近ごろの魔法使い

風待月

現代に生きる《魔法使い》編

010_0000 深夜の交通違反取り締まり


 『魔法使い』に憧れる? なれるなら、なりたいと思う?

 もしもYesと答えたら、二一世紀の《魔法使い》はこう答える。


――やめておけ。そんなにいいものじゃない。



 △▼△▼△▼△▼



「おい、タカヤ……! どうするんだ……!」


 国道二号線を西に進む車の中、助手席に乗る若い男が不安げに問う。


「どうするって、どうりゃいいんだよ、ヨーダイ……!」


 泣くのを必死に我慢しているような声で、ホンダ・ストリームのハンドルを握る男がそう返す。


 『罪を犯して逃げている』と説明すると誤解を生むだろうが、しかし飲酒運転は故意に起こしたと見なされる、立派な犯罪行為である。彼らが乗る車の後ろには、サイレンを響かせて追走する二台のパトカーがあった。


 タカヤと呼ばれた運転手と、ヨーダイと呼ばれた助手席の男は、大学時代からの友人だった。卒業するとやや疎遠になってしまったが、今でも親交を結んでいる。

 今日もそのような経緯で会い、久しぶりの再会を祝して酒を飲んだのだが、それがまずかった。車で店に飲みに出て、そのまま運転して帰ろうとしたが、警察が検問を行っていた。

 検査すれば確実に捕まると、とっさに直前でUターンして逃げたが、目前でそんな怪しい行動をすれば、当然警察も追いかける。だから今の図がある。


 しかし彼らがパニックを起こしかけている要因は、パトカーではない。


「アレなんだよ!?」

「《魔法使い》だよ! 神戸にはいるんだよ!」


 ヨーダイの答えは、正気を疑う発言かもしれない。

 しかしこの世界では違う。《魔法使い》と呼ばれる人種が、本当に、実際に、存在している。

 普通こんな場所にいてはいけない意味では、彼らが驚くのも無理がないのだが。


「「!?」」


 突然、視界が一瞬白に。同時にとどろいた音に、ふたりの体がビクリと震える。

 それが人為的な雷閃と雷鳴だと判明したのは、視界が塗り潰された時に追いつき、乗ったに違いない。パトカーと共に彼らを追跡していた者の姿を見たから。


『修交館学院、総合生活支援部です』


 少女だった。


 半袖のブラウスにスクールベストを重ね着し、首元は紺色のリボンタイで飾り、プリーツの効いたミニスカートにローファーをはいている。

 風でなびくミディアムボブの髪に、整ってはいるが地味な顔立ちが収まっている。まだ幼さを残しているが、ある程度の奔放ほんぽうさが許されたような学生服に、中学生と見るには違和感がある。

 見た目だけなら変哲ない女子学生が、走る車のボンネットに立っていた。


 当然ながら、彼女が普通の女子学生であるはずない。証明するようにブラウスの左袖には、安全ピンでつけられた腕章がある。そこには校章と思われる意匠のほどこされた紋章と、Social influence of Sorcerer field demonstration Team――《魔法使い》の社会的影響実証実験チームの文字がぐるりと一周するように書かれている。


 そして右手には、奇妙で長い物体が握られて、ボンネットを突いている。

 シンプルながら電子部品のような無骨な先端を持つ、二メートルほどの長い棒だった。なんの用途で使われるものかパッと見では想像もつかない、子供の自由な発想で作られたガラクタにも思えてしまう。長さからすると棒か棍と呼ぶべきだが、これは《杖》だ。女の子の持ち物らしく、握り近くの柄に小さなヌイグルミやストラップが揺れ、隠れるように『備品番号 XX-04-003 NEWS』と書かれてたシールが貼られている。

 どうやらそれが、この《魔法使いの杖》の名前らしい。


『暴走行為により、おふたりを逮捕します』


 少女が手にした長杖は、青白く光る不思議な幾何学模様を発生させて、更にその身を包むように放電現象を起こしている。

 雷獣。

 いかなる手段か常人には不明だが、しなやかな肢体に雷を身にまとう姿は、そう表現するに相応しい。


 ただし、その姿を見上げる車内のふたりに、風になびくミニスカートの中まで見せているので、客観的にはマヌケだが。

 ちなみに色は、夜目にもわかる白だった。


『車を脇に寄せて停車してください』


 少女は眉を吊り上げて勇ましく宣言するが、車中のタカヤとヨーダイは、唖然あぜんとして動かない。走る車のボンネットに立つ放電少女が、無防備にパンツ丸出しで見下ろす非常識な光景に、恐怖や混乱も忘れてほうけていた。


 彼らの反応がないことに、少女は形のいい眉の角度をけわしくさせる。


『停・まっ・て・く・だ・さ・い!!』


 そして少女――木次きすき樹里じゅりは、比喩ひゆではなく本当に雷を落とした。


「「どわぁぁぁぁっ!?」」


 当人はなんらかの方法で防御しているのだろう。電流はボディーに沿って外側を流れるので、車内のふたりにも車の機能にも影響はない。しかし超至近距離の落雷に震え上がり、タカヤはブレーキを踏んだ。するとどうなるか。


『とぉっ!? と、と、と、と……!?』


 ボンネットに立っていた少女は、慣性の法則に従って車の前に落ちそうになる。そのまま落ちれば車体と地面の間に挟まれて大変なことになる。だから彼女はバランスを取ろうとして頑張って。

 無理だったらしく、自分から車体の横側へ落ちた。


『ぶへらっ――!?』


 年頃の乙女にあるまじき悲鳴を残して。


 長い制動距離を使って完全に車は停止して数秒後、タカヤとヨーダイは顔を見合わせる。言葉も交わさず示し合わせたようにシートベルトを外し、恐る恐る車外に出た。


 離れた位置にパトカーが停止している。巻き込まれてはたまったものではないと、安全距離を取っているのだろう。

 放電した張本人はというと、パトカーまでの中ほどの路面に転がっていた。


(え? もしかして死んだ? スピード違反と飲酒運転だけじゃなくて、人殺しちゃった? 俺ヤベー?)


 などとタカヤが考えた矢先、少女が手にする長杖と、彼女の体が発光する。

 発揮されたのはまさに『魔法』のような効果だった。傷がものの数秒で修復される。


「痛たたた……」


 少女はむくっと起き上がったことに、タカヤがホッとしたのも束の間、彼女と視線が交わったことで心が凍る。

 目が据わっていた。なぜか金色に輝いて見える瞳を半眼にして、タカヤを見ていた。

 続いて内面の怒りを、誰にでもわかりやすく示した。


「《雷霆らいてい》実行ぉぉぉぉっ!!」


 夜空を染める紫電の昇竜。爆発と呼ぶべき雷鳴の咆哮。その発生に巻き込まれた街路灯から導線を伝い、過渡的な異常高電圧で次々と破裂して、辺りは一気に暗くなる。

 迫力もなにもかもが先ほどとは比較にならない、自然落雷もかくやという電流の柱の発生は、威嚇いかくには十分すぎる。


 更にそれを発した本人は、ミディアムボブを静電気で逆立てて、正真正銘怒髪どはつ天を突いていた。


 火花に照らされる《魔法使い》の怒りを目の当たりにして。


「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」」


 タカヤとヨーダイは恐怖に耐えかねて、絶叫と共に逃走した。また車に乗ってとは思いつきはしない。ただただこの場を離れるために、二本の足で別々の方向へと駆け出す。



 △▼△▼△▼△▼



 立ち並ぶ家々には明かりが灯っているものの、人通りはない住宅地。停電をまぬがれた場所まで走り続けたヨーダイは、これまでの人生で最大の恐怖を噛み締めていた。


(仕事であっち行って帰る前にタカヤに会って飲んで警察から逃げて追われて極めつけは《魔法使い》かよ……! 死ぬ! あんなのに関わったら死ぬ!)


 逃げてしまったが、雷を操る人外に追いかけられるなら、警察に捕まったほうが百万倍マシだ。

 だから彼はどう自首するべきか考えつつも、少女が追ってくることに恐怖して、住宅地の狭い路地をひた走る。


 そうして曲り角に来た時に。


「Exusez-moi? etes-vous sur? (すみません、よろしいです?)」


 涼やかな女性の声をかけられ、思わず足を止めた。それがどの国の言語かわからぬまま。


 常夜灯の光の中に、金髪碧眼へきがん白皙はくせきの若い女性がいた。理想的な曲線を描く体を、カーディガンとロングのワンピースでおおう、聡明そうめい清廉せいれんな空気を放つ美貌の持ち主が、電柱に半分体を隠してヨーダイに呼びかけていた。


 あくまで自称だが、大学時代は女泣かせで通したヨーダイならば、とびきりの金髪美人に対し、それらしいアクションを起こしたかもしれない。

 だが今は、状況が状況だった。


「たたたたたた助け――」


 恥も外聞もなく、彼女に助けを求めようとした。

 しかし制するように、女性は早口でなにやら言う。


「Avez-vous un criminel? S'il vous plait ne laissez pas les tracas」

「えぇと、えぇと……! きゃ、きゃん・ゆー・すぴーく・じゃぱにーず?」

「Imbecile...Si vous ne tolere pas la resistance」

「だぁぁぁぁっ! なんて言えばいいんだぁぁぁぁっ!」


 彼女がしとやかな笑顔で語る言語は、英語でないことはヨーダイにもわかった。しかし大学で選択した第二外国語は中国語なので、フランス語はボンジュールくらいしか理解できない。


「あ゛~……他に誰もいねーですし、無理にネコかぶる必要もねーですわね」


 だから女性の変化に、余計に頭がついていけない。


「今のは『手間かけさせんじゃねーよ』『抵抗したらブッ飛ばすぞボケ』っつったんですわよ」


 彼女がしゃべる言語が突然、流暢りゅうちょうながらも妙な日本語に切り替わった。表情も優雅な微笑から、苛立いらだちをあらわにした顔に。


「論文やらレポートで忙しいっつーのに、貴方方あなたがたのせいで出張でば破目はめになりましたのよ……いい迷惑だっつーの」


 ゆるくウェーブを描く金髪を憂鬱ゆううつそうにかき上げて、女性は物陰から全身を見せる。

 今まで隠れていた左手には、彼女の身長よりも少し短い、宗教儀礼用のものを連想する、精緻せいちな装飾がほどこされた杖が握られていた。

 その柄の部分にシールが貼られ、『備品番号 XX-03-001 Hermes Trismegistus』と書かれている。


 カーディガンの袖につけた腕章を示し、女性――コゼット・ドゥ=シャロンジェは宣言した。


「修交館学院の《魔法使いソーサラー》ですわ。県警の要請により、貴方を拘束いたします」


 それにヨーダイは、涙の滝を流す表情で絶望する。


「さっきの飛行稲妻女子高生の仲間かよぉぉぉぉ!?」

「……まぁ、木次きすきさんがブチ切れたみてーですから、その恐怖は理解できなくもねーですけど」


 夜闇の中、気まずい顔をする女性に背を向けて、ヨーダイは走ってその場を逃げようとするが、当然見逃されはしない。


「だからといって、逃がしませんわよ」


 彼女は装飾杖で地面を軽く突く。装飾杖が発光すると同時に、ヨーダイを中心に等間隔で、小さな円形の幾何学模様が発生する。

 直後、アスファルトが石の槍となって伸びた。


「抵抗するなと警告しましたわよね?」


 地面から生えた槍は、彼の首ほどの高さで成長が止まっている。うち一本は、走り出そうとしたヨーダイの顎下に突き付ける形で。

 先ほどの稲妻少女に比べたら、その《魔法》は地味に思えるかもしれない。しかしこういう手合いのほうが何倍も危険だと、ヨーダイは経験的に知っていた。


(合コンで本命の女の子をさらって行く男は、トークが上手くて気遣いできて女心がわかっている。そう、内面が違うのだ。そうだ、モテようとガッつく男は相手されない。つまり余裕が大事。そして気合入れた服装だと逆に女の子から引かれる。だからモテるやつは一見地味でもセンスがいい服でキメる。あれ? やっぱり外面も大事?)


 そんな学生時代の経験で。急変と緊張と非常識の連続で、混乱していた。


「別に抵抗しても構やーしねーですけど――」


 女性が指をはじいた。

 するとヨーダイを取り囲んだ槍の角度と長さが調整され、そのまま伸ばせば手足を貫いて、行動不能にできる状態になる。


「半殺しにすっぞコラ?」


 彼女は笑顔で物騒なことを言う。その笑顔はライオンを思わせる獰猛なものだった。

 ヨーダイは子ウサギのごとく、震えながら降伏した。



 △▼△▼△▼△▼



 タカヤは死に物狂いで逃走していた。

 彼の仕事は肉体労働だ。だから体力には少し自信がある。腕っ節と度胸にも。

 しかし自信があるのは、少しだけ。


「あんな人外どうにかできるかー!」


 どこへ向かうか、これからどうするか、なにも考えずにひたすら逃げている。

 タカヤは直情径行、直感で行動することが多々ある。それで大学時代にヨーダイから呆れられたこともしばしば、今の職場で『なんとなく』で仕事をしてしまい上司に怒られることもしばしば。

 とにかく逃げればなんとかなる。彼はそんな想いで、シャッターがほとんど閉められた小さな商店街を通り抜けようとして。


「危ねっ!?」


 スキール音を響かせる大型オートバイに行く手をふさがれ、たたら踏んだ。

 

「やっと見つけた……」


 赤と黒で彩られた車体にまたがるのは、フルフェイスヘルメットを被り、ブレザータイプの学生服を着た青年だった。

 オートバイのリア部分には『備品番号 XX-06-002 Bargest』とあるシールが貼られており、ヘルメットのシールドを上げる青年の腕には、やはり腕章がある。


【やはり未熟なジュリに事態収拾は無理ですか……】

「ま、今更だ……俺と部長でフォローするしかない」

【そして後で正座で説教ですかね……】

「ド派手に停電起こしてくれたからな……」


 なぜか青年ひとりなのに、ふたり分の声がタカヤの耳に届く。もうひとつの声は理知的な印象の、スピーカーを通した若い女性の声だった。

 姿の見えない女性に戸惑うタカヤに構わず、青年はオートバイにまたがったまま面倒くさそうに宣言する。


「あー……修交館学院・総合生活支援部だ。道路交通法違反により、アンタを現行犯逮捕する」


 つまりは先ほど稲妻を発した、少女の形をした魔神の仲間だとわかった。

 しかし比べれば、目の前の青年は普通と思ってしまう。顔はヘルメットでほとんど見えないが、全身から発せられる妙な倦怠けんたい感から、気の抜けた表情をしていることが予想できる。

 少なくとも飛んだり放電しそうな雰囲気はなく、なによりも《杖》を持っていない。


「なんでガクセーが警察の真似事してんだよ……!?」


 そのためタカヤは震える声ではあるが、質問することができた。


「それが俺たちの部活動……とはいえ、スピード違反程度で緊急召集かけられても、困るけどな」

【どうしてこの程度で部活の召集が?】

「俺が知るはずないだろ……」


 タカヤからは姿が確認できない女性の疑問に、青年はため息混じりに応じる。


【警察の怠慢たいまんですか?】

「だとしたら冗談じゃないぞ? 課題やってた最中だったってのに……」

【え? トージが真面目に勉強すること、あるんですか?】

「……イクセス? お前が俺をどう思ってるか、『お話』する必要があるようだな?」

【えぇ。いいですよ。喜んで語りましょう。二〇〇馬力の肉体言語で】


 なぜか不穏な会話をする彼らは知らない。タカヤたちは京都から神戸まで逃走して来たことを。

 警察も管轄かんかつをまたいで頑張っていたが、ここまで派手なカーチェイスを繰り広げられたのだ。被害が出る前に逃走を確実に阻止しようと、仕方なく要請が出された大人の事情がある。


 そしてここまで逃げてきたのだからと、ヤケになっている部分もある。タカヤは拳を握り締め、へっぴり腰だが半身になって身構えた。


「痛い目見たくなかったら退けよ……! オレは空手三段なんだぞ……!」


 青年たちは顔を見合わせる。客観的には『青年はオートバイを見た』と表現するべきだろうが。


【空手三段らしいですけど、トージは?】

「前の学校で昇段試験なんて受けてないし、そもそも競技空手はやってない」

【どかないと痛い目見るそうですよ?】

「自慢するわけじゃないけど、やれるもんならやってみろって思うけどな」


 気だるげだった青年の声に、静かな戦意が乗せられた。


(ウソですスイマセン空手やってたのは小学校までで黒帯取っただけですー! つかコイツ、フツーじゃねー! 親方のマジギレよりヤベー!)


 ヘルメットから露出した目に殺意を感じ、やはり彼も普通ではないことを知らされ、タカヤは戦慄する。


「……だぁぁぁぁぁぁ!」


 彼はヤケクソになって、勢いだけで突進した。


「はぁ……」


 対し青年――つつみ十路とおじは、ため息を吐きつつ動く。車体を思いきり傾け、前輪をロックしたまま右グリップをひねった。

 固定された前輪を中心にアクセルターンで回転し、突進してきたタカヤの足を後輪で払う。


「――っでっ!?」


 尻餅をついて倒れるタカヤの顔に、街路灯の光をさえぎり、影がす。

 眼前にタイヤがあった。オートバイの前輪が後輪走行ウィリーで持ち上げられていた。

 そしてタカヤ目がけて振り下ろされた。


「ひぃ!?」


 硬いゴムとサスペンションがきしみ、首筋ギリギリで前輪が着地した。オートバイの重量で潰すのではなく、タカヤを車体でまたいだだけだった。

 頚木くびきとして拘束できるほど、ボディと地面の間は狭くはないが、動けなくさせる威嚇いかく効果は十分すぎる。


「さっさと終わらせたいんだが、実力行使で寝てもらわないとダメか?」


 アクロバティックにオートバイを動かしても、青年の態度は気だるげなままだった。


 まるで子供が縄張りに入っても無視し、触れられても昼寝を続ける、愛想はないが大人しい野良犬。

 いくら大人しくても、虫が周囲をうるさく飛び回っていれば、尻尾を振って追い払うくらいはする。


「ちょ、チョーシこいてました……!」


 オートバイを凶器として操れる、正確なマシン・コントロールの持ち主に、タカヤは抵抗を放棄した。


「これで部活は終わりか?」

【もうひとりはコゼットが逮捕したようですが、終わりではありません】

「は? まだなにかあるか?」

【警察への引渡し。それにともなう手続き。そして社会実験のレポート提出が待っています】

「はぁ……面倒だ」

【仕方ないでしょう? 部員の義務なのですから】


 かくして、兵庫県在住商社勤務・井上いのうえ洋大ようだい(二四歳)と、京都府在住左官工・佐伯さえき孝也たかや(二四歳)の逃走劇は、多大な後悔と生命の危機を産み、ここ神戸で終了した。

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