第292話・ずっと×一緒

 凄まじい激戦を繰り広げた立秋館りっしゅうかん高校との試合が終わってから、早くも二日が経った。


「それじゃあ杏子、ちょっと行って来るわ」

「うん。茜さんによろしくね」

「はいよー」


 七月も中旬を越えたお昼過ぎ。

 季節は夏から秋へと向かって進んでいるはずなのに、外はまだまだ夏の様相を失ってはいない太陽の、燦々とした陽射しが降り注いでいた。


「今日も暑いな……」


 アスファルトからゆらゆらと陽炎が立ち昇る中を歩いていると、夏お決まりの言葉が自然と口から漏れ出た。


「茜のやつ、大丈夫かな……」


 バスケットをやる者にとって夢の舞台であるインターハイ。そのインターハイは、昨日の決勝戦で終わりを迎えた。

 結果として我らが花嵐恋からんこえ学園と立秋館高校の試合の結果がどうなったのかと言えば、一点差のリードを守りきった立秋館高校が、次の試合へとコマを進めた。つまり花嵐恋学園女子バスケ部は、二回戦で敗退する事になったのだ。

 あの時、茜が新井さんからパスを受けて最後に放ったワンハンドシュートは、俺が見た中で一番美しく、一番綺麗な弧を描いて相手ゴールのネットを貫いた。

 それを見た俺は、花嵐恋学園があの王者、立秋館高校を相手に逆転勝利をしたんだと喜んだ。だが、その喜びは長くは続かなかった。なぜならその直後、審判が笛を吹いて茜の放ったシュートのノーカウントを告げたからだ。

 俺としてはギリギリ時間内のシュートの様に見えたが、審判の目にはそう映らなかったらしい。あの時は天国から地獄へ一気に突き落とされた様な気分を味わったが、そんな俺以上にショックだったのは、間違い無く女子バスケ部のみんなと、シュートを放った茜だっただろう。事実あの後、茜は思いっきり泣きまくって落ち込んでいた。

 なんでも茜が言うには、足に感じていた違和感が気になり、それがシュートを放つタイミングを一瞬遅らせてしまったらしい。そしてその一瞬の気掛かりが文字通りに勝敗を決める事となり、その事で茜は激しく落ち込んでいたのだ。試合に負けたのは私のせいだ――と。

 そんな茜に俺はかけてあげられる言葉が見つからず、翌日に最寄り駅から茜の自宅へと送るまでの間も、ろくな会話ができなかった。

 そしてそんな茜に対して何かしてあげられる事は無いだろうかと思っていた矢先の昨晩、俺は新井さんから、『茜が体調不良で寝込んでるから、良かったらお見舞いに行ってあげて』と電話を受けた。

 本当ならそんな時にはそっとしておくのがいいんだろうけど、茜の様子が気にかかっていた俺は、これ幸いにとお見舞いへ向かっているわけだ。


「そういえば、お見舞いの品を買ってなかったな……何か買って行くか」


 茜の事が気になり過ぎてすっかりお見舞いの品の事を忘れていた俺は、そのまま商店街へと向かい、そこでカットフルーツの詰め合わせを買ってから再び茜の家へと向かった。

 それからしばらくして茜の家へと着いた俺は、ちょっと緊張した気分でインターフォンのチャイムを鳴らした。


「はーい。どちら様ですかー?」

「あっ、みどりさん。こんにちは、龍之介です」

「あら、龍ちゃん! いらっしゃい。すぐそっちに行くから待っててねー」


 プツッとインターフォンの音が切れると、扉の奥からパタパタとスリッパで歩いて来る音が近付いて来た。

 そして扉から鍵を開けるガチャ――という音がして扉が開くと、そこからいつものにこやかで優しい笑顔の碧さんが姿を見せた。


「いらっしゃい龍ちゃん。さあ、上がって上がって」

「はい。それじゃあ、お邪魔します」


 碧さんは俺がいつ来ても、こんな感じで明るく出迎えてくれる。

 それは小さな頃からずっと変わらず、茜と遊ぶ時も、茜と喧嘩をした時も、どんな時でもこんな風にして出迎えてくれた。小さな頃は気にしなかったけど、こうして高校生となった今は、それがどれほどありがたい事か身にみて分かった。

 そして俺は碧さんの案内でリビングへと通され、そこでお茶を振舞われた。


「はい。龍ちゃん、どうぞ」

「ありがとうございます。えっとあの、これ、茜へのお見舞いです」

「わあっ。ありがとう、龍ちゃん。茜、きっと喜ぶわ」

「ははっ。だといいですけど、茜の調子はどうなんですか?」

「体調は心配しなくても大丈夫よ。少し熱があるくらいだから。それよりも、インターハイでの事がショックみたいで、そっちの方が心配ね……」

「そうですか……」


 碧さんにしては珍しく、浮かない表情を見せる。それだけ茜の精神状況が良くないという事なのだろう。


「あの、茜に会っても大丈夫ですかね?」

「大丈夫よ。茜も龍ちゃんと話したら元気になるかもだし。そうと決まれば、さっそく茜の部屋に行きましょうか」

「は、はい」


 碧さんはいつもの明るい笑顔を見せながら、俺の手を握って茜の部屋がある二階へと向かって行く。

 つい二日前までは毎日会っていたというのに、なんだかとても緊張してしまう。そんな緊張の中、俺はついに茜の部屋の前へと着いてしまった。


「茜、入るわよー?」


 碧さんはそう言うと、茜の返事も待たずに扉を開けて中へと入った。

 そして碧さんに手を握られていた俺も、当然の様に茜の部屋へと入る事になる。


「りゅ、龍ちゃん!? 何でここに!?」

「龍ちゃんはね、茜のお見舞いに来てくれたんだよ? 相変わらず優しいよねえ。龍ちゃん」

「あ、いやその、それほどでも……」


 碧さんの言葉に苦笑いを浮かべながらそう答え、俺は茜の方へと視線を向けた。

 茜は明るいイエローのパジャマに身を包み、ベットの上で上半身を起こした形で両手に本を持って座っていた。


「りゅ、龍ちゃんが来てるなら来てるって、最初に言ってよねっ!」

「あら。そういえば言ってなかったわね。ふふっ。ごめんなさい」

「もう……お母さんはいっつもそうなんだから……」


 茜は諦めた様にして大きな溜息を吐くと、持っていた本を枕の横へと置いた。


「それじゃあ私は買物に行って来るから、龍ちゃん、茜の事をよろしくね?」

「えっ!? あ、はい」


 碧さんはその表情を更に明るくすると、楽しそうにしながら茜の部屋を出て行った。


「……あ~、えっとその、体調はどうだ? 大丈夫か?」

「えっ? あ、うん。ちょっと疲れが出ただけだから大丈夫。風邪でもないしね」

「そっか」

「うん。あっ、適当に座っていいよ?」

「お、おう……」


 俺は言われるがままに適当な場所へあぐらをかいて座り、茜の方へと身体を向けた。しかし俺は真正面から茜を見る事に抵抗があり、ややずれた感じでその姿を捉えていた。


「……私の事、ましろから聞いたの?」

「えっ? ああ、まあな」

「そっか。それでお見舞いに来てくれたんだね。ありがとう、龍ちゃん」

「あ、いや、俺も茜の事は気にかかってたからさ。その、色々と……」


 インターハイでの事が――とは言い切れず、俺は曖昧な言い方をした。

 しかし、俺の言っている色々が、インターハイの事だというのは茜にも理解できるだろう。


「そっか……なんかごめんね、気を遣わせたみたいで。ましろや他のみんなにも心配をかけてるみたいだし……ホント、私ってば駄目だよね……私のせいであの試合も負けちゃったし……」


 そんな言葉をつむぐ最中、茜の瞳からポロポロと涙が零れ落ち始めた。


「……そんな事を言うなよ。あの負けは茜のせいじゃないんだから」


 あれからまだ二日しか経っていないんだから、気持ちの整理をつけるのはまだ難しいだろう。でも、あの負けは決して茜のせいではない。それだけははっきりと言いたかった。


「でも、あそこで私がシュートを決めてたら、あの試合には勝ってたんだよっ! 負けたのは私のせいなんだよっ!」


 苦しい胸の内を晒すかの様にして、茜は声を上げる。

 茜はあれで責任感の強い子だから、自責の念に押し潰されかけているんだと思う。しかしそれでも俺は言いたかった。お前のせいじゃない――と。

 でも、それを言ったところで茜は納得しない。それで納得するくらいなら、とうの昔に吹っ切れているはずだから。


「……何言ってんだよ。茜のせいで負けたとか、どんだけ自惚れてんだよお前は」

「えっ……?」

「確かに茜は女子バスケ部の攻撃の要かもしれないけど、バスケットはチームプレイなんだ。だから誰が悪いとか、誰のせいで負けたとか、そんな事を言うのはナンセンスだと思わないか?」

「でも……」


 俺の言葉を聞いても尚、茜は納得の表情を見せなかった。


「だったら茜、新井さんがパスミスをして相手に得点を許してしまった場面があったけど、あれが無ければ立秋館高校の得点に結びつく事はなかったんだから、新井さんのあのミスが敗因になったとも言えるんじゃないか?」

「それは違う! った試合ではミスだって起こりやすくなるし、ましろは必死に頑張ってた! 他のみんなだってそうだよ! みんな必死で頑張ってた! だから誰も悪くないの!」

「だったらさ。お前が今言った事が、みんなも思ってる事なんじゃねーのか?」

「あっ……」

「勝敗を決めるシュートを外してしまった悔しさとか、後悔はあるとは思うけど、それをいつまでも引きるって事は、一緒に頑張って来たみんなに傷を負わせる事にもなるんじゃないのか? あの時に私がこうしていれば、茜は落ち込まずに済んだのに――ってさ」

「…………」


 その言葉を聞いた茜は、深く顔を俯かせた。そんな茜の姿を見た時、俺はちょっと言い過ぎたのかもしれないと思った。

 だけど、これはとても大事な事で、茜が元気になる為には避けては通れない道でもあると思った。だから俺は、心を鬼にする気持ちでそう言ったのだ。


「茜達はあの時、全力で戦った。茜も足に違和感があっても、最後まで全力で戦った。正直言って、茜が最後に打ったシュートを見た時は震えたよ。超カッコイイ――ってな」

「そうなの?」

「ああ! あまりのカッコ良さに、思わず惚れ直したくらいだぜ」

「えっ!? 惚れ直しちゃったの?」

「おう! あっ!?」


 茜の言葉に即答した後、俺は自分がとんでもない事を言った事に気付いた。


「え、えっと、今のはその……言葉のあやと言うか何と言うか……」


 焦りでしどろもどろになり、俺はそれ以上、言い訳の言葉が出てこなかった。

 しかし、ここまできて自分の想いを誤魔化すのは逆に恥ずかしくカッコ悪いと思った俺は、短く息を吐いてから茜を見据えた。


「いや。ごめんな、茜。俺さ、茜に言いたかった事があるんだ。聞いてくれるか?」

「う、うん。ちゃんと聞くよ」

「……俺さ、茜の事が好きなんだ。だから、もしも茜さえ良かったら、俺の彼女になってくれないかな?」

「…………」


 茜は俺の告白を聞くと、何も答えずに固まってしまった。


「茜?」

「……ホント? 本当に、私でいいの?」


 固まったままの茜を心配して立ち上がると、茜はまた、ポロポロと涙を零しながらそんな事を口にした。


「いいも何も、俺は茜に彼女になってくれって言ってるんだぜ? だから茜が答えるのは、イエスかノーだけだよ」

「そんなの……いいに決まってるよ……だって私は、ずっと昔から龍ちゃんが大好きだったんだから……ずっとずっと、龍ちゃんだけを見続けて来たんだから……」


 そう言うと茜は、更に大粒の涙を零し始めた。

 そんな茜を見た俺は、小さく微笑みながら茜に昔プレゼントされたハンカチを取り出し、それで茜の涙を拭った。


「龍ちゃん……」

「茜、これからもよろしくな」

「うん。私も、よろしくお願いします」


 涙を拭く俺の手をそっと握り、笑みを浮かべながらそう答える茜。

 そんな茜を見て、俺は心が満たされていくのを感じていた。


「茜! おめでとう! これで龍ちゃんと結婚できるねっ!」

「「なっ!?」」


 そんな俺達の告白が終わると、部屋の扉が勢い良く開き、そこから凄まじいテンションの碧さんが部屋の中へと入って来た。


「おおおお母さん!? どうして!? 買物に行ったんじゃないの!?」

「ふふふ。実は買物に行くというのは嘘で、部屋の前でずっと会話を聞いていたのでーす!」

「マジですか……」

「ななな、なんて事をしてるのっ! お母さんの馬鹿っ!」

「そんな事よりも茜、やっと大好きだった龍ちゃんをゲットできたねっ! おめでとう!」

「ゲ、ゲットって……べ、別にそういうわけじゃ……」

「もお、照れちゃって可愛いなあ。龍ちゃん、素直じゃないところもある娘だけど、よろしく頼むわね?」

「えっ? あ、はい」

「もおっ! お母さんの馬鹿――――――――っ!!」


 こうして俺と茜の告白は碧さんの乱入により、甘さもへったくれもない終わりを迎えたが、それでも俺の心は大きな幸福感で満たされていた。


× × × ×


 茜と恋人になってから迎えた、九月最初の登校日。

 俺はお互いの家から近い位置にある公園の前で、茜がやって来るのを待っていた。


「おっせーな……」


 しかし、昨晩約束した時間をもう十分も過ぎているというのに、茜はまだやって来ない。


「――龍ちゃーん! ごめんねー!」


 寝坊でもしているのかと思い、そろそろ電話でもしてみようと思っていたその時、待ち合わせをしていた茜がようやくその姿を見せた。


「おっせーぞ、茜。いったい何してたんだ? 約束の時間を二十分も過ぎてるじゃないか」

「本当にごめんね。色々と気合を入れてたら夢中になっちゃって……」


 そう言った茜は確かにいつもとは違い、今日はポニーテルではなく、髪を下ろした状態だった。

 そんな茜の姿はとても新鮮で、いつもよりも強く女の子を意識してしまう。


「ま、まあ、そういう事ならいいさ。とりあえず行こうぜ」

「うん。ありがとう。ねえ、龍ちゃん。この髪型どうかな? 似合ってるかな?」

「えっ? あ、ああ。似合ってるよ。凄くいいと思う」

「そっか。ありがとう……」

「お、おう……」


 茜の質問にこっぱずかしくも答えた俺は、照れ顔を見られたくなくて素早く歩を進め始めた。


「あっ! 待ってよ、龍ちゃん」


 その言葉に多少速度は落としたが、あくまでも茜に顔を見られない位置はキープし続けた。


「それにしても、今年の夏休みはあっと言う間だったな」

「そうだね。私も今年の夏休みはあっと言う間だった気がする」

「だよな。今年の茜はインターハイもあったし、俺もマネージャーやってたしな」

「うん」


 まるで遠い昔を思い出すかの様にして、小さく微笑む茜。

 そんな茜を見ていると、なんだか俺もその出来事が遥か昔の事だった様に感じる。ほんの二週間くらい前の事だというのに。


「それにしても、新学期になっても周りは全然変わらんな」

「周り?」

「周囲を見回せば、嫌でも目に付くだろ?」

「……ああ、なるほどね」


 同じく登校をしている花嵐恋学園の生徒達を見た茜は、納得したと言わんばかりの表情で大きく頷いた。

 俺達の周りには、仲良く手を繋いで登校をしているカップル達が沢山居るからだ。


「そ、そういえば龍ちゃん。私達、付き合ってるんだよね?」

「あ、ああ。そうだな」

「私達、恋人なんだよね?」

「お、おう」

「だったらさ、周りの人達みたいに恋人らしい事をしてみる?」

「へっ? 恋人らしい事?」

「うん……」


 恥ずかしそうにそう言うと、右隣に居た茜はそっと左手で俺の右手を握ってきた。しかしその握り方はとても弱々しく、遠慮をしている感じがひしひしと伝わってくる。


「あっ……」


 そんな茜を愛おしく思った俺は、優しくも強く茜の手を握り返した。

 するとそれに安心したのか、茜も俺の手をぎゅっと握り返してきた。


「そ、そういえばさ、約束覚えてるか?」

「や、約束?」

「ああ。ほら、俺が最後までマネージャーを頑張ったら、なんでもお願いを聞いてくれるってやつだよ」


 茜と手を繋ぐのが照れくさかった俺は、それの照れを誤魔化す為にそんな話を持ち出した。


「そういえば、そんな約束もしたね。私にしてほしいお願いがあるの?」

「えっと、そうだな……それじゃあ、今度の日曜日に、俺と一緒に水族館へ行ってくれないか?」

「えっ? それって、私とデートしよう――って事かな?」

「ま、まあ、簡単に言うとそういう事かな」

「龍ちゃん……うん! 行く! 絶対一緒に行くよっ!」


 今までに無いくらいの満面の笑顔を浮かべ、テンション高く喜ぶ茜。そんな様子を見ていると、俺もなんだか嬉しくなってくる。


「それじゃあ茜。次はお前のお願いを俺が聞く番だな」

「えっ? 私もお願いしていいの? インターハイで優勝できなかったのに」

「あのなあ。俺は一言も、インターハイで優勝したらお願いを聞いてやる――なんて言ってないぞ? 俺は、茜がインターハイで頑張ったら、何か一つお願いを聞いてやる――って言ったんだから」

「あれっ? そうだったっけ?」

「そうなんだよ。優勝したらって勝手に付け加えたのはお前だ」

「うっ……そう言われればそうだった気がする……」

「まったく。お前はいつもそそっかしいんだから」

「ごめん」

「まあいいさ。茜がそそっかしいのは、俺にとっては分かりきった事実だしな」

「酷いなあ」

「まあ、それはそれとして、何かお願い事はあるか? もちろん、俺が出来る範囲の事でだ」

「うーん、そうだなあ……」


 茜は俺の言葉に対し、珍しく熟考し始めた。

 そんな茜の様子を見ていると、とんでもない要求を考えているのではないかと不安になってくる。

 そしてそんな不安を感じながら、もうすぐ花嵐恋学園へ着こうかという頃、茜は難しい顔をぱっと明るくしてから俺を見据えた。


「龍ちゃん。私のお願い、決まったよ」

「そ、そっか。で? どんなお願いなんだ?」


 どんなとんでもない要求が飛んで来るのかと、俺は思わず身構えてしまった。


「えっとね……これからも、私と一緒にずっと仲良く付き合ってほしい。喧嘩はするかもしれないけど、私の事を嫌いにならないでほしい……こんなお願いは駄目かな?」


 言っている途中でどんどん不安げな表情へと変わっていったが、その言葉に対する俺の返答は、もう決まっている。


「まあ、茜と喧嘩をするのは昔からの事だし、その事で茜を嫌いになった事はないから安心しろ。俺はずっと、茜の事が好きだからさ」

「龍ちゃん……ありがとう。私、龍ちゃんを好きになって本当に幸せだよっ!」

「おおっ!?」


 本当に幸せそうな表情を見せながら、茜は俺の右腕にぎゅっと抱き付いた。

 そんな大胆な行動をする幸せそうな表情の茜を見ながら、俺はこの幼馴染の隣でずっと一緒に人生を歩んで行きたいと、心の底からそう思いながら、温かい気持で通学路を歩いて行った。





アナザーエンディング・水沢茜編~Fin~

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