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「そ……宗樹?」
落ち着きの欠片も見当たらない彼が心配になって声をかけたら、今度はすっく、と立って拳を握りしめた。
「このままじゃ、ダメだ! 仕事しよう!」
「……へ? お仕事?」
更にまた変なコトを言いだしかねない。
ドキドキしながら次のセリフを待っていたら。
「Cards soldierは、無事……かどうかはともかく、メンバーを一人ゲットした。
つぎは、お嬢さんの問題を解決する番だし」
「誰が何の番、だって?」
突然言われて宗樹の顔を見上げれば、窓の外を指さした。
そこにいたのは、部活動勧誘の皆さま!
うあ~~まだ、待ってる。
しかも、何だか殺気立っているみたい。
怖いなぁ。下手に近づいたら怪我をしそうだ。
「……しかたねぇ。
学校では、俺があんたの身の安全とスケジュールを守ってやる。
……執事代わりになってやるぜ、お嬢さま」
宗樹が、自分から『執事やる』ってはっきり言った……っ!
でも……。
「すみません~~ 助かります~~
でも、昨日の帰りみたいな無表情な宗樹は、やだなぁ」
宗樹は今だって、顔が赤い。
ほんとは、こんなにいろんな表情を見せてくれるのに!
何もかもを押し込んで人形みたいに頑張る宗樹は好きじゃないよ。
そう言ったら、宗樹はため息をついた。
「執事の真似事でもして一呼吸置かねぇと、自制が効かずに、何もかも台無しにして大暴走しそうな自分が怖えぇ」
「宗~~樹」
「だから、そんな可愛い顔して、俺の名前を呼ぶな~~!
俺にだって、理性とプライドって言うもんがあるんだっ!
なのに、お嬢さんの存在は、その二つともを情け容赦なくグラングラン揺さぶってくれる」
ついさっき、裕也と同じ立場で西園寺を狙う宣言して来たばっかのはずなのになーなんて宗樹は息を吐いた。
「えっ……もしかして、今日ついた新しい顔の傷って……」
「ふん」
宗樹は答えず、そっぽを向いてため息をついた。
「……言っておくが、俺は『お嬢さんの執事』だが、ただの『西園寺のパシリ』のつもりはねぇ。
お役目や、シキタリとは関係なく自分自身の意志でお嬢さんを守ることにする」
基本、俺は『西園寺』が大嫌いなのに!
それでも、この事態を何とかしようと思うあたり、相当お嬢さんのコトが好きなのかもしれねぇ。
なんて、盛大にため息をつく宗樹を見て、わたしも胸がドキドキして来た。
「いいか?
俺は、お前が好きだから世話を焼くんだからな!
今度は悲しい顔して逃げんなよ!」
…………………………………
…………………
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