2話 召喚兵装
文月学園学園長。
この学園のトップにして、学園で使われる召喚獣システムを作り上げた人物。教育者である前に科学者といわれている初老の女性。
そんな人物が俺を名指しに何の用だろうか?
「学園長。Aクラス、宮下君を連れてきました」
「入りな」
ぶっきらぼうな返事の後に高橋先生がドアを開ける。
中には学園長一人だった。
「すみません。自分が呼ばれた理由がわからないのですが?」
ほんとに身に覚えがないのだが。
「いや、少しあんたに協力してほしくてね」
「協力ですか?具体的にはなにを?自分は特にこれといった特技などはありませんが」
「特技というより知識に近いかね」
知識?それならなおのこと他の人がいいのでは?
「あんたは軍事や武器に詳しいそうじゃないかい」
なぁ!!なんでそのことを!!驚愕で表情が崩れる。
「そんなに驚くんじゃないよ。それにアンタの趣味をどうこう言うほど、私たちも暇じゃないんでね」
「……ちなみに誰からお聞きになったんですか」
「一年の二者面談の時にアンタの親が担任の布施先生に相談しとったよ。正直アンタは成績も悪かないし悪い噂も聞かないから、大丈夫だろうで済ませたけどね」
ちっ、そんなところに落とし穴が。つか母さんどんだけ俺の趣味嫌ってるんだよ。
「それで、それと今回の呼び出しと何の関係が?」
それだけではわざわざ授業中に呼び出した理由にはならない
「まぁその協力の内容が試召戦争関連だからね。早速他クラスで戦争が起こってるならできるだけ早く呼んだほうが良いと思ってね」
試召戦争関連?
「簡単に言えばアンタには新システム
兵装?武器ということか?
「武器ならもう今の召喚獣も持っているのでは?それらとはどう違うんですか?」
召喚獣たちは戦争するということで、すでに固有の武器を持っている。例えば俺の召喚獣ならファイティングナイフ、木下さんのならランス、霧島さんのなら日本刀といった具合だ。
「今までの武器との大きな違いは交戦距離だよ。なんたってこれは『点数を打ち込む銃火器』だからね」
この召喚兵装は、腕輪のように一教科400点越えの生徒が使用でき、一定の
一見するとチートのような性能だがこのコストがなかなかに渋い。
まず弾丸を入れた
さらに特殊能力に関してもこれとは別に個々に制約や条件があり、観察処分者ほどではないが痛覚フィードバック(たんすの角に足の小指をぶつけたくらいまで、って何だよ。)まである。と、結構ゲームバランスは保ったものとなっている。
「そして、テストをするに当たってアンタは日本史、世界史と英語の三科目で400点越えをして、銃火器の知識もあると白羽の矢が立ったわけさ」
まだ確認してないが他はAクラスぎりぎりの点数だろ?。つか400点越え三科目も在ったのか。
しかし、なかなかに尖った性能を持ったシステムのようだ。確かに強いが、使い所を誤ると自滅しかねない。
このシステムを導入した時の試召戦争への影響を見たいらしい。
「て言うか、これあんまり使用者有利になりませんよね?」
「うっ……」
学園長の顔が曇る。なんせ教員の張る召喚フィールドは平均半径10
「いいじゃないかい。違う技術の研究過程でできたモンなんだから」
「つまりたまたまできた物を生徒をモルモットにして実験しよう。と画策してるわけですね」
「しょうがないじゃないかい。先生たちも銃やなんかあまり知らないんだから」
「見せびらかすには不適格だ。というわけですね」
キィ。といった感じで学園長が睨んでくる。まあ一ガンマニアとしても『銃口管理』という単語を知っているかわからない教員が持って、銃への言われなき批判が強まるのは好ましくない。しても理解されずに批判されるのが目に浮かんでしまうが。
それに教員が召喚獣とはいえ、生徒に銃を向ける構図は学校側としても好ましくないのかもしれない。
「わかりました。この話お受けします」
「おお。わかってくれたかい」
「まあ自分は試召戦争が面白そうで此処に進学してきましたし、いい経験かと」
模擬戦争できると聞いただけだが。
というと、学園長はファイルを投げ渡してくる。
「じゃあ、これがアンタの
ファイルを開いて確認すると、
(うわぁ。英語、世界史はいいけど日本史のはかなりピーキーだな。つーかこの日本史の能力、俺だけじゃ使えないじゃんか。クラスの団結力をあげるためか?)
銃火器の形状からその特殊能力が詳しく書かれていた。
そこから10分ほどかけて内容を頭に入れる。
「それじゃまあ、せいぜい頑張ることだね。例のFクラスの馬鹿共、アンタ等Aクラスを狙ってるようだよ」
そんな言葉を残して俺は部屋から蹴り出された。
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