Voice Colorへの応援コメント
文芸部へのご参加、ありがとうございます。
耳の聞こえない主人公が、屋上で出会った彼女の「歌声」を色彩として感知し、世界の輝きを取り戻していく。言葉の一切を排した静寂のなかで、まばゆいばかりの「声の色」が心のなかに広がっていく、息を呑むほど美しい作品を静かに拝読いたしました。
■ 全体を読んでの感想
「音」を失った灰色の世界を生きる主人公が、放課後の屋上という静かな空間で、歌声という名の圧倒的な光に包まれる瞬間の鮮烈さに、深く引き込まれました。
お互いにリアルタイムな言葉の対話はなく、ただ歌声が描く色彩の波に呑まれ、一瞬の視線の交差だけで終わる二人のすれ違いが、かえって彼らのあいだに生まれた特別な結びつきを際立たせています。
「長いまつげが印象的な彼女」が去り、補聴器を取り外したあと、音が完全に消え去った世界でも「心ごと塗り上げられた色」が残り続けるラストの余韻には、言葉にならないほど優しく、そして切ない恋の始まりの気配が満ちています。
■ お題「会話文(「」)の封印」とこれまでの学びについて
本作は、お題である「会話文の封印」をただルールとして守るだけでなく、主人公の「聞こえない世界」という設定と見事に重ね合わせることで、これ以上ないほど必然性のある「沈黙」として描かれています。
・「」を使わない心のやり取り
主人公と彼女のあいだには、直接的な言葉のやり取りはありません。彼女が何も言わずにすり抜けていく瞬間の描写には、会話がないからこその一瞬の緊迫感と、生涯忘れられないほどの深い印象が宿っています。
・かつて練習した「共感覚表現」との美しい融合
かつてみんなで練習した共感覚表現が、お題の「沈黙」を補うための最も強力な絵の具として機能しています。「声」を耳で聴くのではなく、「色」として視覚的に捉え、空も、屋上のコンクリートも、取り巻く空気までもが彼女の色に染め上げられていく描写の瑞々しさは圧倒的です。
「しってる?せかいは色であふれてるんだよ」という、過去の記憶の声を「」を使わずに心の響きとして重ねる手法も、お題にぴったり寄り添いながら、物語のテーマをより深く掘り下げるための美しいアプローチとなっています。
■ 最後に
言葉をあえて使わないことで、主人公の五感がどれほど鋭く世界を捉え、彼女の「声(いろ)」を求めていたのかが静かに伝わってきました。
静寂のキャンバスを鮮やかに染め上げるような、心震える物語を届けてくださり、本当にありがとうございました。
また部室にて、あなたの紡ぐ、光と色彩に満ちた優しい物語に出会えるのを心より楽しみにしております。
作者からの返信
この物語が読んだ方の一時の手慰みになればと思っていましたが、ここまで感想を頂けると嬉しいです。
企画に参加させていただきありがとうございました。
Voice Colorへの応援コメント
えぇ!? ここでおわり!?
そんなご無体な!
って、尊さで焼かれました。
恋の始まりとして非常に正しい未完了感、とても良き。
作者からの返信
読んでくださりありがとうございます。
楽しんでいただけたなら嬉しいです。
この後、主人公と歌声の主がこれからどう絡み合っていくのかはご想像にお任せになってしまいますが、構想はあったりするので上手くまとまれば公開するかもしれません。