撫でる。


「ありがとう。お前のおかげで助かったよ」


心から感謝すると…


鳥のロボットは、ピィーと嬉しそうに鳴いた。


きちんとした意思疏通が出来る、鳥のロボットは本物の鳥さながらに軽やかな足取りで、俺の手から降りると、嬉しそうなステップで体を変えて、またどこかへチョンチョンと行ってしまった。


名残惜しそうに俺は鳥を見送った後。


後、数分で朝御飯を食べないといけないことに気がついて慌ててリビングへと向かうのだった。


「ヤベェェェェェ!!!」


また絶叫の俺だった。


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