第878話 黄金のSSSランク討伐 (翔)
「まだ生きてるね」
「地形を破壊すんのはどうかと思ったが……やりすぎたみたいだな、加減」
「まあ仕方ないよ」
ゴールデンナントカはピクピクと動いているが、やがてそれは止まり、突き刺さった頭を地面から出した。
先ほどまで緑色だった目は怒りを表しているのか赤く光っており、ツノは俺のせいで先端が折れている。
<キサマ……ッ! このゴールデンヘラクレスオーガのスピードを軽く上回るその実力、SSSランク、それも相当上位>
「その通り! おびき出す為にわざとちょっとだけ格下くらいの魔力を放出したのさ! ショーが」
<再び感じるこの魔力……! 狼族の小娘と、筋肉男……まさか二人ともSSSランカーか!?>
そう言った途端、赤く光ってた目はすぐに緑色に戻る、
そして俺とリルにクルリと背を向けると、羽を広げた。
<流石に叶わぬッ! 逃げさせてもらう!>
なんて堂々と逃げるんだろうか。
しかしあれだけ喧嘩を売っておいて格上とわかると敵前逃亡とは……同じ筋肉ダルマとしてちょっと恥ずかしいぜ。冷静な判断力といえばそうなのかもしれないが。
「わふん、逃がさないよ!」
<なにぃ!? 狼が空を飛んでッ……!>
「わーっふん!」
足に風を纏って空を飛び、バッグから斧を取り出すのがめんどくさかったのか魔法により速攻で斧を作り出し、それをまるで細身の剣のように軽く振るうリル。
防御がめちゃくちゃ高そうだったゴールデンナンチャラの首と胴体はいとも簡単に引き離される。すぐに両方とも動かなくなった。
「わふん、倒したよ!」
「やっぱ斬撃の方が良かったかなー」
「地形破壊を懸念するならその方が良かったかもね。でもどっちみちショーの魔法は火属性だからこんな森の中で使っちゃダメだよ?」
「それもそうだな」
リルを狙ったたから思わず最初に手を出したが、確かにリルに全部任せた方が良かったかもな。
「ひ、ひょぇぇ……」
「あ、大丈夫? 怪我はない?」
「こ、これがSSS同士の闘い……! あ、怪我ないです、ありがとうございます! 本当に!」
「君にはなんだか感謝されてばかりだね、わふん」
リルが腰を抜かしている案内人の子を立たせている間に、俺はこの金色筋肉を回収する。放置するわけにもいかねーしな。
しかし、まー、二回も触った感覚でわかったがこいつはカブトムシ系の魔物が人型になった感じだ。見た目だけならまあ、そうでもなかったけど……考えを改めると正直気色悪い。
「ふ、ふつうSSSランクの魔物に会うなんて、100回は死んでもおかしくないのに……あ! 本来なら案内人である私がああいう時って戦わなきゃいけないんですよね……」
「それは無茶ってものだよ」
「で、ですよね。この森は管理されてますから、出たとしても普通はCランクの魔物までなんですよ……だからこの案内人に転職したんですけど……この村で生まれたから一帯の事は詳しいつもりだったし、安定した職業に就きたかったし」
まあ、俺らがいたのは幸いだったよな。
そのあとじっくり説明するなんて間があるわけもなく、俺たちはすぐに村に戻った。
俺があいつを地面に叩きつけた時の轟音は響き渡っていたらしく、案内人の子の青ざめた顔を見て何があったかを仕切りに聞かれることになった。
「み、みんな、とりあえず……村長を呼んで……? それから説明する……」
案内人の子がそういうと、村人のエルフの一人がまだ30代後半にも見えるエルフの男性を連れてきた。この人が村長なのだそうだ。
そういや、昔にちらっと耳に入った話じゃ、エルフは個体差もあるけど長くて寿命が300年とからしい。
「あの大きな音はなんだ? すごくいやな予感がしたんだが……ああ、君と客人。何があったか教えてもらおう」
「そ、村長……実は……」
リルが励ましながら、案内人の子が大体のことを説明してくれた。聞いた人たちはみんな青ざめてくる。
村長も若干顔色を変え、ゴールデンナンチャラの死体を見せてくるように頼んできた。
俺はそれを地面に拡げる。
「やはり……これは3年ほど前にラストマンに討伐してもらったゴールデンヘラクレスオーガではないか」
「討伐? 本人は復活したようなことを言ってましたが」
ラストマン……ああ、あの結婚した人が倒していたのか。そうだ、あの人かなりしっかりした性格だったし、倒し漏れてしまうなんてことも考えられない。
「私も確かに、その時も死体を見せてもらった。本人もかなりボロボロになったたからな……そうか、革命前だったな、うん」
「つまり本来生き返るはずのない魔物が復活したと?」
「そうなるな、客人。しかし最近やけにSSランクやSSSランクの魔物が出現しているとこの長い耳が風の噂で聞いた。その一貫かも知れない……とにかく、此奴を討伐してくれて本当に助かった……!」
まあ、昔からだが、感謝されるのは悪くないよな!
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