第189話 故郷 12

 唐突だった。

 その声は森の中から聞こえてきた。

 クロードも驚きの表情が隠せなかった。


 全く気配を感じなかった。

 それどころかここに来ることすら想像していなかった。


 そして彼は悠々と姿を二人の前に表す。


 金髪。

 碧眼。

 そして――微笑み。


 クロードは彼の姿を直接は見たことが無かった。

 だが、その特徴的な容姿は知っていた。


『同じお言葉をお返ししますよ。こんな所で何をしているんですか?』


 一方、カズマは知っていた。

 見たことがあった。

 彼の名を知っていた。

 故にその名を口にする。



――

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