第584話 ラブロングサーカス団 -2-
エアリアルという布を上り下りする催しの次は、体操選手みたいな人たち3人による椅子登りだった。
椅子を積み重ねたりして行き、バランスを取るんだよ。
それも終わったら再びロングハート君が出て来て、おどけるの。
どうやらプログラム2つごとに1回、ロングハート君が出て来ておどける見たいだ。やっぱりピエロはサーカスの看板だね!
〈続いては象による______〉
どうやら次のプログラムは象さんのようだ。サーカスといえば動物の扱いだよね。今回はホワイトタイガーだとかの珍しい動物も出るみたい。
火の輪くぐりとかもするのかな。
それよりも先にまず象さん達が出て来た。
3頭とも調教師に連れられているの。
「わぁ…象さんだ! あれがちゃんとした象さんなのね!」
「あー、そっか。桜は象をしっかり見るのも初めてだっけ。今度のデートは動物園にしようか」
「うんっ」
桜ちゃんは叶の肩に嬉しそうに寄りかかった。普段はあまりそんなことしないのに。…いや、俺らが見てないところで仲睦まじくしてるのかもしれない。
嬉しいのは一緒か。よし、なら俺も。
「美花、俺たちも次のデート、叶達とかぶらない日にちに動物園に行こうか」
「うん、行く!」
よし、ついでに決まった。
それはそうと象さん達のショーはそれはまたすごいものだね。
いやぁね、普通のこと…人ができることなら俺もアナズムでいくらでもできるけれど、動物の調教とかは専門外だから。ついつい真面目に感服しちゃう。
1匹の象さんはキャンバスに簡単に絵を描き始め、1匹は物理的に考えて象さんに対して小さすぎる箱の上に乗り、最後の1匹は鼻でフラフープしてる。
と思ったら今度は3匹で力を合わせて(身体に負担のかからない程度の)ピラミッドを作ったり、キャッチボールしたり…あんなに鼻を酷使して大丈夫なのかな。
ああ、ちなみに像と触れ合えるコーナーが閉幕後にあるらしい。
でもリルちゃんの狼っぽいところの一つ、鼻の良さがこっちでもかなり健全らしくて、本当の犬みたいに我慢できないほどではないけどキツイらしいから、翔とリルちゃんは外で待ってるって。残念。
〈象のフラワー、ブロッサム、ヨシオでした!〉
象のショーが終わった。フラワーとブロッサムは『ハナ』にかけてるのがわかるけど、『ヨシオ』はいったいなんなんだ。
ああ、次の出し物はバイクで鉄球の中をグルグルするやつらしい____________
______
____
__
「わふん、次はメインの一つ! 空中ブランコだね!」
バイク、ジャグリング(ナイフ投げ)、マジックショーを経てリルちゃんのいう通りメインの一つである空中ブランコになった。
やっぱりサーカスといえば動物とピエロと空中ブランコだよね。
「リルはできるか?」
「わふ、ショーは今日そればっかりだね。……あれ以来ちょっと高いところ怖いから無理だよ」
「そうかそうか」
翔は何が満足だったのかリルちゃんの頭をよしよしと撫でる。今日の翔はやけに陽気だ。もしかしたらサーカス、地味に楽しみにしてたのかもしれない。
〈空中ブランコをするのは、______、______、______……です! …あれ、ロングハート君もするの?〉
空中ブランコをするメンバーの中に光夫さんが混じっている。大丈夫かな、できるのかな。
お姉さんがわざとらしく訊いてるということは、普段からやってるんでしょう。というか出し物の一つだね。
……光夫さん、サーカスの項目なんでもできるね。
だから団長兼ピエロなんてしてるんだろうけど。
うーん、アナズムに居た時はそこまで動きが良かったわけじゃないんだけど…100年のブランクは大きかったのかなぁ。
空中ブランコが始まった。筋肉が腕についてる男の人や、しなやかな女の人がぴょんぴょんぴょんぴょんと空を駆け回ってる。
上手くやるもんだね。
下にトランポリンのようなものが敷いてあるしハラハラはしないけど、躍動感があって楽しい。
〈おっ、ロングハート君、行けるか!?〉
おお、ついに光夫さんがチャレンジするみたいだ。
空中ブランコを足で固定している男の人の手に捕まって宙ぶらりんになり、そのまま別の人の足をつかんで移動。
かなり上手くいけているけど……。
〈あああああっと、おちたぁ!〉
ロングハート君が3人めの女性の身体にしがみつかねばならない時、(多分わざと)までを滑らしたの。
そしてそのまま落下する。
観客から悲鳴と驚きの声が聞こえるけれど…!
当の本人はアクロバッティックに空中回転しながらトランポリンに降り立った。やっぱり魅せるのがうまいと思う。
「わわふぅ、ヒヤヒヤしたぁ! ヒヤヒヤしたぁ!」
「でもあれ、わざとだぜ?」
「わっふーん! すごいもんだね」
うん、トリプルデートはこのラブロングサーカスで大正解だったみたいだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます