スイートで神秘的
俺の住む町は中々に特徴のある町だ。
ひとねが言っていた『怪事件の一週間』の逸話も特徴の一つだが目に見える特徴は神社が多い事だ。
神社から少し歩けば神社。何を祀っているのかもわからないほどに多い。
今ではその神社の間にスイーツ店が並ぶという中々に混沌とした町になっている。町のPRですら『神社の町』なのか『スイーツの町』なのか曖昧にしている。
ともかくその多い神社一つ一つにひとねから預かったチラシを配っているのだが……
「おお、シャーロック復活かぁ」
「ちょうど紹介したいのがいたから助かったよ」
などと皆が口を揃えるのだ。
中々の認知度である。
あらかた配り終えてシュークリームを買う。そして昨日ひとねに教えて貰った入り口、図書館に向かう。
「えっと……」
図書館が閉まっていた。みると二週間前から改装をしているようだ。
仕方ない、また彼処か。
マンホール降りるといつもの場所。
少し歩いてひとねのいる場所に向かう。
「図書館閉まってたぞ」
「ああ君か、わけのわからない事をいうな」
何が君か、だ。俺には健斗という名前があるんだよ。
「何を突っ立っている? 早くこっちに来るんだ」
「ん、ああ」
言われて近づく……ひとねの目線は明らかに俺が手にしている箱に行っている。
「本当にご苦労だった。 飲み物も用意しているから向こうで食べよう! 今すぐ!」
ひとねの輝く目に苦笑い……向こう?
ひとねがいつも座っている椅子はこの場所の一番奥、通路の行き止まりに置かれている。
つまりはこれ以上奥は無いわけで……ここまでの通路も本棚しか無いし……
「何をしているんだ、早く行こう」
「いや、向こうって何処だよ」
「私の部屋だよ、君を招待してあげよう」
「そんな物あるのか?」
「もちろんさ」
ひとねは本棚から一つの石板を取り出した。それをまた違う石板と取り替える
すると本棚が左右に開き通路が……え?
「本当に何なんだよこの場所!」
「知らないってば」
*
開いた本棚の奥に入ると幾つかの部屋があった。ひとねはいつもここで暮らしているらしい。
本当にわけのわからない場所だ。
「何してるんだい? 遠慮せずに入りなよ」
「ああ」
俺はシュークリームの箱を机に置く。
それにしても疲れた。家から図書館って遠いんだよな
「同年代の女子の部屋に入っておきながらその顔はなんだい?」
「同年代ねぇ……」
俺、高校二年生。十七歳。
ひとね、外見年齢中学二年生。たぶん十三歳。
同年代……ねぇ。少し無理があるのでは?
「君がどんな勘違いをしているか知らないけど私は十九歳よ」
「……ん?」
ひとねは棚からコップを取り出して俺を睨む
「数年間寝ていたからこの容姿であって私は十九歳、しかも遅生まれ」
「んー?」
歳上? でもまて
「十九なら尚更同年代じゃねぇだろ」
「数年寝ていたから精神年齢は同じくらいだよ」
「はあ……」
外見年齢が十三歳で精神年齢が約十七歳、実際の年齢は約十九歳と……
わけわからん。
「そんな事はいい、とりあえずシュークリームを食べよう、シュークリームを出したまえ」
テンション高いなぁ、こいつ
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