つばさ犬

紅茶党のフゥミィ

つばさ犬

『つばさ犬』


 それは、ある日突然現れた。

 その名を「つばさ犬」という。遺伝子操作によって偶然誕生した、つばさの生えた犬である。

 つばさ犬はテレビで紹介され、その目新しさ、可愛らしさから爆発的な人気となった。飼いたいという人が続出し、高値で取り引きされた。最初は普通の犬数頭分の値段だったが、最終的には高級車が変えてしまう程の値段になった。

 その人気から、普通の犬に鳥のつばさを接着した「ニセつばさ犬」や「つばさ犬モドキ」も出回るようになり、本物のつばさ犬を買うことは難しくなっていった。そして、買えないつばさ犬ではなく、昔からの人間のパートナーである普通の犬を飼う人が増え始めた。

 ブームが去って人々は冷静になった。そして思った。

「なんでつばさが生えただけの飛べない犬にあんなに夢中になったのだろう」と。

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