第21話

正直言うと、離婚後私はずっと恋人が欲しかった。再婚が目的では全くなく、純粋に恋愛感情でのみつながり、男と女としてのみ必要とし合い(イヤらしい意味ではなく)、どんなに気があって、互いを重んじられても法的に結びつくわけではない関係。で、そのまま一緒に年をとっていくのが理想だった。不謹慎だが、これらの条件が満たされるなら、相手が既婚者でもよかった。言うまでもなく、若い頃は不倫など私の中にはあり得ない項目であり、タブーだった。それは汚れていて、欲と身勝手さと無責任の権化に過ぎなかった。

だが、齢40を過ぎ、自分の婚姻の失敗だけでなく、生きて来た中で多くの男女たちの在り方や生き方、別れ方などを見聞きしていたら、こんな価値観を持つ自分に変わっていた。少し、いや、かなり意外だった。もちろん独身者が最も好ましいに決まってはいるが。

とにかく、相手がどこかの家庭へ、誰かのもとへ帰って行くとしても平気に思えた。2人でいる時間、互いを大好きでいる気持ちが本当なら十分だと思えた。

そこまで思えたのに、どんな相手にもめぐり逢えなかった。ちょっと絡んだ男性はいたのはいたが、いずれものちにプレイボーイと判明し一変、顔も見たくなくなった。


そんな経過があったし、COCOが来てから、目が醒めるほど恋愛に興味がなくなってしまった。それはそれは清々しいくらいさっぱり。

その心境は今なお継続中である。

幼くして母犬から離されたCOCO。私が彼をわが子と感じるのはあながち一人よがりではなくて、彼も私をいちばん近しく親しく信頼できる者、ととらえている。と、私も家族も認めた。COCOは私を母親と見ている! 私はこの子から真に必要とされている、こんな愛らしい子が私を全身全霊で頼っている。



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