151/お風呂の後で

 銭湯から上がった志麻は、エッフェル搭と並んでフルーツ牛乳を飲んでいた。その文化圏の定番はとりあえずやってみるのがエッフェル搭の流儀らしく、一気に飲み干し、プハーっと息を吐く。


「今度は、砂風呂入りたいな」

「あ、はい。S市にもあるのか後で検索してみます」

「なかったら、京都行こうよ、京都」


 京都か。志麻としてはまだ訪れたことがない場所だった。そもそも、県外に旅行した経験があまり多くなかった。


「おおぅ。コレは、ナニカ、キますね」


 そこに、フルーツ牛乳以外の飲料が所望だと遠くの自販機を探しに行っていた陸奥が戻って来た。手元には、小さな缶ビール。


「居酒屋で飲んだ時はそれほどでもなかったんですけど。今は、キューンとキてます」

「お風呂の後だからじゃない? 大丈夫?」

「ちょっと、喜びに満ちてますっ」


 身体の見かけは中学生くらいの陸奥である。その大きくはない体に染みわたったのか、普段よりもハイな言動をしている。


「アンタさ」


 パリジェンヌの装飾と内面について、なんてことを、的を射ているようなテキトーなような調子で陸奥は語っている。絡まれたエッフェル搭はタメ息まじりに応えた。


「仮にも伝説の戦艦なんだから、安酒で酔いなさんなよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!