第六話「整備手帳」への応援コメント
完結おめでとうございます。
整備記録も搭乗員名簿も廃棄されていく中で、幸造さんが手帳に残していたのが、若者たちの何気ない言葉や姿だったことに心を打たれました。
村田さんの「飯三杯」、桐島さんの「眼鏡を外すと少し笑う」、そして中村さんの「生きている」。整備記録ではなく、一人ひとりが確かに生きていた証のように感じました。
名前の下に年齢を書き足し、中村さんだけは生きているから歳を書かない。
そして、清さんの二十六歳はそのまま止まっている。その対比がとても切なく、心に残りました。
最後に格納庫の引き戸をゆっくり丁寧に閉め、雨の中を一人歩いていく幸造さんの姿も印象的でした。
言葉にできなかった思いが、手帳に残された名前や記憶から静かに伝わってきたように感じます。
静かで重く、忘れてはいけないものを心に残してくれる物語でした。
完結まで読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
香月先生へ
本当に丁寧に読み込んでいただき、ありがとうございます。
「消される記録、消えない記憶。」というタイトル、胸を突かれました。命令で焼かれる書類と、幸造が手帳にこっそり書き残した「飯三杯」「眼鏡を外すと少し笑う」——その対比に気づいていただけたことが、何より嬉しいです。
年齢を書き足す場面、中村さんの歳だけ書かない、清の二十六歳だけが動かない——あそこは書いていて、幸造の手が止まる瞬間が、自分にとっても一番苦しい場面でした。「整備記録ではなく、一人ひとりが確かに生きていた証」というお言葉、まさにそこを描きたくて手帳という形を選びました。
「派手さはなくても、一つひとつの場面が重く心に残る」というお言葉も、静かな筆致を選んだ甲斐がありました。忘れてはいけないものを、声高にではなく、そっと差し出せていたなら幸いです。
完結まで伴走してくださり、ありがとうございました。
あとがきへの応援コメント
追記します 新田次郎氏がこの題材を扱うと、こう言う感じになるのではと思います
作者からの返信
Blackburn様
レビューありがとうございます。「これしかなかったのか?いやこれしかなかったんだろうな」という言葉、幸造の姿そのものを言い当てていただいたようで、胸に刺さりました。
戦術的な誤りをあえて描かず、若者たちの諦念だけを残したのは、彼らに答えを出させたくなかったからです。そこを汲み取っていただけたこと、何より嬉しく思います。
追記コメントもありがとうございます。新田次郎氏の名前を挙げていただけるとは、身に余る評価です。史実に忠実に、感情に流されず淡々と積み上げていく筆致は自分も尊敬するところで、そう感じ取っていただけたなら本望です。