第912話 知り合い達の武器 2
ゴッグさんの武器の要望は簡潔だった。武器が特殊である『笛』ならば強かったらどんなんでもいいとのこと。これはやりやすい。まあ、笛の武器自体ダンジョンの宝箱から出てこなかったりするだろうし、普通の武器職人だったら一番難しい要望だったかもねり
まず主な素材は5人で討伐したSSSランクの魔物、カオスプランティアの木の部分。いばらの触手が生えてるから完全に草の魔物かと思いきや、いろんなものに使いやすい木のような部分もあった。
どっちかっていうと薔薇の低木に近い魔物だったのかもしれい。
やっぱ笛なら木でしょ。うちの学校で使ってたやつはプラスチックだったけど。
これは他の人たちみたいにいろんな魔物のものをごちゃ混ぜにしたりはせず、形成したり木材自体を加工する時に使うオイルや水を魔物から取れる強力なものにすることにした。効果も単純でつよいものに。腕を生やすラハンドさんや薔薇魔法が得意なローズみたいな特殊なものはゴッグさんにはないから単純にしかできないけど。
マーゴさんも特に普通の弓でいいだろう。要望にはラハンドさんとお揃いに見えるようにしてほしいと書いてあってから、デザインをそうすればいい。主な素材は笛と同じように木で、金具部分はラハンドさんとガバイナさんに使ったものと同じ精錬されたミスリル、そのラハンドさんカラー。
弦の部分はカオスプランティアの蔓を繊維で束ねて強くしたものにしよう。
そういえばマーゴさんって、ミカに弓を教えてくれた張本人なんだっけ。お陰でミカのメイン武器は弓だね。
俺としてはミカに剣とか槍とか素手とかの近接武器で敵に突っ込んでいく真似はして欲しくないから気持ち的にとても助かってる。
……弓にちょっとだけ効果を付け加えておこう。
ゴッグさんとマーゴさんにはラハンドさんから軽装もつけてくれと要望があったから、似たようなものを用意しておく。似たようなものだけどもちろん伝説級。
よし、こんなものでいいでしょう! これから早速制作に取り掛かろうね。どのくらい時間かかるだろうか。ステータスを上げる装飾品をフル装備して、時間が遅く進む今いるこのマジックルームに篭り、ゾーンやらなんやらを生かして………2時間くらいかな!
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「できたー!」
計画通りの出来栄え。
途中でゴールディローズドラゴンの時のように、ファフニールロットの素材もアムリタ使って増やせばいいことに気がついて、結局全ての装備品にきちんとしたものを混ぜ込むことができた。
素材をいくらでも増やせるアムリタはやっぱいいね! 本来の使い方とはまるで違うけど。
……そうだ、この6日間(もう残り5日だけど)で何も準備することないなー、なんてミカと言い合っていたけれど、よく考えたらアムリタを増やしたり持ってる武器にSSSランクの魔物の素材を付け加えればいいんだ。明日やろう。
とりあえずはこの依頼の品をみんなの元に持って行こうね。
「みんなーでき……」
「ミカちゃんだから教えてあげる! アリムちゃんにも言っていいよ」
「なんですか?」
食堂に戻ったところで、ミカとマーゴさんに何か秘密を教えてもらおうとしていた。よし、ここは様子を見ようね。
「ローズちゃんには一緒にダンジョン入ってる最中に教えたんだけどさ。実は私とゴッグって、人間とドワーフのハーフなんだよねー。つまり魔族なんだよ」
「えぇ、そうなんですか!?」
「ほら、その証拠にこの耳飾りをとると……」
「おわっ!」
ニョキっのマーゴさんの耳の先端が伸びた。それ以外は変わらない。正直耳だけじゃエルフのハーフなのかドワーフのハーフなのかよくわかんないけど、魔族であることは確かみたい。
「えへへ、奴隷としてこの国で違法に売られそうになったところをラハンドさんが助けてくれたんだー」
「そういうことだったんですね……!」
「そうそう、そういうことなの」
言ってしまえばリルちゃんとショーみたいなものか。リルちゃんもエルフと白狼族のクォーターだったらしいし。案外いろんな種が混じってるんだね。
「そうだ、ならついでに俺の秘密も話しておこう。アリムが戻ってきたら……お、もう居るんだな」
「あ、アリムちゃん! 聞いてたんだね」
ガバイナさんが自分の秘密について教えようとした時に俺に気がつくとは。気になるじゃないか、話の続きが。
「はい、聞いてました」
「ミカちゃんが説明する手間が省けたねー」
「となれば先にアリムの武器を見せてもらおうか」
「我もガバイナの秘密を知りたいが……本人がそういうなら、先にアリム、武器を見せてくれ」
えー、そんなー。
むぅ……でもみんなそう言うんだったら仕方ないね、武器を見せてから秘密を語ってもらおう。結構気になるよ、暴露大会。
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総合1000話ですって!
ありがとうございます!感謝です!
1000話ですよ、1000話!
……閑話が88話もあるんですねえ(・ω・)
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