第1036話 ふっかつ!
「今日はお城に俺が完全復活したこと伝えようと思う」
「ほんとに完全復活なの?」
「……ちょっと不安だから一緒にいてね?」
「そりゃあもう」
何日間おやすみしたのかな、ドラグナーストーリーを一通りやり終えてからさらに二十四時間が経った。この二十四時間は純粋に肉体的な疲労を取るために使った。精神面の回復するために体力はごっそり削ったからね。
国王様達にはこの間一切の連絡をしてないから、まだ心配かけたままだ。ミカ曰く向こうからは俺のお父さんに一日一度、現状報告されてたらしいけどお父さんが俺に自主的に何も言わないってことは、特に何もないんだろう。
流石に家を出るのはまた何かされそうでこわいから、この屋敷の中からまずカルアちゃんにメッセージを送る。
【カルアちゃん!】
【アリムちゃん! まさかもう大丈夫なのですか……?】
【うん、たくさん好きなことをして過ごしたからもう大丈夫!】
【この反応の限りではそのようですね。あれだけのことがあったのに、こんな短期間でよくそこまで……。私なら数年は引きずってしまいそうです。やっぱりアリムちゃんって凄いんですね】
【ふふん、そうだよ、ボクはスーパー凄いのさ!】
とはいったものの流石に新しいトラウマはできたと思う。仲のいい人がグチャグチャにされる、みんなが俺を裏切ってしまうかもしれない状況に置かれる、この二つの場面に出くわさなきゃ問題はないけどね。……普通は人生で一回もないでしょこんなの、特に前者は。
【良かったぁ……! 本当に良かったです!】
【ところでボクのお父さんには近況報告してるんだよね? お父さんから何も聞かされてないんだけど、なにかあった?】
【何もなかったんですよ、ただ確実に近日中に何かあるので、嵐の前の静けさといったところでしょうか】
【なにかあったら絶対にすぐに言うんだよ?】
【アリムちゃんに無理がないと判断できたらそうします。もう、頼りっぱなしと言うわけにはいきませんから。いざとなれば私も戦えますし! あのカオスブラックドラゴンにはまともに戦えるイメージが湧きませんけど……】
そうだよなぁ、ぶっちゃけあいつさえ居なかったらあとは相性次第でどうにかなりそうではある。あの、人間だけ能力を著しく下げる技だっけ、純粋な人間だから俺にも普通に効いたし、アイテムでは抵抗できなさそうだし……ファフニールに任せるしかないのが現状っていうのがなぁ。それに本人のステータス的にもSSSランクの中でも魔神に近いレベルで強い魔物らしいから、ロボットでも通用するか怪しい。
【とにかくボクが回復した以上、あとは相手からの宣戦布告を待つだけだね。場所とか特定できないからこっちから攻められないし……とりあえず防御系のアイテムをたくさん作って、各国の要所に置こうか】
【それがいいかもしれません。今集まっている他国の方々も自分の国に帰ることができずイラついてきています。状況は把握されてるので下手な行動などを起こす様子はありませんが】
【そこは流石に国を背負ってきてる人たちって感じだね】
それならいいんだ。メフィラド城ならあれだけの人数を置いてても一年は持つだろうし、なんなら物資は俺が無限に出せる。まあ相手がそれを見越してみんなのストレスが溜まりに溜まった頃まで待ってから戦争を仕掛けてくることも大いにありうるけどね。俺への精神的嫌がらせの方法を見るからに姑息というか、戦う時の心得を十二分に活用してくるから。むしろそう予測させておいて不意打ちしてくるなんてことも考えられる。
【……お父様方も戦闘態勢を整えています。無論、アナズム全域に関わることなのでブフーラ王国やエグドラシル神樹国も全面的に偽の神の対処に協力してくれています。……言葉には出しませんが、どうやら二度も敗北を喫したのがお父様、相当悔しいようで……】
【そりゃああれだけやられてやられっぱなしだったら普通悔しいよ。ボクも嫌だもん】
そっか、自分が病んでてすっかり忘れてたけど国王様ってアナザレベルの部下に二回も自分の城に攻め入られてボロボロに負けてしまってるわけだ。SSSランカーの意地もあるんじゃないだろうか。今この国が一番アナズムの中で色々国として大きいらしいから他の国も同じ状況になったら対処できないと思う。相手が相手だし仕方ないけど……メフィラド王国ばかりを狙う理由もまた何かあるのかな。やっぱり俺がいるから? ……ネガティブなこと考えるとまたこの間までに逆戻りしそうだからこれ以上は考えないでおこう。
【それじゃあ私はお父様にアリムちゃんが復活したことを報告しますから、また何か連絡が来るまでごゆっくりと休憩を続けてください】
【うん、そうする! それじゃ!】
俺はカルアちゃんとのメッセージを切った。……いー、もう難しいこと考えるのやだよぅ。さっさと平和になってくれればいいのに。魔神だって全員封印したんだ、これさえしのげばまた遊び放題、好きな仕事し放題の日常が戻ってくるのに。
【アリムちゃん、た、大変です……た、たた大変です……!】
カルアちゃんからまた、唐突にそうメッセージが送られてきた。嘘だ、こんなすぐに何か起きるなんて。しかも尋常じゃないことのような気がするぞ。
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