第167話 反転しようか(その3)

「会長!」

「な、何!?」


 ノックと同時に生徒会室のドアを開けたわたしに片貝先輩は虚を突かれたみたい。


「あ、会議中でしたか?」

「いいわよ。何?」

「同好会の申請をしたいんですけど」

「は?」


 例の執行部員も怪訝な顔でわたしを見る。


「もう5月よ。それにあなたあお寺の仕事あるんでしょ。同好会なんかやってていいの?」

「はい。一応、実利もあるので」

「・・・何の同好会?」

「これです」


 申請用紙をぱっと渡す。


「社交同好会?」

「はい」

「社交ダンス、じゃなくて社交?」

「そーです」

「何するの?」

「主に雑談、ですかね?」

「はあっ?」


 まあ、無理もない反応だ。わたしは自動口述モードに入った。


「社会人が異業種交流会とかやるじゃないですか? まあそれと同じですよ。メインは帰宅部の人たちになるでしょうけど、運動部の人でも文化部の人でも構いません。先生でもOK。もしなんでしたら執行部の方も」

「ふざけてるの!?」

「いいえ、ふざけてません。自分は~部員だとか属性に違和感を持ってる人なんかが、ちょっと別の人種と付き合ってみようかな、とか」

「ちょっと待って。合コンみたいなものやるつもりじゃないでしょうね?」

「えーと。結果的にカップルができたらそれはそれでありがたいですね」

「舐めないで!」


 うわー。まあいいや。


「舐めてません」

「その返事が舐めてるのよ」

「はあ・・・」


 予定通りだ。


「分かりました。じゃあ、お寺でやります」

「え?」

「学外の活動ですから構いませんよね?」

「それは・・・」

「後でやっぱり駄目だとか言わないでくださいね。もし駄目なんだったら、やる前に言ってくださいね」


 そのまま、ぱーっ、と部屋を出た。

 よし、今日から始めよう。

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