ニートな俺が異世界に転生してもスライムに殺されかけたうえに勇者たちに奴隷商人へ売られた話

はらぺこおねこ。

第一部

Scene.01 スライムにすら勝てない虚しさ

第1話 いきなり魔王

 ニート。

 学校にも通わず。

 仕事もせず。

 就職活動もしていない人のことを言う。

 世間は狭い、世界は暗い。

 一度落ちたら抜け出せない天井のない無限の宇宙が広がっている。

 手を伸ばせば掴めそうな距離で実は幻なんだ。

 みんな政府の言う言葉にだまされている。

 経費削減と言って公務員を切ったり派遣を雇ったりして得意げに鼻高々にしている政治家。

 この意味を理解している人は、どれくらいなのだろうか?

 もちろん、気づいている方も多いかもしれない。

 今、政治の政策のひとつに雇用対策をあげている。

 もう理解した人はいると思う。

 失業者増やす努力、つまり経費削減、人件費削減リストラ……

 これらのせいでさらに溢れ出た就職難民は、行き場をなくし路頭に迷う。

 ローンが残っている人は家を失う。

 家賃が払えない人は家を追い出されるだろう。


 公務員の給与は、安定と言われているがそうじゃない。

 派遣の人にまず、仕事を1から教えなければいけない。

 役場によっては特別な端末での、データ入力。

 派遣は、公務員の仕事をしても電話にでることはできない。


 知識がないため答えれないからだ。

 クレームの電話が多く引継ぎの電話をやろうものなら罵声を浴びせたり「税金を払って生活しているのだからなんでもいうことを聞け!」など言われる。

 派遣の人が出ると大抵の住民は怒るだろう。


「社員を出せ!社員を!」


 そう俺も数年前は、市役所の納税課にいた。

 電卓を打ちまくったのを覚えている。

 自分では頑張っただった。

 でも、そのときにあった市の決めたルールでは、派遣社員は半年以上同じ職場ではいられない。

 今はどうなっているのかはわからないけれど。

 簡単に言えばこうだ。

 いわゆるニート対策で、働いていない人を減らすため短期間だけ市は派遣で雇い働いていない期間が長い人を減らすということをしたかったらしい。

 それが、正解なのか不正解なのかはわからない。


 そして、なにも知らない面接官は、聞くんだ。


「どうして、市役所みたいな楽なところ見つけたのにやめたのか?」


 契約切れと説明をしても「根性がない」と言われ不採用。

 これの繰り返し。

 でも実は市役所は、結構効率が悪い。

 派遣で雇うより市役所から直接派遣でしている方が安く雇うことができる。。

 これは、どうしてか?

 お金の流れを簡単に説明しよう。

 まず派遣会社に今月分それぞれの給与を派遣会社に渡す。

 派遣会社は、手数料として、ひと月に数千円から数万円マージンを引き抜く。

 そこから諸々引かれて俺らの給料となる。

 派遣会社は、場所によって関西では交通費など出ないところのほうが多い。


 そして、仕事に慣れたころ。。

 派遣会社から更新修了を言われる。



 何度か公務員の試験を受けたものの。

 何度も落ちている。


 でも国は、民間に委託する怖さを知らない。

 それは、まず役所の出入りが多くなるということは、個人情報を沢山の人が目にするということだ。

 一応、業務と関係ない人の情報の閲覧は禁止されている。

 でも、数年前は見ることはできた。


 どちらにしても俺の人生が終わろうとしていることは馬鹿でもわかる。


 そんなことを考えたところ意味とかない。

 俺は、空をぼんやりと眺め……

 ゴールのない道を歩く。

 すると藁があった。

 なので、一本だけ拝借して、そのまま歩くと目の前に魔王っぽい人が仁王立ちで構えている。


 いや、現実世界に魔王なんてのは存在しない。

 でも、その姿かたちまさしく魔王だ。

 そして、魔王っぽい人がこう言った。


「その藁で我を倒すのか?」


 俺は即答で答える。


「違う」


 あまり関わりたくない。


「そうか……

 まぁいい愚かな勇者よ。

 ここで死ね!」


 俺は、勇者じゃない!

 そう叫びたかった。


「む、チカラがでんぞ!

 どう言うことだ?」


 これは、もしかして藁の力か?

 俺は、そう思うと何故か余裕が出てきたので、その藁を魔王の目の前にで、ちらちらとさせて遊んでいたら睨まれた。


「小僧、貴様はアルナイダ行きだ!

 お前があそこでどんな顔をするか楽しみだ!」


 魔王は俺の体を掴むとそのまま空に放り投げた。

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