第829話 パーティなんだね

「ああ、久しぶりだな」

「んにしても、便利なことしてんなぁ。SSSランカーはみんな大抵人だかりだできちまうことに困ってたりしたのに」

「あはは」


 

 ラハンドさんもガバイナさんも元気そうで何よりだ。といっても最近はこの街は平和そのものだから元気なのも当たり前かもしれないけど。



「もうミカちゃんほんとうに雲の上の存在なんだもんっ」

「うん、僕達じゃもう会って話すこともできないんじゃないかって思ってたんだけど」

「そんなことないですよ。アリムのおかげで、街に出ても騒ぎが起こったりはしませんもん」



 確かにそうだよね。これからは暇な時、知人を呼んでプチパーティをすることも考えてもいいかもしれない。

 ミカはゴッグさんとマーゴさんに挨拶をしたあと、ローズに近づいて肩を掴んでいる。



「そしてローズも! 最近会ってなかったね」

「すまない、しばらく仕事にのめり込んでいてな。一段落したらまた前のように世話になるから」

「そっか。まあそういう時期もあるものだよね!」

「あれ。ローズちゃん、ミカちゃんとお知り合いなの?」

「話してなかったかマーゴ。我とアリム達はそれなりに前から友人関係なのだ」



 ちょっと複雑そうな顔をしながら笑い、ローズはそう言った。友人っていうよりは……親に近いというかなんというか、少し複雑た関係だからね俺たち。



「へー!」

「逆にローズはマーゴさん達とどうやって出会ったの?」

「それは私から話そうアリム」

「ガーベラ! そ、そうか。そうしてくれ」



 ガーベラさんが俺たちに説明してくれるらしいけど、なんでローズは顔を赤くしてるんだろう。

 まるでカナタに照れてる時のサクラちゃんみたいだ。


 ガーベラが言うには、一度ローズと仕事をしてから交友関係があったらしく、ローズから昼食を一緒に食べないかと誘われたりしてたらしい。

 そうして友達付き合いをして行くうちに、友達の友達は友達、みたいなノリでラハンドさん達3人とローズにも交友関係が生まれたのだとか。

 裏でなんか知り合い同士が関係あるのってなかなか楽しいね。



「にしても不思議だよなぁ。今までガーベラ、女っ気なんて全くなかったのに。マーゴと同い年くらいの女の子のダチができるなんてよ」

「それは私も常々感じていることだがな」

「そっ……それは、依頼中に助けてもらったことがあるし、何回か話して気が合いそうな奴だと思ったからだ」

「またまたぁ。ローズちゃんってばガバ……ンググ!」

「マーゴ、それは口に出しちゃダメだよ」



 ははーん、なるほど。そう言うことか。ローズは確か人間の状態で恋愛をしてみたいとか言っていたね。

 一緒に仕事をしている最中に助けてもらったからその対象がガバイナさんになったわけだ。

 でもラハンドさんと同じように歳下から言い寄られても断りそうだなぁ。道のりはながそう。


 ミカがローズににじり寄り、なにやらヒソヒソと耳打ちをしている。みるみるうちにローズの顔は赤くなり、ぶんぶんと勢いよく顔を振った。

 ミカってばローズがガバイナさんのこと好きなの知ってたのかな? いつ知ったんだろ……まあ、ふたりで話す機会ってそれなりにあった筈だし、別に気にすることでもないか。



「ヒャハハハ! まあ、その等の助けた本人はまだAランクでローズはもうSランカーだがな! ったくよお!」

「すでに私と仕事をした時はかなりの実力を持っていた。なんらおかしいことはない。それにお前もAランクなのは一緒じゃないか」

「まあな。でもうちのマーゴとゴッグはDランクからCランクに上がったからな。フィストアイアンはより強くなってるんだぜぇ?」

「うん! でもその話をSSSランカー2人の前で話しても虚しいだけだと思うの」

「マーゴ……ああ、まあなぁ」



 俺たちは特殊だから比べちゃダメだって。この世界じゃAランクでも普通は十二分に高いんだからさ。

 それにもし本当に俺達にランク付けをするのだとしたら、Sが50個くらいのランクはありそうなものだし。



「ところでそんな重装備して……これからどこに行くんですか?」



 ミカがそう聞いた。そういえば5人ともこれから戦闘に行くかのような格好をしている。

 でも共同の依頼であるとはちょっと考えにくいな。

 最低Cランクから最高Sランクだなんて、違いがありすぎるし。



「アリム達なら言っても問題ないか。実はラハンド達が依頼をこなしている最中に、なんと、ダンジョンを見つけたと言うのだ。それに私とローズは誘ってもらったと言うわけだ」

「Aランク1人とCランク2人じゃあ、ダンジョン攻略なんてできねぇからよ!」

「ローズちゃんが居るから、きっとクリアできると思う!」

「おいこら、ローズにばっかり頼るんじゃねぇぞ?」

「うむ、そう言うわけなんだ2人とも」



 ほへー、ダンジョン攻略を5人でねぇ。

 ローズがいる時点でもはや裏ボスですら倒したようなものだと思うけど。でもここは数多くのダンジョンを何千周してきたこの俺がアドバイスでもしてあげようかな。

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