第53話 無口な子
ウチの子(猫)は無口だ。ほとんど鳴かないのだ。声を出す時にも口を開かない。喉を鳴らすように、「くぅ」「くるる」と鳴く。猫は、鳴かない代わりに態度で示す。わたしが床に座って本を読んでいると、まずわたしの正面に座る。そしてわたしを見つめる。じーっと見つめる。目を逸らさない。わたしがそのまま本を読んでいると、前足をわたしの足に乗り上げわたしの手を叩く。さらにそのままでいると、猫はわたしの足に座り込み、わたしの手を引っ張る。そして最後は噛みつくのだ。わたしが「痛い!」と言うと、猫はターッと走って逃げるが、その後また同じことを繰り返す。この猫の行動はごはんが欲しいのだ。無口な猫が口を開くのは、ごはんを見た時である。
猫にごはんを見せると
、
「ミャ」
と口を開き嬉しそうに小さく鳴く。
猫は口を開くことが面倒なのだろうか。
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