閑話 リルの寝言 (翔)
___________これはある日の夜中のこと。
時はリルが入部してから。
____
__
_
「ん……ふぁ」
夜中に目が覚めちまった。
便所に行きたいだとかそういうわけじゃねーのにな。
リルはまだ隣でスヤスヤと寝ているからその邪魔をしないように、近くにあった時計を見た。
午前6時05分…いつもはもう少し寝ているが、今日はたまたま起きちまったのか。
思いっきり身体を近づけてきているリルから脱出し、とりあえず俺は便所に行く。そして戻ってきて…このまま起きちまっても良かったが長く寝れるのなら誰だって長く寝たいはずだ。
俺はベッドの中に再び潜り込んだ。
若干朝日が照っていて部屋が明るめだ。
身体がくっつくほど近くにいるリルの顔がよく見える。
こうして今こそアナズムでは添い寝してるわけだが、正直、同い年の女の子と添い寝してるだなんて周りに言ったらすげー疎まれそう。
実際こうして冷静になってリルを見つめていたらなんか恥ずかしくなってきたな。
「んぅぅ…ショー…えへへ」
寝言でも俺の名前を呼ぶのか。
それどころか俺に抱きつき直してきた。
俺のためにプロポーションを保ってるんだかなんだか言ってただけあって抱かれ心地はすごい。
にしても自分の彼女ながら半端じゃなくかわいいなと、ふと思う時がたびたびある。
今この状態で頭を撫でたり頬をつついたりしてもバレないだろうか。
抱きつきから腕だけ逃れ、頬を指でつついてみた。
スベスベで吸い込まれるような肌触り。健康そのものだ。嬉しい。
「む…ごしゅじん…ショー…ごしゅーしょー」
リルがなんか言いだしたぞ。
ご愁傷って何事だ。リルの夢の中では俺はどうなっているというのだろうか。
「わふん…ごめんなさいショー……わたし、わたし、こんなマッチョになっちゃった……」
リルはどうやら自分がマッチョになった夢を見ているようだ。
「ショーとの筋トレが楽しく…て…やってたら….こんなに筋肉むきむきに…。まるで男性プロレスラーだよ……」
それはどんだけ鍛えたんだろうか。
正直想像したくないな。リルの幼さの残る可愛らしい…そ、そんな感想を抱きたくなるようなフェイスに、鍛え上げられたむっきむきのボディ…。うーん。
「ああ、ショー……やだよ! 私を見捨てないで! 他の子の胸を見ないでくれ! まだ、まだ胸なら残ってるから」
リルは俺がリルと一緒にいる理由の一つを胸だと思ってないか? たしかに一番好きな部位はそこだってのは実はあってるんだが。
「わふん、ならショー……いつもみたいに私の胸を揉んでよ。ここは、ここはまだ残ってるの!」
『いつも』は触ってはいないんだがな……特別な時とかなんかそういう雰囲気になった時は……うん。リルの身体は夢と連動してるのか、俺のことを抱きしめてくる。
こんな夢が反映されるタイプだとは思ってなかったが……気分は悪くないし、よしとしよう。
「そんなことってありなのかい? ショー自らが筋肉の塊になるなんて…私に合わせなくてもいいのに。すごい、筋肉が膨張してゆく…!」
一体リルの夢の中での俺はどんな姿をしているんだろうか。筋肉フェチのリルが驚くくらいなんだから、ゴリマッチョのさらにその先かもしれねー。
めっちゃ気になる。
「……す、すごい…ゆうに2メートルは超えてる…。筋肉が膨張したことにより骨格まで変わるなんて…。それにもう脂肪がどこにも見つからないよ…!」
どうやら俺は化け物になってるようだ。
なんか面白い夢だな。
「ああ…ショー…! 私、ショーに抱きしめられたら死んじゃうよ。ショーの腕の中で死ぬのは本望だけど」
物騒だ。そもそも今抱きついてきてるのリルからなんだが…。
「けっ…けけけ、結婚しよう!? ショー、本気かい!?」
どうやらリルの夢の中の俺は、リルにプロポーズしたみたいだ。いつか俺もきちんとリルにプロポーズする日が来るんだろうな。
「た、たしかにアナズムだったらギリギリ結婚できるけど…いいの? 私でいいの?」
俺は後悔なんてしないが。リルでいい、じゃなくてリルがいい。もはや俺にとってはリルはそんな存在だが…。
「わふ…結婚式だね。どうかな、ウェディングドレス」
もう話が結婚式まで飛んだか。
……たしかにリルのウェディングドレス姿は見てみたい気がする。
「わふーーーん、だめっ…だめぇーっ! ドレスが筋肉で弾けちゃっ__________わふ?」
若干涙目になりながらリルが目を開ける。
筋肉でウェディングドレスが弾けるなんてそんなことあるんだな。リルの中では。
「リル、おはよう」
「わふん! ショー、起きてたんだね、おはよ」
夢から覚めたリルとともに、今日もまた1日が始まる。
#####
ズバリ言います(´・ω・`)
ネタ切れでした。
次話はちゃんとあるので安心してください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます