第167話
さらに時間がすぎていった。
そんな父をなだめすかして、ようやく眠らせた。
ぐったり疲れた。
なにをするわけでもなく、ただ近くにいろというのは酷すぎる。
父は私になにか用事があるわけではないのだ。ただたんに、自分をひとりきりしにしてでかけるなというだけの、そんな理由なのだ。
しかし、それもようやく終わった。
私はフローリングを立ちあがった。
時計を確認するまでもなく、完璧な大遅刻。
あわてて玄関にむかって走る。玄関につくと同時にドアがひらいた。
「あれ?」
そして声がきこえる。
「初乃、まだいたの」
母が帰ってきた。
私は「まあ」としかいえなかった。
しかし、その言葉だけで母には父の事情なんだというさっしがついたらしい。ごめんねとあやまられた。
それにしても母が帰ってきたということは、平気で十三時をすぎているということだ。
丹波とは十時の待ちあわせだから三時間もの大遅刻ということになる。
さらにここから待ちあわせ場所までは、電車にのらなければいけない距離だ。
今からさらに時間がかかる。なんだかんだであと三十分は必要だろう。とりあえず一刻も早く家をでなければならない。
「初乃」
玄関ですれ違おうとすると母がいう。
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