第2話 プロローグ


「えっと……」

正直、この状況に全く頭がついていけてない。

うん、まずは状況を整理しよう。

ここは、放課後の教室。

クラスメイトは、部活やら委員会やら、すぐに帰路についたやらで、もういない。

だけど、私はこの教室に残っている。

2年生に進級してクラス替えをしたばかりの、新しい教室に。

そして、目の前には……

「どうしたの?」

頭にハテナマークを浮かべた、新しいクラスメイトの男子が首を傾げて立っている。

「うん、よし、なんとか状況は理解したぞー……」

でも、それでも、どうしても理解出来ない事がある。

「あのー……申し訳ないんだけど、今、君が言ってくれた事が全く理解出来ないんだけど……」

「理解出来ないって……そのまんまの意味だけど?」

すると、その男の子は私の方にズイッと顔を近づけて、今さっき言った言葉を、もう一度繰り返した。

「君の事が好きなんだ。

 俺と、付き合ってください」



新学期になって、まだ一週間。

まだお互いのことを、よく知らないこの状況で、それなりの時間を経てから行うはずの、愛の告白を、このタイミングで、しかも三次元という現実で行うなんて……

やっぱ、理解不能だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る