初カレに初恋♡ 藤倉彗くんに♡

あくりる商店街

第1話


「好きだ!俺と付き合ってください」


まさかの告白に驚く。


(この人、誰だっけ?)


名前も知らない。


っていうか、会ったことはあると思う。


後で知ったのは、藤倉彗くんで同い年で、バスケ部で…。

真っ赤になっていて、背が高くて手が大きくて…。


(子供の頃、知らない人についていっちゃダメ!って言われてたけど

知らない人と付き合うのはどうなんだろ)


ぼんやりと見上げていると藤倉くんは

「友達からでいいから」とかすれた声で言う。


(ドキドキする…)


この人、ドキドキしてる。

この人のドキドキが私にどんどんうつってくる。

ドキドキが感染して、私も真っ赤になった。

両手で胸を押さえ、息も出来ずに藤倉くんを見上げる。

涙が出てきた。


「うわあ!」


藤倉くんは慌てて、私の肩に手を載せた。

肩がすっぽりと手のひらで埋まる。


(…あ…あったかあい)


藤倉くんはそおっと、もう片方の手で私のまぶたをふいた。


「ごめん」


かすれた声が耳元で小さく呟く。


「ごめんね、新川さん」


深い溜め息。


「ああ俺ダメだあ。俺だけが新川さん見てて、新川さんは俺のこと知らなかった…?いや…知ってても俺じゃダメか」


藤倉くんはとりあえず笑顔を作った。


「でも好きなんだ。告白だけは受けてくれてありがと」


藤倉くんの手が肩から離れた。


その時、背の高い藤倉くんが私のために屈んでいてくれたのが、よくわかった。


「…あ…」


もう一度、指で頬を拭かれる。


温かくて大きな手。


私の顔なんて、すぐに包んでしまいそう。


「…じゃ…」


藤倉くんが立ち去る。背中を向けられた。


「あ…あのっ!」


私はつい呼び止めた。


振り向いた藤倉くんの、丸くてかわいい瞳、かすかに開いた口元、きれいな顔立ち、細い首筋としなやかな体。


「友達…でいいんです…よね?」


おずおずと聞く。自分の声も小さくてかすれてる。


「友達…でいいなら…」


(なんか偉そう…私)


ああ、どうしよう!

パニックに陥りかけた時、藤倉くんが叫んだ。

「うそ?まじ?」

そのでっかい声に私はひるむ。


「…う」

「う、う?」


藤倉くんの唇がとがる。

(な、なんかかわいい!)


かわいいと思った瞬間、トクンッと胸で音がした。

ストンッと気持ちに落ちるように、私は藤倉くんが好きになった。

「よろしくお願いします」

ぺこっと頭を下げる。


藤倉くんが近づいてきた。私の両手をガバッと握りしめた。


(わ)


その瞬間、藤倉くんは、バッと手を離した。


「ちっちゃい!」

「…え」


そのあと、おろおろしながら私の手を見た。


「…女の子の手…ちっさい…」


私は自分の手を見る。


(そうかな?)


「ちっさいよ、ほら」


藤倉くんは自分の手に私の手を乗せる。


「…////」


二関節は違う指。

分厚い手のひら。

細そうに見えた腕もがっちりしてる。


(男の子って…こんなに違うの?)


呆然としてると、藤倉くんはしゃがみこんだ。


「はあああ」


深い溜め息をつく。


「嬉しくて酸欠だ…」


その丸まった背中も大きい。っていうか長い。


(おんぶとかしてもらえそう…)


妙なことを思う私。

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