第208話 スキル (翔)

 だいたい、あの2人が落ちたであろう場所に着いただろうか?

 ここだけ広場のようになっていて、さらには沢山の足跡や車輪の跡があるな。既に人の影はどこにもねーけど…。


 俺の感覚が正しければだが、ここにあの2人が落ちたはずだから、既に誰かと遭遇して連れてかれたと考えてもいいんじゃないだろうか?

 どっちみち、俺のすることはこの車輪の跡を辿っていく事だな。途中で跡が途切れたりしてわからなくなる可能性もあるが…まぁ、一か八かだ。

 上手くいけば何処かに辿り着けるだろう。


 俺はひたすらに、その車輪の跡を辿っていった。


 1時間は歩いたころ、俺は喉が渇いた。

 だが、ここには水はない……か?

 スキルっつーヤツの一つに水の術ってのがあった気がする。

 あれ、飲み水に使えねーかな?


 俺はまた、ステータスを確認してみる。

 SKP…とかいうヤツが500もあるな。こういうのってゲームならよくよく考えて割り振った方がいいんだろうが…。マジで水は試してみねーとな。


 3のSKPを水術とかいうヤツに割り振ってみた。


 おおっ! 4のMPを消費して水が出てきた。

 飲めるか……?

 俺は浮いてる球形のその水に口をつけてすすってみる。


 飲めた。ははっ! 飲めたぞ!

 飲み水が有るのとないのとじゃ全然違げー。いやー、助かった…。この世界、水の問題は何も無さそうだな。


 魔法って、こんなに使えるもんなのか…。もしかしたら、いや、もしかしなくとも、SKPとSTPを上手く扱う事がこの世界で生きる秘訣だよな。


 こうなったら、もう、500あるあの2つのスキルを割降らなきゃなんねーな。

 そして、スキルを割り振る上で大切なのがよく調べる事だ。称号もステータスに関係あるんだっけか?


 俺は、一通りステータスにある全てのSK1、SK2、称号ともに細部ん段階の一つ一つの効果まで全て調べてみた。

 ま、情報収集は基本だよな。



____

__

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 隅々まで調べたが……。

 神様からもらった力、マジでチート。

 こんなの貰っちゃって良かったのか? 本当に。

 

 例えばまず、炎神ってヤツなんだが…。



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炎神


★★★★★ SKP:0/2000


Lv1: SKP-500

Lv2: SKP-1250

LvMAX: SKP-2000


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 それでもって、レベルが上がるごとの効果なんだが、えーっと、確か火属性…いや、炎タイプだったかな。


 とにかく、火の技を強化するに、火に関係するスキルの合成・進化のコストが軽減されるのだとか。

 その強化される具合とか…星五つのスキルだからな、きっととてつもないはずだ。


 水術で3のSKPを使っちまったから、今はこのスキルをレベル1にできないが、レベルが上がるたびにSKPとSTPは貰えるんだ、大きな問題ではないだろ。

 今は水の方が大事だしな。



 次は称号の二つ、ノーレッジ と 異世界からの招来者っつーヤツ。この二つがとにかくすごかった。


 まずはノーレッジ。


 これの効果は2種類で、1つは自分の鍛錬によるSK2の上昇が、常人より数十倍だというもの。つまり、SKPの節約が簡単にできるんだな。しかもこれ、俺と一定の親密状況にある人にも効果があるみたいだ。


 もう1つはレベルが上がるとSKPとSTPと経験値のもらえる量が、常人の2倍になるらしい。さらに、レベル1の時に限り、ボーナスで490のSKP・STPが貰えるのだとか。

 この恩恵はもう、頂いてるわけだ。


 次に異世界からの招来者。


 これの効果は3種類で、1つはレベルが上がると貰えるSKP・STPが常人の2.5倍……。つまり、ノーレッジと合わせて5倍だな。


 2つ目は進化・合成のコストが4分の1になるのだとか。


 そして3つ目は自分が貰える経験値の量が通常の2.5倍だという事。よくわかんねーけど、これって立派にチートだろ? 普通よりポイントも5倍も貰えることを考えると、恐ろしい。


 良いのか? こんなに優遇されてて…。

 助かるっちゃー、助かるんだが……。


 だがこれはこの世界の神様からの贈り物だと考えると、ありがたく受け取って活用した方が良いのかもしれないな。

 

 ま、あれだな。 

 とりあえずはSKP・STPの割り振りはしばらくおあずけだ。

 一度、魔物とか出るらしいし、何度か戦闘してみたりして、貰えるポイントとかを知った上で振り方を決めよう。

 炎の神に最初は費やすってのは決まってるんだがな。


 それにしてもノーレッジの効果で、棒を素振りしてるだけで剣技のレベルが上がったり、柔道部である俺が受身の練習をするだけで体技のレベルが上がったりするんだろうか?

 ……。


 とりあえず俺は、そこら辺に落ちていた枝を拾い、振り回しながら、また、車輪の跡を追いかけてみた。

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