第122話 来客再び
友人がウチに来た。もちろん飲んだり、食べたり、しゃべったりするためだ。まあ、飲み会と言えばそれまでだが。
友人がウチに入って来ると猫は隠れる。今回は窓とカーテンの隙間から顔を覗かせている。猫は無理矢理連れて来ると更に怖がらせてしまうため、放っておくことにしている。
わたし達が飲み会をしている間に近づいてくるのを待つ。友人は、猫が好きで触りたいそうだ。だから尚更無理強いは駄目なのだ。ウチの子(猫)のような臆病な子には、根気強さが必要だ。
そしてわたし達が酔い始めた頃猫はやって来た。わたしの椅子の横にちょこんと座っている。友人は喜んで猫を眺める。
「綺麗な顔をしてるね」
「そうでしょ。可愛いでしょ」
わたしは親バカ全開だ。だが友人はわたしをバカにすることもなく、猫に見入っている。今日の猫は友人に触らせてくれるだろうか。わたしは、友人に「指を一本出してみて」と言う。友人は指を一本猫に差し出す。猫は友人の指の匂いを嗅ぎに行った。あともう少し。触れそうで触れない。猫はまたわたしの横に来て、落ち着いてしまった。友人のことを怖がってはいないようだが。
楽しい時間はあっという間だ。友人が帰る時間になった。友人は猫の前に膝をついて手を出す。猫は動かない。友人はそっと猫の頭を撫でる。
おお!あの臆病な子が撫でさせるとは!少しは人に慣れたか、と思った時だった。猫パンチが友人の手に!
「ごめん!大丈夫?」
「うん。爪出してないよ」
ほっ、良かった。
友人は満足して帰って行った。猫はどうだったのだろう。猫パンチをするくらいだから触られたくなかったのかもしれない。しかし逃げはしなかった。
少しは人見知りが直っただろうか。
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