第648話 ガチャガチャ

「じゃあ引くよ」

「うん」



 次は何が来るのかな?

 手順を踏んで、出てきた結果を見てみるの。



【追加機能【物品自由世界移動『キャリー』】が追加されました】



 ん、あれ?

 もしかしてこれって…まってよ、なんだかとても嫌な予感がするよ。というよりか嫌な予感しかしないよ。

 


「ミカ……ね、これって…」

「うん、私もなんだか胸騒ぎがする。と、とりあえず説明を」

「だね」



 俺はこれの説明欄を開く。



【物品自由世界移動『キャリー』 (追加機能)


 この追加機能は使用者が世界移動の権利を所持し、なおかつその増加機能を購入している場合に効果を発揮する。

 アリム・ナリウェイは世界移動をする際、左手で触れているものを別世界に持ち込むかどうかを自由に選択できる。また、アナズムへ戻ってくる際にも、左手に持っていた物を持ち帰ることができる。

 移動させた個体は元の世界からは無くなるが、しっかりと移動先へ持ち越される。その繰り返しでまた元の世界にその個体を返すことも可能。

 また、左手に触れていたものが鞄などの入れ物だった場合、中身も一緒に移動される。

 移動したものは元の世界通りに効果を発揮する。この装置の効果によって劣化するなどということはない。

 植物は移動させることができるが、生命活動を続けている生物は移動させられない。

 全体化をした場合、上記の効果がこの装置使用者全員に現れる。】



 俺とミカは顔を見合わせた。

 いいのか、こんなもの。本当にいいのか。

 嫌な予感が完全に当たってしまった。



「これは……」

「よく考えたら軽く世界滅亡させられるわよね。例えばマジックバックに何億個もの核爆弾をこっちで作って持ち帰るとか」

「ひぇ……で、でもとりあえずカナタがお願いしてたものの一つは手に入れられたね」

「ここまで強力だなんて思わなかったけど」



 生き物以外は全て持っていけて、効果は健在なまま。

 俺の神剣とかその他もろもろを一つ持ち込むだけで間違いなく世界は終わる。使い方を間違えないようにしないと。



「でもこれあれよね、お母さん達にドラゴン肉のステーキとか食べさせてあげられるわよね!」

「そ、そうだよ! そう考えたらかなりいいものかも! とりあえず……俺たちの間で悪用する人なんていないし、全体化だけしちゃおうね」



 危ない気もするけど俺含めて6人とも信頼してるからね。だいじょぶなはずだよ!



「あ、そうだ」

「ん? どしたのミカ」

「いや、こっちの世界に持って行きたいもの考えただけよ。えへへ」



 あれこれ持ち込みたくなるのちょーわかる。

 それはまたおいおい考えることにしようね。今じゃなくてさ。



「どうしよ、ガチャ続けようか」

「それがいいんじゃないかしら。次はステータスが残る機能を手に入ればいいのね」

「そ、そ」



 はっきり言ってこれから出てくるのはどれもこれも強力な効果ばかり。ちょっと不安になるけれど仕方ないよね。必要事項だしね。

 俺はまた、転生ガチャを回した。



【機能【オーナー設定】が追加されました】


 

 む、これは今までとは毛色が違うね。

 なんなんだろ。説明も見てみる。



【オーナー設定 (追加機能)

 この設定を使用できるアリム・ナリウェイは、他の一度でもこれを使用したことがある者に対する制限をかけることができる。一部の機能のみを使えなくさせることも、全機能を使えなくさせることも自由自在。一括禁止機能もある。

 この機能は全体化することができない。権利を譲ることはできる。

 またホーム画面の機能の並べ替えなど、多種多様に設定できる。】



「つまりこれは、俺が本格的にこれを管理する人になったってこと?」

「そうなるわね。結構便利だと思うけど」

「だね、これまあ、なかなかいいのが出た」



 まあ、問題を起こすような人は俺たちにはいないけど。

 念には念を…ってね! 



「ふむ…まだ4回だけどなかなかいい結果だねぇ、ミカさん」

「そうだね、有夢さん。それでガチャ引くの?」

「ちょっと新機能の確認をもう一度してからね」



【 世界移動

  ・使用する/使用しない

  ワープ

  ・使用する/使用しない

  無制限観察

  ・使用する/使用しない

  転生ショップ

  ・使用する / 使用しない  

  経験値.1日倍加

  ・2MTP払って使用可能

  オーナー設定

  ・使用する/ 使用しない

  追加機能の管理

  ・使用する/ 使用しない 】



 お、おお、ホーム画面が結構充実したね。

 もはや神具級の枠なんて飛び越えてるような気がしなくもない。さらに上じゃないの、このお地蔵様型転送装置。



「ガチャガチャ! レッツ、ガチャガチャ!」

「ミカたのしそうだね」



 少し口ずさみながら体をフラフラさせてる。かわいい。



「なんかこういうのってワクワクするよね!」

「あ、じゃあ次はミカが1回やってみる?」

「うん!」



 というわけで次のガチャはミカがやることになった。



「とんでもないのが当たる気がする!」



 ミカがそう予言したんだったら、そうなるんだろうね。

 

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