Fight Against one's World
咲弥生
親愛なる研究者諸君
親愛なる研究者諸君へ
ーこの世界には2つの世界で出来ているー
これは、私が、いくつか覚えていないぐらい昔に、お祖父様から聞いたおとぎ話。
ー1つ目の世界は、“正”の世界。我々、人間と獣たちが住む世界ー
ー2つ目の世界は、“悪”の世界。我らとは異なる者が住む世界ー
私たちが住む“正”の世界には、暗黙のルールがある。おとぎ話内でも戒められていることだが、この世界には、2つの世界を別ける線がある。
ー線を越えるべからずー
そのおとぎ話の中では、こう記されている。
ー線を越えるべからず。線を越えれば、“光”は“闇”に染まり、“光”に戻れず、“闇”は“光”に染まり、“闇”へと戻れなくなる―
いまだに伝えられるこのおとぎ話は、――物語。そう呼ばれている。しかし私は、この物語に対して、とても不思議に思う。
1つ、私たちが住むこの世界は、本当に“光”の世界なのか。
2つ、この世界が本当に2つの世界で出来ているのか。
3つ、この――物語が何故、今でも伝承されているのか。
だから、私は、探そうと思う。
これは禁忌に触れること。でも、気になってしまった。それは仕方ないことだ。“光”と“闇”の存在を、それぞれへと繋がる道。もしくは、何らかの方法を。故に私は、この世界から消えようと思う。
今までありがとう。 親愛なる研究者諸君。
皆を愛する ロベリア より
この手紙が、王宮の考古学室から見つかった。
書かれた筆跡と署名から、国一番の考古学者、ロベリアが書いたものだと判明し、すぐさま、国は全勢力を挙げて捜させた。しかし、ロベリアは見つからなかった......。
そして、ロベリアが世界から消え、三年と四ヶ月。母の日腹の中で三十ヵ月を過ごした子供が誕生した。名はパガン。人であり、人ならざる者。
“光”にも“闇”にも染まらない、異端児。
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