第58話 目覚まし時計

 朝、猫がわたしを起こしてくれる。わたしの起床時間は六時だ。猫に起床後ごはんをあげているためか猫の腹時計は正確だ。

 子猫の頃の起こし方は可愛かった。わたしの顔の横、つまり耳元でごろごろと喉を鳴らすのだ。見た目は可愛いかもしれない。しかし耳元で聞くごろごろ音は破壊的だった。普通の目覚まし時計よりも威力がある。わたしはすぐに起きて猫に喜ばれた。

 それから少しして、猫は別の起こし方をするようになった。わたしの枕元に目覚まし時計があるのだが、その横に座って鳴くのだ。


「くぅ、くぅ~」


 ウチの子(猫)は鳴く時口を開けない。だから、くぐもった声になる。その声は目覚まし時計よりも威力がない。わたしをすぐには起こせないのだ。この頃は目覚まし時計で起きていた。

 そして現在、猫は学習した。わたしの上に乗るということを。わたしの上に乗りそれでも起きない場合は体の上を歩く。わたしは痛くて目が覚める。

 猫は日々進化している。

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