第21話 その星で生きよ


中尾さんとヨッシーはマラソンに参加するため五島列島に向かった。他のメンバーは飛行機だが、2人はあえてフェリーを利用した。中尾さんが船内でイクミンを見つけ、偶然を装いマラソンに誘った。ナオミさんが足をくじいたことに伴う代走という設定だ。さて、小島さん、ナオミさん、中尾さん、シゲさん、イムラさん、ヨッシーの考えた計画はこうである。


1 イクミンにはナオミさんの代わりに走ってもらい、疲れたところを馬場崎さん(マラソン大会の運営責任者)が車に乗せてあげる。


2 乗せたところでナオミさんがなに食わぬ顔で走り出す。


3 イクミンには、睡眠薬入りの水分を飲ませ、眠ったところで尼御前の墓に連れていく。


4 尼御前の墓を倒す。(ヨッシーが過去に経験したように)本当に時空に穴が開けば、イクミンをその中に放り込む。


5 尼御前の墓をすぐさまもとにもどす。


6 イクミンの足首に付けた特殊な追尾装置で行方を追う。この装置は、早坂という日本人男性が特定情報調査室の協力を得て開発したもので、地球との位置関係や時間差(過去〜未来)を計ることができる。


7 中澤いくみに関するすべての情報を抹消する。



五島つばきマラソンの当日は雲一つない晴天で、計画1〜7は完璧に実行された。


イクミンを別世界にとばし、その信号をキャッチするまでの間、小島さん達は何事もなかったかのように、民宿でお疲れ様会をやっていた。「マラソンの後の五島麦(麦焼酎)はうんまかね!」


その頃、イクミンは、、、

睡眠薬で頭がぐらぐらする中、ようやく目を覚ますと、胸に付けていたゼッケン右上のピンが外れてヒラヒラしている。ゼッケンの裏に何やら文字が書かれているようなので左上のピンも外し、読んでみると、、、

そこには、、、


「その星で生きよ、以上。 竹内」


イクミンはポカンとした。え?ここはどこ? とメールしたいが、携帯を持っていない。いや、何も持っていない、、、


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