第51話 ジャンル分けに関する考察 その7
父兄・・・特に男性の何人かは激しくトントンと指を叩いている。
「それを科学者が、宇宙の起源の解明につながると言っているのが憐れにすら思えます。それならまだ、もっと身近な研究をしっかり事実に基づいてやっている人たちの方が、余程誠実です」
説明を終え、司会者の進行で5分間の質問コーナーに移る。
苛立ちのアクションが最も激しかった男性が真っ先に手を挙げる。
この人は誰のお父さんかな?
「自説を発表するのは構わないけど、貴女こそ事実無根なことを言ってるじゃないか。神仏とか大日如来とか。それこそ研究者がやってるような高度な思考や知的作業を放棄した安易な結論、楽な方法だと思うが」
一呼吸置いてわたしはマイクを口に近づける。
その男性の目をしっかりと見る。
「人間って、太陽を作れるでしょうか?」
「あ?」
「お日さまを作れますか?と言ったんです」
「その内作れるかもしれない」
「逆にわたしこそ質問したいです。本気で太陽を作れると思ってますか?わたしたちが起きている時も寝ている間も生まれてから死ぬまでもその先も休みなく照らし続けるお日さまを、そしてその光を受けて輝くお月さまを。本当に人間が作れますか?」
「・・・・」
「人智が及ばないと心の中では皆分かっていたはずなのに。巧みな論理で神仏の領域に近付いたかのように人々を錯覚させる。もしそんな科学者がいたとしたら、カルトの教祖よりも危ういと思います。人智が決して及ばない、太陽と月が空にあるという事実が全てのはずなのに」
他に質問は無かった。
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