閑話 有夢を癒したいだけの話 (美花)
「続きをしよう」
「うん!」
今日も有夢は頑張った。念のためにアムリタ作って、SSSランクの魔物したならすぐに討伐にむかって、ルインさんの相談にも対応して……。SSSランクの魔物が現れるようになってから毎日毎日頑張ってる。もし地球に戻っても、災害対策を頑張るんだろう。
「………んーっ」
「どう? きもちい?」
「んー」
膝枕の続きをしてあげてるだけなんだけど、有夢は満足そうに甘えて来てくれる。可愛い、とても可愛い。やっぱりこうしてみると女の子にしか見えないけど、それとはまた別の可愛さを感じる。これが……母性なのかも。
「相変わらずすべすべしてる」
「好きなだけ好きにしていいのよ?」
「そうしてるじゃない」
そういえば翔がテレビ関係で疲れていた時、リルちゃんが癒そうとして四苦八苦してたけれど、有夢の場合は簡単。ゲームをやらせるか私がべったりすればいいから。
だからと言って朝に2時間もキスしっぱなしなのはやりすぎだったかも。有夢が私のキスを断るわけない上に寝ちゃったから仕方ないとはいえ。
有夢は私の膝の上で寝返りをうち、後頭部じゃなく顔を太ももに向けはじめた。鼻息がゼロ距離で素肌にあたってこそばゆい。もっと甘えたいのかな?
「えへへ……もっと……何かしようか?」
「エッチなことはだめだよー」
「太ももに顔を埋めるのってエッチなことじゃないの?」
「……はっ」
あ、余計なこと言っちゃったせいで有夢が顔を上げちゃった。まずい、正気に戻りそうな目をしている。私は有夢の頭を押し付けるように撫でて、自分のふとももに押し付けた。
「で、でも私がいいって言ってるから問題ないよ、ね?」
「ほれほほうはね(それもそうだね)」
よしうまく論点をすり替えて説得成功ね、一時はどうなることかと。このままでいてほしいことは本音だし。
「あひひびれなひ?(足痺れない?)」
「よゆーよゆー。いつも耐えてるでしょ?」
「ほーはっは(そうだった)」
_____
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「いやー、悪いね、夕飯作らせちゃって」
「なに言ってるのよ。一番疲れてるのは有夢なんだから」
1時間たっぷりと膝枕した後、しばらくゲームを一緒にしたらあっという間に夕飯時になった。分担制で今日は有夢のはずだったけど私が作ったの。ここしばらくはそうするつもり。それに……。
「体力残してもらわないと、夜中にイチャラブできないしねー」
「あ、やっぱりそのつもりなんだ」
「お昼『は』しないって約束だったでしょ? それとも今夜はやめとく?」
有夢は首を横に振った。つまりオーケーってこと。
やっぱり日頃のストレスを発散させてあげるのには、これが一番だと思うの。私が体を張るけれど有夢がまいってしまうより俄然マシ。……私が求めてるだけと言われても否定はできないかな。
「ねぇ、ミカ」
「ん? 何かしてほしいプレイとか……」
「違う違う、その話じゃなくて。なにか気を遣わせて悪いねって言おうと思って」
「なに言ってるのよ」
私が有夢に気を使うのは当たり前だし、甘えさせてあげるのも当たり前なの。だって私は有夢の物なんだし、有夢も私のものなんだから。有夢はなにも私に遠慮なんていらないのよ。
「夫婦になるんでしょ? このくらいなんてことないよ。有夢の方こそ毎日無償で頑張ってるじゃん」
「まあ、そうかもしれないけど……」
「もし私のこと気にしてるんだったら、毎日一緒に居て、甘えさせてくれて、夜を誘えば乗ってくれれば……」
「わかった」
結構ハードな要求なはずなんだけど、有夢は二つ返事でオーケーしてくれる。んもー、大好き。
夕飯を食べた後は一緒にお風呂に入って大人なイチャイチャをして、それからベッドに移った。
「ふふふふ、覚悟してね」
「お手柔らかにね」
「どうかなー」
有夢と私は抱きつきあいながらキスをする。気持ちが高ぶってきたところで有夢が動きを止め、私の顔を見つめはじめた。
「どしたの?」
「いや、今ふと考えたんだけど」
「なぁに?」
「俺がこれだけ頑張ってる理由、話しておこうと思って」
そう言って有夢は私の髪の毛をかき分けた。とっても優しい目をしている。私に子供みたいに甘えてきて居た午後とは違い、今の時間は本当に大人に……。とりあえずその理由っていうのはわかるけど、直接口から聞きたい。
「うん」
「俺とミカのこの日常、ひたすらこうやってラブラブできる日常を守るためなんだよ。俺にとっては無償なんかじゃない」
「うんっ!」
だめ、カッコ可愛い。私が有夢を癒すつもりだったのに、逆に私が有夢に癒されてる。そのあとはもう言うまでもなく盛り上がった……特に私が。
次の日、有夢より早く起きた私はある狂行をすることにした。いや、私と有夢の間ではそこまで変わったことじゃないし、たまにやってることだけど……とりあえず今の状況でやったらどんな反応するか見てみたいの。
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