第677話 全国大会後、アナズムにて (翔)

「改めてぇ…ゆーしょー、おっめでとーっ!」



 アナズムにもどってくるなり、有夢がクラッカーを鳴らしながらそう言ってくれた。



「ほんとにおめでとう、翔!」

「翔さんすごいです!」

「全国の高校生で一番柔道が強いって事だよね!」

「まあ、安直にはそう言えないけどね。なんにせよ翔さんがすごいのは変わりないよ」



 いやぁ…照れるな、なんかこんなに幼馴染たちに祝えてもらえて。昨日までの疲れが全て吹っ飛んじまいそうだ。

 家に帰ってから結果を報告したら手を叩いて大喜びしてたしな。母さんと一緒にあの親父までが。



「とりあえずハイこれ、アムリタ。飲んで元気になってね! 今日のお夕飯はこの世界の贅を尽くした豪華料理にケーキとか、たくさん用意しておくよ」

「おう、サンキューな。楽しみにしてるぜ」



 有夢のお祝いの飯は全部うまかったし、高級なもんばっかりだったからこのラスト、期待していいだろう。

 俺はもらったアムリタをぐいっと飲み干した。

 …体の疲れが完璧に取れる。さすがだぜ。

 あ、今からリルも飲むんだな。



「で、いつも通りお部屋で二人はイチャイチャするの?」

「わふ、そのつもりだよ」

「じゃあここで解散だねー! お夕飯ができたら呼ぶから……ゆっくりしておいでね」



 そんなわけで俺とリルは部屋へと向かった。

 ……近づくにつれなんかドキドキしてくる。全国大会優勝のご褒美、どんなものだろうか。

 物でないのはわかってるし、リルが身体を張るんだろうということも承知だ。

 


「わふ、まずは全国優勝おめでとう。翔」



 入室するなりリルは抱きついてくる。

 アナズムだから狼耳と尻尾があるが、それ以外は地球とら変わりない。いい匂いだし柔らかい。



「えへへっ、すごくカッコよかったよ」

「いやー、照れるぜ」

「本当のことだもの」



 俺の方からもリルを抱き、狼耳も含めて頭を撫でる。

 ピクピクとならしてる耳がまた、可愛くて仕方がない。



「で…エッチなことからする? いつも通り整体からする?」

「まずは整体で頼む」

「りょーかいだよ!」



 俺はベッドに横になった。

 整体用の服に早着替えしたリルは、腕を掴み、そこからほぐしてくれる。



「大きてゴツゴツした手。これで投げ飛ばしたり、私の胸を掴んだりしたんだよね」

「………そうだな。どう思う? この手は」

「渋くてかっこいいよ。最高だ」



 俺の手に頬ずりしてからまた整体を再開してくれる。

 腕が終わったら脚。脚が終わったら俺の背中にまたがり、本格的に揉みほぐしてくれるんだ。

 こうして丁寧に丁寧揉まれ、2時間が経った。



「ふぅ、このくらいかな。どうだった!」

「いやぁ…やってもらうたびに上手くなってんなぁ…最高だぞ」

「わふふ、ありがと。さて……と」


 

 俺がベッドから立ち上がるとリルは真っ直ぐにおらを見据えた。みるみる顔が赤くなってゆく。

 


「さ…さてと。約束の時間だよ」

「顔赤いな。気分が悪いなら無理しなくていいぞ」

「むっ! ショーってばわかってて言ってるね?」

「まあな」



 からかいに反応できる余裕があるなら大丈夫だろ。

 


「じ、じゃあ待っててね」



 リルはそう言うと、すぐさま着替えられる装置がある小部屋へと向かい、その中に入った。

 そしてすぐさま出てくる。



「ど、どう……かな?」



 リルはいわゆるスクール水着を着て出てきた。

 ていうかサイズが小さいな。胸がやばいことになってるぞ。

 


「なんでスクール水着なんだ?」

「え、なんか…ネットでウケのいい扇情的な格好ないかなーって思ってたらこれを見つけてね。……着てみちゃった」

「だがうちの学校の水泳の授業もスクール水着だぞ?」

「……うん、それを思い返してさ、だから今回は胸が露出するやつ選んだんだ。どうかな? ……もしかしてあまり好みじゃないとか…?」

「好みじゃないことはない…が……」

「ウケが悪いね。つ、次こそはグッとくるものを着てくるよ!」



 そう言って、リルはまた小部屋へと入っていった。

 なるほど、扇情的な衣装限定の着せ替え…か。

 悪くねーな…。



「次はどうかな?」



_______

____

__



「わふぅ…ん。たくさん着替えたよ。どうだった?」



 およそ考えられる限り着替えまくったリルは、最終的に裸にソックスだけを履いた状態でお開きにした。



「ああ、いや。なんつーか….よかったよ」



 ぶっちゃけドキドキしまくりだが……きっとリルのスタイルがいいだけじゃない。

 狼耳や狼尾もかなりいい味を出していたな……。



「わふ、そりゃよかったよ! でも見て、触るだけでよかったのかい? 好きな衣装の時に言ってくれればそのまま…」

「あ、そうなのか? …….まあそろそろ夕飯の時間だしまた今度な」



 ちなみに昼飯は最初に大会を優勝した時と同じ格好で作ってくれた。



「わふ、流石にこれでみんなの前に出れないからね、着替えてくるよ」

「おう」



 リルが小部屋に入ったと同時に有夢からメッセージで夕飯ができたときた。タイミングばっちりだぜ、俺。

 …….ああ、時間的なタイミングはぴったりだが、自分の体のことは考えてなかった。

 うーん、ま、前屈みになりゃなんとかなるか。



#####


(*・∀・*)エッチー!!

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