第七十八話 魔導の塔と戦力解析 ミコル編

「次はミコルちゃんの番だね」僕は、可愛らしい少女を見ながら話を振った。


「うん、なにを言えばいいんだっけ?」

少女は、今までの話を聞いていたのでなんとなくなにを話せばいいかはわかっているけれど、どこから切り出していいのか分からずに僕に問い返した。


「自分の戦い方の特徴だね」

僕は丁寧にもう一度説明する。


「どういうところに特徴があると思う?」

改めて聞き直した。

これはブレストの定番のやり方で、あくまで全員に意見を言ってもらうことが重要だ

なんとなく全員が、ミコルちゃんの戦い方の特徴をわかっていても、あえて、自分から聞いてもらう必要がある。


実はこれはプログラマは得意だ。

プログラマはネクラなイメージがあってしゃべるのが苦手なイメージがあるのだけれど。

実は、純粋に文章をかく仕事でもあるので、話を整理することが得意だ。


それから工学系の大学院、いわゆる大学の研究室ではそういう訓練をメインにやるのだ。

大学院までいくほど、高度になると、お互いの研究、たとえ同じ研究室でもそれぞれの研究内容を理解できはしない。


なので、自然と、発想法、コミュニケーション方法に比重が置かれる。


「私の魔法・・・は強い??」

少女は、僕に向かって尋ねた。

単純な言葉だが、的を得ていた。


「そうだね、シンプルにいうとそういうことだね。僕の魔法力の何倍もある。大出力の魔法が魅力なんだ」

僕はミコルちゃんに向かってそう言った。


「魅力!」

少女はなぜだかわからないが、頬を赤らめて、とても喜んで見えた。


「そう、その魅力は僕にはないものなんだ。僕には驚くべきほどの魔法力はない。だから、細かい技で勝負する必要がある。けど、ミコルちゃんはそういう必要がないんだ。単純に火力で勝負することができる。それは素敵なことなんだ。羨ましい」

僕は思いのままそういった。知恵で戦うやり方は僕らしくて好きだが、魔法力で戦うやり方も楽しそうだ。

僕の技とセットで使うことにより、もっと効果を出す方法もあるだろう。これからもっと考えていきたい。


「素敵!」

少女はまた、そういって顔を赤らめた。

とその時、僕はラクスの方を見た。

ギロリという音が聞こえてきそうな、睨み方だった。

僕はなにかしたのだろうか。

わからないので話を戻そう。


「つまり、みんなと戦う場合同摺ればいいかわかる?」

「うーん、えっとぉ」

ミコルちゃんが可愛く、考えこんだ。


「逆にいうと、効果力の魔法は少し時間がかかるよね。敵が動いていると、なかなか当てづらい」

「そう!そうなの!!ミコルが魔法を当てようとするとみんな逃げるの!!」

それはそうなのだ。大火力の魔法は最警戒される。

僕の魔法ですらなかなか当てるのは難しい。


「つまり?」

僕は尋ねた。


「みんなが当てやすくしてくれる??」

少女は、自信なさそうに、そう答えた。


「正解!つまり、ミコルちゃんが、魔法を当てやすくするために、僕らが頑張るってことさ!」

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