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「何か一つのコトをやり遂げようとするには、リーダーがいる。

 定員は、一名。

 これは絶対譲れねぇ」


 ……神無崎さん『自分の彼女』は『だいたい』一名って言ってたのに、こっちはこだわるなぁ。


 それは、どうして? と首をかしげて見れば、神無崎さんは拳骨を握っていた。


「リーダーが二人以上になったら指揮系統が混乱するからだ。

 オレサマは、Cards soldierのリーダで降りる気は全くないが、蔵人はバンド結成の元になった雷威神のリーダーだったろう?

 一つの集団に王サマは二人いらねぇ。

 このまま、フツーに蔵人を仲間に入れたらCards soldierは分解するんじゃねぇの?」


「そ、そんな理由で蔵人先輩を入れないの!?」


 思わず叫んだわたしに、神無崎さんはけっこー重大なコトなんだぞ、と息を吐いた。


「でも、蔵人があれだけ歌えるって判った以上。

 やっぱりメンバーは蔵人、以外ありえねぇのも確かだしな……よし。

 蔵人が、オレサマの下に着くって確約するなら、Cards soldierに入れてやろう」


 う~なんだか、神無崎さん急に偉そう。


 わざわざ言わなくても神無崎さんがリーダーだってみんな判っているのに、ねぇ?


 蔵人さんが、Cards soldierへ入るのが具体的になって、焦っているのかもしれない。


 本人に聞いたら、絶対『ち~が~う』って言いそうだったけど。神無崎さんの様子を見て、蔵人さんは、腹黒ライオンみたいに、にやりと笑う。


「ずいぶん余裕がないな、神無崎裕也。

 ダイヤモンド・キングの名前が泣く、ぞ」


「うるせぇ!」


 怒鳴る神無崎さんに、蔵人さんは肩をすくめた。


「僕は別にCards soldierに余計なメンバーが入、らず。

 スペード・エースを静かに待てればそれで、いい。

 僕は理紗と貴様たちが曲を作ってくれなければ歌は歌えない、し。

 音楽の事は判らん。

 ここでリーダーにこだわるつもりは、無い」


 なんだ?


 器の少せえお前の王国を守るために何か、誓約書が欲しいのか?


 それとも、入れてくれって土下座でもしてみせようか? なんて。


 微かに笑う蔵人さんを見て、神無崎さんの表情が怒りに燃えて赤くなり。


 宗樹が、世界の終わりみたいなため息をついた。


「本気でCards soldierやるつもりなら、ケンカを売るなよ蔵人。

 そして、簡単に買うな、裕也」

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