第440話 次回の準備

「よしっ!」



 3人の男達がリロさんをま庇うように剣を構えて前に出る。

 そしてまた。



「ファイヤーエミッションっ!!」



 リロさんの限界の大きさであろうエミッション3発が振るわれた。

 炎の直線的光線はウッドゴーレム1体をあっという間に倒し、マッドハンド2体に重傷を、チャイルドラゴン1体にダメージを負わせたる。

 MPをつかいすぎたのが、リロさんの身体ががくりとブレるけど、それはミュリさんとカルアちゃんが支えた。



「うおおおおおっ!」



 間髪入れずに3人の剣士達は魔物達に突撃!

 ティールさんは一番手負いのマッドハンドに。

 ルインさんはもう1匹のマッドハンドに光の剣の気を纏って。

 オルゴさんはチャイルドラゴンに土の剣の気を纏って。

 それぞれ斬りつけた。


 繰り返される剣撃。

 ものの数秒で、Dランクの魔物軍は全滅。

 いくらかの使えそうな素材と、魔核を残していった。



「やたーっ!」



 リロさんがそう叫ぶ。

 ティールさん、ルインさん、オルゴさんもそれぞれ剣を鞘にしまい、ホッとした顔で俺達の元に戻ってきた。



「いやぁ…できるもんだね」

「だな。今までは複数討伐の時も、最大で2匹に分けてから倒してたしな」

「あはは…実はDランクの魔物を斬ったの、これで初めてだったりするよ」



 各々が感想を述べてくる。

 そこで俺はこう言う。



「じゃあ、ひとまずダンジョンを出て休みますか」

「「「「えええええっ!!?」」」」



 複数人の驚愕が合わさった絶叫に近い声が響く。

 やっぱり、こんなに驚くものなんだね。

 ショーのリルちゃん…って言ったらなんか怪しい気がするけど、あの子の場合は本当にショーに心酔してるから素直に受け入れたのかもしれない。



「こ…ここまで来たのにですか!?」

「そ、そうだぜ? 普通はダンジョン内で休むんだろう?」



 ミュリさんとオルゴさんはそう、訊いてくる。

 


「私もそうだと存じてます。でも…アリムちゃんは何か作戦があるのですよね?」

「うん、そうだよ! ふふふ…とりあえず、ここを出ようか」



_______

_____

__



 俺達はマジックルームの中に入る。

 この時点で部屋を形成し、各々に部屋を紹介してから、リビング的な広場に全員が集まった。



「それで…これからどうするんだい?」

「えっと、まずはいくらかポイントを振ります。…とその前に、リロさん」

「ん? なぁに?」



 名指しされたリロさんは、首を傾ける。



「実はリロさん、当てる場所によってはエミッションでDランクの魔物1発1撃で倒せるんですよ。多分、それは器用の問題だと思いますけど」



 例えば俺みたいに、脳天ぶち抜く…おっと、女の子がこんなはしたない口調したらいけないね。

 わたくしみたいに、お脳天をおぶち抜きするようなイメージで撃ったら倒せるんです。



「あはは…まあ、そうらしいね。やっぱり器用をもう少しだけ上げたほうがいいかな?」

「いえ、今はその必要はありません」

「えっ?」



 リロさんは驚いたように目を見開く。



「えっと…ステータスに口出ししても大丈夫でしょうか?」

「うん、大丈夫! 私達は教えてもらってるからね、アリムちゃん師匠に従うよ」



 ミュリさんもウンウンと首を頷かせた。

 なら、遠慮なく言わせてもらおう。



「それなら、MPに今あるSTPの半分、魔力と素早さと器用に残りを等しく分配してください。あまりが出るなら…魔力に」

「わ、わかったよ」



 リロさんは目を瞑る。

 ステータスの割り振りしたみたいだ。



「またレベルが1上がってたよ。言う通りに振った。それで、あとはどうするのかな?」

「次にえっと…さっき手に入れた魔核全てを使って、火術を真にして下さい。そしてそのスキルレベルを1でも上げて下さいね」

「えっ…えっと、みんなの分は…?」

「それはあとです」

「う、うん、わかったわ」



 リロさんは言う通りにしてくれたみたいだ。

 よしよし、だんだんと俺が最初にやって来たようなのに似て来たぞ…!

 上級魔法を手に入れたということもあり、リロさんは少し嬉しそうにしている。


 次にすることを、事前に全員に話した。

 しばらくはまだステータスの管理はしないことと、次に手に入れた魔核はミュリさんに注ぎ込む、ということ。


 俺が話した内容を、ティールさんは丁寧に書に書いていてくれてる。



「うむ…それで、次はどうするんだ? 意図はわからないが、とりあえず意味を持つものだと信じて、アリムの鍛錬メニューにはついて行くが…。HPは満タンだがMPはミュリとリロが足りなくなってるだろう」

「あはは、それはまずお昼寝タイムにしましょう! ほんとうなら食事が良いんですけどねー。まだ少し早い。1時間くらい眠って、それから昼食を摂りましょう!」



 この俺の提案に、この世界の人たちは自動回復については十分理解してるのか、全く何の疑問も持たずに行動に移してくれた。

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