台詞だけなら
ついに『デリ☆』が今年の九月から、ガラケーからの閲覧に対応しなくなることが決定した。
確かに、パソコンからも閲覧・更新作業は出来る。だが、小説を読むのはやはり携帯電話からやりたいと俺は思う。
「そんな訳で、スマートフォンを買うことが決定した」
「うん、大切なことだよね!」
土曜日の夜。俺は共通スペースで、家電量販店で貰ってきた数種類のカタログを眺めていた。そんな俺に、同じく『デリ☆』を利用している一茶が大きく頷く。
「スマホはキャリアの買うの? 最近だと、格安スマホもあるけど」
「んー……データ量気をつけて、寮とか家ではWi-Fi使えば抑えられるよな。それなら、キャリアので良いかなと」
「ふーん。じゃあ、Andr〇idとiPh〇neでは?」
「……それなんだよな」
ソファの隣に座った一茶からの質問に、俺はカタログから顔を上げた。
「ワンセグはAndr〇idじゃないとないけど、そもそも携帯電話でテレビ観るつもりないし。電話帳の移行はAndr〇idの方が楽そうだけど、iPh〇neでもメールとかパソコンあれば出来そうだし」
「あー。ゲームによってはAndr〇idのみって言うのもあるけど、出灰はゲームもやらないしね……それにその言い方だと、iPh〇neの方が気になるの?」
「んー……」
そう、カタログを持ってはきたが、俺が気になるのはiPh〇neだったりする。
……その理由はと言うと。
「刃金さん、iPh〇neユーザーなんだよな」
「……っ!」
勿論、自分でも使い方は勉強する。
だけど刃金さんも去年買ったばかりなので、色違いにはなるかもしれないが同じ機種を買える。あと、デート中などに困ったら使い方を聞くことも出来る。
とは言え、俺の周りは刃金さんとかー君以外はAndr〇idなので、Andr〇idも検討しようと思ったんだが――Andr〇idを選ぶ決め手に欠けるので、iPh〇neにしようと思う。
そんなことを考えていたら、急に一茶が目を輝かせて身を乗り出してきた。
「彼氏と同じ、スマホとか……出灰、良いよ! 健気受けだよっ!」
「……は?」
「出灰、萌えさせてくれてありがとう! 俺はこれからも、応援してるねっ」
そして熱く語ると、一茶は自分の個室スペースへと戻り――一人残された俺は自分の発言を振り返り、確かに台詞だけなら可愛く聞こえなくもないので納得し、ポンッと手を打った。
「なるほど」
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